採用は恋愛。結婚までのヒストリー

最終更新日:2020/06/28

Writing by:佐藤 薫

いきなりどうした!と思われるかたもいるかもしれませんが、いたって私は真剣です。採用は恋愛。というのは一部の人事担当者の間ではだいぶ前から言われており、もはや誰が最初に言い出したのか分かりませんが、私も、この意見に大いに賛成する一人です。

採用も恋愛もアドバイスが大切

採用とは、「恋愛」やその先の「結婚」と親和性が高い。なので今回は、一部、恋愛に例えながら話を進めていくのをお許しください。早速ですが、恋愛(とくにその先の結婚)において大事なのは、おとぎ話のような「白馬の王子様は来ない」と自覚しておくことです。かといって、「誰でもいいや」と投げやりになってもいけない。

採用文脈における「求める人物像」とは、事業を伸ばすために必要な人物の人材要件を設定し、採用計画、ターゲットへのメッセージ発信、選考設計に活かしていく、というものです。採用戦略上、この人材要件を設定する上で、念頭においておきたいのが、もはや実在しないような人物像を描き高望みしすぎないことと、かといって、要件を下げすぎないという点であり、これが、冒頭の恋愛の話とも似ているのです。

人材エージェントにて企業様の採用をご支援していた時も、自分自身が企業の人事担当者であった時も、とかく現場は「白馬の王子様」を求めすぎなのです。採用のご担当者の方に聞くと、こういった課題は”あるある”としてよく話題にのぼりますが、ここで大事な点として、「現場が無理を言ってくるから採用がうまくいかない」という他責思考に陥ると、泥沼にハマっていくということ。あくまで「現場」は、「採用のプロ」ではありませんので、そこは「採用のプロ」であり「人のプロ」である皆さんのアドバイスが必要になってきますね!

「いいひと」とは

昔、こんな題名のドラマもありましたが、この「いいひと」という言葉もある意味、やっかいです。採用文脈の中で、もう一つの”あるある”として挙げられるのが、「いい人を紹介してください」という、非常にざっくりとしたオーダー。 これも、プライベートの恋愛における、「誰かいい人紹介してよ〜」と似た思考回路です。当たり前ですが、「いい人」の定義は、企業によって、またフェーズによって違って当たり前。だからこそ、その時々でしっかり言語化し、企業全体として「自社の求める人物像」の共通認識をもっておく必要があります。

スキルマッチ ✕ カルチャーマッチ

特にベンチャー界隈においては、この「スキル✕カルチャーマッチ」についての議論は盛んですね。下記のような図を皆様も目にされたことがあるのではないでしょうか??

③、④は採用対象にはならないと思いますが、難しいのは、②をどう捉えるか。個人的には、余程の大企業でない限り、①の「スキルマッチが高く✕カルチャーマッチも高い」ゾーンに絞った採用が望ましいのではと思っています。

VUCAの時代、事業内容含め、「いつまでに、どこに行きたい」という計画は、往々にして変わる可能性があります。朝令暮改を嫌う方もいらっしゃるかもしれませんが、「変化に対応できるものだけが生き残れる」が示すとおり、これからの時代は好き嫌いにかかわらず、朝令暮改への順応力が少なからず求められてくるでしょう。

つまり、スキルだけにフォーカスした採用をしてしまうと、ともすれば、入社後半年で、そのスキルが不要になってしまう可能性すらある。だからこそ、変わりにくい、MISSION(企業の存在意義)とVALUE(価値観、行動指針)を前面に打ち出して、そこに共感する人材(つまりカルチャーマッチする人材)採用の重要度が高いのです。

これも、恋愛や結婚に置き換えてみるとわかりやすいのですが、相手のスペックだけではなく、価値観が合うかという点がとても重要になるということですね。

カルチャーマッチというあいまいさ

「スキルマッチ✕カルチャーマッチ」が重要だよという話をしましたが、ところで「カルチャーマッチ」とはなんでしょうか。人事担当者の方が、よく使う言葉で、もちろん私自身も非常によく口にするワードですが、(なんなら、口にしない日がないくらい!)社風や理念、考え方、価値観等の企業カルチャーに応募者が共感したかどうかを選考基準に設けるというものです。

この「カルチャーマッチ」も、あまりにも日常的に使いすぎていて、言葉の定義が曖昧になっているような気がしています。あいまいさは、ある意味では「日本的美しさ」でもあるのですが、こと「採用」においては、いかにこの曖昧さから脱却するかが必要になってきます。企業内のひとりの人がJudgeからAttractまで全工程を担うのであれば問題ないですが、実際のところ、採用には多くの人が関わります。多くの人が関わるからこそ、そこに「人それぞれの解釈」が生まれ、少しずつ「ズレ」が発生してしまうのです。それが「採用ミスマッチ」に繋がる可能性もあるので、「自社で言うところのカルチャーマッチとは何か」を因数分解し、丁寧に言語化していくことが必要です。

腹落ちする言葉で表現する

よくベンチャー、スタートアップ界隈の採用基準についての記事などを漁っていると、「一緒にハワイに行けるか」みたいなワードを見かけることが多いのですが、私はこの言葉、非常にわかりみが深いなと思っています。

これは一見、曖昧な言葉に見えますが、実は非常に核心をついている。「この人と一緒に仕事をしたくないな」という人とは、一緒にハワイにはいけませんよね。留意頂きたいのが、全ての企業が「一緒にハワイに行けるか」を選考基準にしよう!という話ではありません。大事なのは「社内で腹落ち感の強い言葉で表現する」ということです。

今回は、採用における「求める人物像の設計」をする上で重要な観点をいくつかお届けしてきましたが、皆様いかがでしたでしょうか。もちろん、全てをご紹介できたわけではないのですが、私自身が採用を進めていく中で大切にしている観点となりますので、シェアさせていただきました。CANTERAの講義内でも度々言われていますが、採用の目的は「事業を伸ばすこと」です。ただ、「事業を伸ばす人の採用」をしなければと責任感に燃えるあまり、難しく考えすぎてしまうこともあるかと思うので、時には、「恋愛」に置き換えながら考察いただくと、新しい発見があるかもしれませんね。

おすすめ記事

ソーシャルリクルーティングをはじめる時のいろはのい

会社が成長期で採用を増やしたい!でも採用費用は抑えたいし、優秀な方を採用したい、というニーズの高まりから転職潜在層の採用が可能になるソーシャルリクルーティングを活用している企業も増えています。運用次第では、採用単価を抑えて優秀な方を採用することができるのですが、ポイントを押さえて運用しないと工数だけかかって成果につながらないということになります。

リソースが限られた中小・ベンチャー企業こそ採用戦略に命をかけるべき!

こんにちは。CANTERA ACADEMY8期卒業の永田です。弊社白潟総研は正社員数でいうとインターン生含めて36名の中小・ベンチャー企業です。
1年半前に開始した採用活動の中で得た知見やノウハウをご紹介させて頂きたく、今回寄稿させて頂きました。

組織クラッシャーを面接で見抜く簡易手法

組織にいると大変な人たち、それは「組織クラッシャー」。彼らが一度組織に入ってしまうと、組織の人間関係を悪化させ、ひどい時には組織を解体してしまいます。

採用活動のインハウス化!求人広告作成に活かせる3つのポイント

こんにちは。CANTERA ACADEMY3期卒業、松岡良次です。
今回は約8年間の求人広告の営業、および採用コンサル業から求人広告作成時に意識している3つのポイントをご紹介します。

採用活動には『母集団形成』と『選抜』の工程があります。母集団形成を行うにはデータベースを保有する人材会社に依存していましたが、インターネット(スマホやSNS等)の普及により、現在では人材会社に依存せずともindeedをはじめ求人検索エンジンやSNSを利用すれば誰もが採用活動を開始することができるようになりました。

採用活動がインハウス化することにより、求人広告の制作に関して人材会社の担当者に依頼せねばならなかった時代から、各会社の採用担当者が作成できる必要な時代になりました。
今回は求人広告作成において大切な3つのポイントをご紹介します。

【CANTERA talk】アースメディア代表松本淳さんに聞く「今の人事に求められる「人間性」という1つの大切なスキル」

CANTERA NOTEでは、人事領域で活躍される著名人をお招きし、人事パーソンの学びとなるお話をうかがいます。

今回お招きしたのは、一般社団法人アースメディア代表の松本淳さんです。松本さんは、インテリジェンスの創業拡大期に入社後、人材系の会社を起業、拡大後にM&Aで事業譲渡し、現在は国内外の起業家育成に力を注いでいます。また、松本さんのTwitterはビジネスパーソンから人気を集めており、読者のなかには松本さんのTwitterから学びを得ているという人もいるかもしれません。

そんな松本さんに、今の人事に求められる能力や戦略人事リーダーに求める経験やスキル、松本さんが理想とする人事パーソンについてお話をうかがいました。

【CANTERA修了生✕堀尾司】 社会人15年目・HR1年目の水越裕太郎さんが目指すCHROへの道

CANTERAでは、人事領域で活躍している人はもちろんのこと、人事未経験の人も多く学んでいます。 CANTERAアカデミー修了生の水越裕太郎さんもそのひとりです。水越さんはマーケターからHR領域へと半年前に転向し、CHROを目指しています。

今回はCANTERA代表である堀尾と水越さんが対談。水越さんがCHROを目指したきっかけや理想のCHROになるための経験の積み方、水越さん自身が掲げるミッション・ビジョン・バリューや3600人のフォロワーを抱えるTwitterとの向き合い方など、とことんお話をうかがいました。

執筆者

佐藤 薫

CANTERA ACADEMY4期卒業。

大学卒業後、大手アパレル企業→人材エージェント→外資物流企業→ITベンチャーを経て6月よりフリーランスに。BizDev出身で、人事にキャリアチェンジをし、人事歴としては4年ほど。「現場→人事」という異色のキャリアの私だからこそ伝えられる視点を活かして、「事業を伸ばす人事」実現のために奮闘中。

Twitter /noteでも「戦略/事業/人事…」について、あれこれアプトプットしていますので是非ご覧ください。

「オン・ボーディングプログラム」の設計について

こんにちは。CANTERA ACADEMY4期卒業、佐藤薫です。10期からCANTERA ACADEMYの一部で講師をしています。まず、「オン・ボーディング」とは何かについて改めて。英語で書くと、on-boarding。これは、on-board(飛行機や船乗るという意味)からうまれた造語で、新入社員の教育・育成プログラムの1つとしても認識されていますし、SaaSビジネスモデルのカスタマーサクセスの文脈でも語られることが多いですが、いずれにしても「人を、そこに定着(活躍)させるための仕組み」ということになります。

採用は恋愛。結婚までのヒストリー

いきなりどうした!と思われるかたもいるかもしれませんが、いたって私は真剣です。採用は恋愛。というのは一部の人事担当者の間ではだいぶ前から言われており、もはや誰が最初に言い出したのか分かりませんが、私も、この意見に大いに賛成する一人です。

中途採用戦略立案 10のポイント

「戦略とは、戦いを略すること」 以前、人事のセミナーで、この言葉を耳にした時、「なるほど!」という妙な納得感がありました。その時気づいたのは、戦略とは、「どう戦うか」ではなく「どう戦わないか」だということ。「どう戦わないか」とは、決して「戦いを放棄する」ことではなく、「限られたリソースをどこに投入するのか」ということです。

採用業務フローの設計

今回は、採用業務フローを設計するにあたって、持っておきたい視点をまとめました。 実際にどのように業務フローを設計するのかの「HOW」の部分については、比較的多くのTIPSが巷に溢れていますし、業務フロー作成ノウハウが詰まった書籍も数多く出版されているので、採用というファンクションにおいて、どういった視点をもっておくとスムーズなのかについてお伝えができればと思います。