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人材紹介会社への採用ブランディング

人材紹介会社への採用ブランディング

志を共にする人とどのように仲間となるか

「採用ターゲット」=「志を共にする仲間」であり、その意味では採用ターゲットを獲得するために最も重要なことは「組織風土の醸成」だと考えますが、こと採用担当については、志を共にする仲間と「どうやって出会い、どうやって仲間に入ってもらうか」が目の前の仕事になるかと思いますので、この部分を強化する際の行動について考えてみました。

人材紹介会社との関わりを活用する

採用ブランディングを進めるには、「自社の提供できる価値」と「応募者の求める価値」が一致しているかどうか常に検証しなければなりません。そこで、個々の転職希望者と双方向で接点を持っている人材紹介会社(以下:紹介会社)との関りを通して、自社の採用ブランディングを推進するようにしています。採用の窓口としては、紹介会社のほかに、「求人広告媒体」「リファラル採用」「ダイレクトソーシング」などがありますが、よろしければ今回紹介する取り組みの内容で役立つ部分を横展開していただければと思います。

まずは紹介会社のキャリアアドバイザー向け採用ブランディングから始めよう

紹介会社と付き合う際には、「広告の効果はコスト発生後の結果分析になるが、紹介会社はプロセスの人から情報を引き出して試行錯誤できる」というメリットをぜひ生かしていくべきと考えます(個人的には、「自社の採用力を上げるコスト」まで人材紹介の成果報酬に含まれていると考えることも必要かと思います)。
「求職者が転職したい理由」「求職者が応募したい理由や判断基準」「求職者がオファーを辞退した理由」を情報として把握しているのは圧倒的にキャリアアドバイザーです。このキャリアアドバイザーと自社のつながりを、いかに育て、活用していくかが、「採用ブランディング」にとってとても重要だと考えます。そこで、キャリアアドバイザーの立場やニーズを把握したうえで、協力関係に巻き込むことがお勧めだと考えます。

転職希望者に求人を紹介するキャリアアドバイザーの役割について考える

紹介会社のキャリアアドバイザーの仕事は、シンプルに言えば、
①サービス提供者:転職希望者の相談にのり、求人紹介とアドバイスにより転職活動を支援すること
②従業員:営利組織の担当者としてできるだけ高い売り上げを上げることです。

①サービス提供者として

①-1 数多くある求人の中から、相談者のニーズに合う「応募すべき求人情報」をどれだけ提示できるか
①-2 合格するためのポイントをアドバイスできるか
①-3 望むキャリアにつながる情報提供ができるか
①-4 他の紹介会社や求人媒体から得られない「特有の情報」を提供できるか
①-5本人の納得(意思決定)までサポートできるか
など、転職希望者が満足する転職にどれだけサポートできるか、が求められます。

②従業員として

②-1 WEBサイト申込等で登録のあった転職希望者を自社サービスで転職してもらう
②-2 複数の転職希望者を、効率よくサポートしなければならない
②-3 サポート対応により顧客満足度を高く保たなければいけない
②-4 顧客満足を上げることで別の転職希望者を紹介してもらう
など、転職希望者向けの営業担当として成績をあげながら、新規転職希望者を獲得することを求められます。

営業担当と協力して紹介会社の社内にアプローチする

一般的に、人事担当者と接点を持つのは営業担当者(※一般的に多い分業制の場合です。両面制を採用している企業は異なります)ですが、営業担当者へのアプローチ終了後は、推薦が出るかどうかは「待ち」の状態になってしまいがちです。採用が円滑に進んでいれば良いのですが、もしも採用がうまくいっていないのであれば、営業担当者と一緒に紹介会社社内のキャリアアドバイザーを巻き込みに行くアクションをとることをお勧めします。

キャリアアドバイザーにアプローチするための施策

①求人票に掲載しない情報の配布(WEBサイトでは公開していない情報)
②口頭限定情報の配布(案件、元請け先、仕入先、利益率、従業員還元ルールなど)
③選考スケジュールの共有(推薦・面接日・採用通知書発行・意思決定期限)
④自社の現場のキーマンと紹介会社のキーマンを引き合わせることで、対面実績や時間共有による親密度を向上する仕掛け、社内求人情報の伝播を起こす(とくに、転職希望者が知りたい情報や、転職市場の相場観を、直接採用部門責任者に伝えることで、採用力が向上する場合があります)。
⑤人物・実績セット最低30件以上(人物顔写真とプロジェクト名や施工実績、とにかく自信をもって顔写真と実績を表明できることが、案内・応募・入社に向けて安心・信用に繋がります。ここを渋って数件しか掲載していない会社は、「情報を開示できない」「採用にそれほど意欲的ではない」印象を与える場合があります。)
⑥採用部門責任者のプロフィールシート(面接官であり上司になる人物のイメージ共有)
⑦採用部門責任者の動画の共有(メッセージ・仕事の仕方・マネジメントの考え方など)
⑧過去の転職者の経験概要と採用ポイント一覧表

たくさんの求人の中で「紹介するべき求人」「決まる求人」だと認識されることが重要

これらの施策は、いずれも人事部門や採用部門の「プラスアルファ」の働きが必要となり、負担感や情報開示への抵抗感から敬遠される企業が多い情報です。つまり、「多くの会社はそこまでできていないレベル」です。これらの水準を満たす会社があれば、それは「数百件の求人のうち、数十件」まで絞れることでしょう。

「人事だけでなく現場責任者まで採用に協力してくれ、選考のスケジュールが読めることで意思決定の時期を検討しながら転職活動を進められる、社内の情報もオープンで入社後のイメージもしやすい、求職者にとってもキャリアアドバイザーにとっても紹介するべき求人」となれば、本人の希望に合致するポイントがあれば案内しない手はありません。そして、こういった求人で複数名の採用が実現した時に、「採用意欲の高い求人」「成果が見込める求人」「決まる求人」として紹介会社の中で認識が広がり、キャリアアドバイザーが自信を持って「この会社は受けておいた方が良いです。これだけの根拠があります!」とお勧めできるようになっていきます。

他求人媒体への横展開も含めて考える

さて、ここまで「紹介会社のキャリアアドバイザー向け採用ブランディング」について書いてきましたが、ここまでで出てきた施策を実施すれば、ほかの採用媒体でも利用可能なリソースが手に入っているのではないでしょうか。

①他の紹介会社への広報資料としても、二次利用できる「部門との関係性」「募集に使える情報」が手に入っていませんか?これにより、人事担当の負荷も全体で軽減することが可能になります。
②求人広告媒体への掲載コンテンツとして:毎回同じ文章・同じ事例で掲載していませんか?反応の良い文章や事例について、組み合わせを変えながら継続的に反響を測定してみませんか?
③ダイレクトソーシングおよびリファラル採用のリソースとして活用できませんか?「とりあえず話を聞きに来る」状態から、より生産的にお話をすすめるうえで役立てることはできませんか?
④選考のプロセスや採用部門の協力体制が向上していませんか?

採用ブランディングはずっと続く

冒頭で

「採用ブランディング」について考えますと、入り口としては「採用活動で有利になるブランディング」であり、ゴールとしては「採用ターゲットにとって、入社を意思決定する価値があると認識されるブランド」もしくは「入社した人が活躍しているのを見て自分もチャレンジしたいと思われるブランド」などがあります。
と申し上げました。
良い人材を得て、良い組織風土を作り、素晴らしい仲間が望んで合流してくれる組織を目指して、ずっと自身の組織を鍛え、磨き上げていきたいものですね。

Written by

Hiroshi_Sumikawa
CANTERA ACADEMY8期卒業。 EC系ベンチャー立ち上げ参画→リクルートキャリア→電子カルテベンダー営業所責任者等を経て、株式会社リソーシズを創業。医療業界で経営コンサルタントとして活動し、事務長として複数の医療機関で経営支援を行っている。 人事コンサルティングでは、主に人間関係トラブルやマネジメント問題に対応。性格類型分析のエニアグラム心理学をベースに経営層/メンバー間の認識ギャップや意思疎通の改善を行い、その後は中長期で組織が活性化するよう、人員体制見直しや管理・教育制度の支援を行っている。
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