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オンボーディング施策における3つの大切なこと

オンボーディング施策における3つの大切なこと

オンボーディングの設計目的

そのためにも、真っ先にスキルを身に着けてもらうという考え方もあります。当社も以前は、入社初日からいきなりOJTで業務に取り組んでもらう流れでした。入社~3か月ほどの時期が一番大変で、いかに耐えられるかという我慢比べになっており、結果として新入社員の即戦力化が進まないという課題を抱えていました。

今回私が採用後のオンボーディングを設計するにあたり、気を付けたこと、大切にしたほうが良いと感じたことは、「会社の理念やミッション・ビジョンと、新入社員本人の考える理念やミッション・ビジョンとが、一致していると実感をしてもらう」、「心理的安全性を早い段階で保証する」、最後に「6か月後の理想像を明確にする」の3点でした。

自分の軸と会社の軸が一貫しているかどうか

当社では2020年より、入社後のオンボーディングの設計を見直し、図のような時間割を作成することにしました。

まずは新入社員に伝えたい事をリスト化し、授業のように組み込んでいきました。もちろんセキュリティ研修やマナー研修なども大切だと思っているのですが、ただ足並みをそろえるための学習を行ってもらうだけではなく、「当社はなぜ創業したのか」、「代表が会社にかける思いとは」、「所属部署での事業を行うことで、お客様にどのような影響を与えることができたのか(成功事例)」、といった、当社の理念や価値観の部分を伝える時間と、「自分自身の理念や将来のビジョンを明確にする」ためのワークの時間を、できるだけ早い段階で組み込むことにしました。

なお、会社の創業期の話などについては代表に直接話をしてもらうよう調整をしています。

自分の軸と、会社の軸が一貫していること。これは面接において既にクリアしているからこそ、入社に至っているはずではありますが、入社後に目の前の業務に終われたり、業務の目的を見失ったりしてしまうと、自分の目指したい方向と、会社の目指す方向がずれていると感じ、エンゲージメントの低下、仕事に対するモチベーションの低下につながりかねません。せっかくの優秀人材が流出の危機に陥ってしまうこともあるでしょう。

だからこそ、「何のために働くのか」「なぜ当社で働くのか」「当社は何を目指しているのか」について、新入社員自身が入社の段階で明確にできているかは、非常に重要ではないかと考えています。

心理的安全性を早い段階で保証する

加えて、オンボーディングや研修においては「心理的安全性を保つ」ことにも注意をしていきました。具体的には、講師や既存社員側が一方的に伝えるやり方ではなく、途中でディスカッションの時間をはさんだり、感想を言い合ったりする時間を設けるようにしたり、入社1か月後に人事と1on1を行ったり、ランチや飲み会も新入社員を積極的に誘うようにしています。また、業務において隣で教えるトレーナーとは別に、メンター役の先輩社員を必ず1人付ける「メンター制度」も開始しました。

新入社員、特に新卒入社の場合はなおさら、何かを発言したり、質問をしたりすることに対して臆してしまうことがあると思ったほうが良いでしょう。これって聞いてもいいのだろうか、自分の考えは合っているのだろうか、分からないけどそもそも誰に質問したらいいのだろうか・・・など、新入社員の頭の中は不安でいっぱいなはずなのです。

「あ、この人には何を聞いても大丈夫なんだな」と思ってもらうこと。特に直属の上司、身近な先輩社員にはこの心理的安全性の確保が重要です。単に優しく接することだけではなく、お互いが自由に意見を言える場づくりをするのが人事側の役割であり、上司側に対しては、意見や発言に対して決して否定や批判をしないこと、ルールはこれだけで十分ではないかと思っています。


目指したい「新入社員の6か月後の姿」を明確に

人事が行うオンボーディングの設計の際には、特にベンチャー・中小企業なら必ず「研修・教育」の問題も絡んでくると思います。そのためにも、「新入社員に6か月後までにどうなってもらいたいのか」を明確にしていきましょう。

例えばスキル面では、「営業として一人前の状態」「一人で売上○○万円を上げられる状態」などが考えられると思います。会社として期待をしている部分であるはずなので、代表や経営陣の方、現場のマネージャーの方へのヒアリングを通して、できるだけ具体的にしていきましょう。

そして、その状態になってもらうために、会社として必要な支援を考えること。研修の設計において現場の方にヒアリングをすると、「とりあえずマナーとか言葉遣いはやっておいたほうがいいんじゃない?」といった意見が出てくることはよくあることかなと思います。

本当にマナー講座や言葉遣いの研修は必要でしょうか?ここは採用のペルソナや採用基準によって必要性が異なってきます。すでにクリアしている方を採用している場合はもちろん不要です。また逆に「研修内でロジカルシンキングをしっかり教えていくから、採用時には論理的思考性はさほど重視しなくても良い」という判断もできてくると思います。

採用から教育までの一貫性

比較的規模の大きい企業であれば、人事が役割を分担していることもあると思いますが、当社のようなベンチャー・中小企業の場合、代表が兼任であったり、一人バックオフィスの状態であったりすることも、よくあることかと思います。どちらにせよ、採用のペルソナ設計~面接・見極め・アトラクト~入社後オンボーディング~研修・教育、ここまでを一貫して考えることができるかどうかも、人事の腕の見せ所になってくるのではないでしょうか。

Written by

Haruka_Kinoshita
CANTERA ACADEMY5期卒業。 ITメガベンチャー⇒出版社での広告営業を経て、2017年に組織人事・ヘッドハンティング事業を行うブライエッジへ入社。当初はバックオフィス1人目としてのジョインでしたが、営業サポートに加え、Pマーク取得や移転PJの運用にメインで携わり、2年目からは新卒・中途の採用担当も担うなど、前任も部署もない中で、0から仕組みづくりに日々奮闘中。Twitterでもアウトプットしています! twitter@kinoharubriedge
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