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採用は恋愛。結婚までのヒストリー

採用は恋愛。結婚までのヒストリー

採用も恋愛もアドバイスが大切

採用とは、「恋愛」やその先の「結婚」と親和性が高い。なので今回は、一部、恋愛に例えながら話を進めていくのをお許しください。早速ですが、恋愛(とくにその先の結婚)において大事なのは、おとぎ話のような「白馬の王子様は来ない」と自覚しておくことです。かといって、「誰でもいいや」と投げやりになってもいけない。

採用文脈における「求める人物像」とは、事業を伸ばすために必要な人物の人材要件を設定し、採用計画、ターゲットへのメッセージ発信、選考設計に活かしていく、というものです。採用戦略上、この人材要件を設定する上で、念頭においておきたいのが、もはや実在しないような人物像を描き高望みしすぎないことと、かといって、要件を下げすぎないという点であり、これが、冒頭の恋愛の話とも似ているのです。

人材エージェントにて企業様の採用をご支援していた時も、自分自身が企業の人事担当者であった時も、とかく現場は「白馬の王子様」を求めすぎなのです。採用のご担当者の方に聞くと、こういった課題は”あるある”としてよく話題にのぼりますが、ここで大事な点として、「現場が無理を言ってくるから採用がうまくいかない」という他責思考に陥ると、泥沼にハマっていくということ。あくまで「現場」は、「採用のプロ」ではありませんので、そこは「採用のプロ」であり「人のプロ」である皆さんのアドバイスが必要になってきますね!

「いいひと」とは

昔、こんな題名のドラマもありましたが、この「いいひと」という言葉もある意味、やっかいです。採用文脈の中で、もう一つの”あるある”として挙げられるのが、「いい人を紹介してください」という、非常にざっくりとしたオーダー。 これも、プライベートの恋愛における、「誰かいい人紹介してよ〜」と似た思考回路です。当たり前ですが、「いい人」の定義は、企業によって、またフェーズによって違って当たり前。だからこそ、その時々でしっかり言語化し、企業全体として「自社の求める人物像」の共通認識をもっておく必要があります。

スキルマッチ ✕ カルチャーマッチ

特にベンチャー界隈においては、この「スキル✕カルチャーマッチ」についての議論は盛んですね。下記のような図を皆様も目にされたことがあるのではないでしょうか??

③、④は採用対象にはならないと思いますが、難しいのは、②をどう捉えるか。個人的には、余程の大企業でない限り、①の「スキルマッチが高く✕カルチャーマッチも高い」ゾーンに絞った採用が望ましいのではと思っています。

VUCAの時代、事業内容含め、「いつまでに、どこに行きたい」という計画は、往々にして変わる可能性があります。朝令暮改を嫌う方もいらっしゃるかもしれませんが、「変化に対応できるものだけが生き残れる」が示すとおり、これからの時代は好き嫌いにかかわらず、朝令暮改への順応力が少なからず求められてくるでしょう。

つまり、スキルだけにフォーカスした採用をしてしまうと、ともすれば、入社後半年で、そのスキルが不要になってしまう可能性すらある。だからこそ、変わりにくい、MISSION(企業の存在意義)とVALUE(価値観、行動指針)を前面に打ち出して、そこに共感する人材(つまりカルチャーマッチする人材)採用の重要度が高いのです。

これも、恋愛や結婚に置き換えてみるとわかりやすいのですが、相手のスペックだけではなく、価値観が合うかという点がとても重要になるということですね。

カルチャーマッチというあいまいさ

「スキルマッチ✕カルチャーマッチ」が重要だよという話をしましたが、ところで「カルチャーマッチ」とはなんでしょうか。人事担当者の方が、よく使う言葉で、もちろん私自身も非常によく口にするワードですが、(なんなら、口にしない日がないくらい!)社風や理念、考え方、価値観等の企業カルチャーに応募者が共感したかどうかを選考基準に設けるというものです。

この「カルチャーマッチ」も、あまりにも日常的に使いすぎていて、言葉の定義が曖昧になっているような気がしています。あいまいさは、ある意味では「日本的美しさ」でもあるのですが、こと「採用」においては、いかにこの曖昧さから脱却するかが必要になってきます。企業内のひとりの人がJudgeからAttractまで全工程を担うのであれば問題ないですが、実際のところ、採用には多くの人が関わります。多くの人が関わるからこそ、そこに「人それぞれの解釈」が生まれ、少しずつ「ズレ」が発生してしまうのです。それが「採用ミスマッチ」に繋がる可能性もあるので、「自社で言うところのカルチャーマッチとは何か」を因数分解し、丁寧に言語化していくことが必要です。

腹落ちする言葉で表現する

よくベンチャー、スタートアップ界隈の採用基準についての記事などを漁っていると、「一緒にハワイに行けるか」みたいなワードを見かけることが多いのですが、私はこの言葉、非常にわかりみが深いなと思っています。

これは一見、曖昧な言葉に見えますが、実は非常に核心をついている。「この人と一緒に仕事をしたくないな」という人とは、一緒にハワイにはいけませんよね。留意頂きたいのが、全ての企業が「一緒にハワイに行けるか」を選考基準にしよう!という話ではありません。大事なのは「社内で腹落ち感の強い言葉で表現する」ということです。

今回は、採用における「求める人物像の設計」をする上で重要な観点をいくつかお届けしてきましたが、皆様いかがでしたでしょうか。もちろん、全てをご紹介できたわけではないのですが、私自身が採用を進めていく中で大切にしている観点となりますので、シェアさせていただきました。CANTERAの講義内でも度々言われていますが、採用の目的は「事業を伸ばすこと」です。ただ、「事業を伸ばす人の採用」をしなければと責任感に燃えるあまり、難しく考えすぎてしまうこともあるかと思うので、時には、「恋愛」に置き換えながら考察いただくと、新しい発見があるかもしれませんね。

Written by

satou_kaoru
CANTERA ACADEMY4期卒業。大学卒業後、大手アパレル企業→人材エージェント→外資物流企業→ITベンチャーを経て6月よりフリーランスに。BizDev出身で、人事にキャリアチェンジをし、人事歴としては4年ほど。「現場→人事」という異色のキャリアの私だからこそ伝えられる視点を活かして、「事業を伸ばす人事」実現のために奮闘中。Twitter /noteでも「戦略/事業/人事…」について、あれこれアプトプットしていますので是非ご覧ください。
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