1on1をやる時に気をつけるべきこと〜中小企業の人事担当者が実際にやってしまった失敗事例 〜
喋りすぎに注意
まずこちら。マネージャーというのは気を抜けばとやかく指示を出したくなるもの。
しかしマネージャーが話せば話すほど社員の口は固く閉ざされます。普段から話をする量はマネージャーの方が多いのですから、せめてこの場では社員の声に必死に耳を傾けましょう。当初強く意識して取り組んでいましたが、最近ちょっとずつ自分が喋る時間が増えていることに気がつきました。これは良くないので、修正しなくてはいけません。毎回初めてのように面談に臨もうと思います。
傾聴する
傾聴とは、耳を傾け全身全霊で話を聞く姿勢のことです。私、転職して現在の企業にいるのですが、前職の上司にいました。話しかけても目と手はパソコンから離れずこっちも見ないで返事をするタイプの上司。作業をしながら聞く姿勢は傾聴とは言いません。そんなことは信頼関係を築くどころか逆効果。その上司のことも「話を聞かない人だな」と思ったことを覚えています。相槌などの言葉と動きによるリアクションを絡めて全力で話を聞いているよ、という姿勢をみせていくことは信頼感に直結するものと実体験として感じています。
指示を出す場所ではなく、成長の機会の場
これもついやりたくなってしまうことですが、1on1では問いを投げかけ、考えてもらいながら双方向のコミュニケーションを促すコーチングを用いるのであって、具体的な指示を一方的に出すティーチングは求められていません。マネージャーの方が日常的に視座高く仕事をしているので、課題も解決策もわかっている可能性が高いです。わかっていても口には出さず、どう考えるかについて問いかけを続けていくのが吉だと感じます。
全部をわかっていなくてもいい
マネージャーだから経験豊富な立場になくてはいけない、聞かれたことには完璧に答えられなくてはいけない。私はマネージャー職を務めるようになってからこのような気負いをずっと抱えていました。そんなとき、1on1を始めるにあたり読んだ松丘啓司さんの「1on1マネジメント」にはこうありました。意訳すると「マネージャーもすべてわかっている必要はない。メンバーとともに気づきを得ながら成長していけばいい」と。言ってることが一貫してなかったり、判断軸や方向性についてはブレがあってはいけませんが、メンバーと共に成長していく意識を持ってともに悩むことがあってもいいとわかると少しプレッシャーが軽くなったものでした。とは言えど、社員にとって有益な時間になるよう、引き続き精進したいと思います。
論破ではなく育成を
たまに周りで見かけるのが、意見が違う相手の発言を否定したりすぐ論破しようとする人です(弊社にもいます)。社員の発言が会社の方向性などに沿わないものであったり、明らかに誤った認識でいた場合はそれを指摘する必要はあります。ただし、そのときに感情的になったり、自分を守るため相手を論破したりすることは悪影響しかもたらしません。何かを指摘するのであれば、育成の観点を忘れずにする必要があるように思います。
忙しさを言い訳にしない
中小企業だと必要な会社機能に対して人が不足しているために、ひとりが複数の機能を担当することも珍しくありません。私も人事の他に、経営企画や経理なども担当しています。またマネージャーがプレイングマネージャーである場合も多いので、自分の仕事が忙しいからなかなか時間が取れないから1on1を十分にやらないということもあるようです。
でもこれは「社員の成長、ひいては会社の発展を後回しにしている」ことと同じです。もしかしたら無意識に1on1の優先度を下げているのかもしれません。忙しさの中でも優先度高く、会社と社員の未来のために重要な時間だと捉え、しっかり時間を作る必要があるので、この点は私も強く意識するよう気をつけています。
他にも注意する点はありますが、重要だと思うこととして6つあげさせていただきました。もし興味があれば、上記で挙げた「1on1マネジメント」を読んで見てもいいかもしれません。私も今も読みながら、実践を通じて、サーバントリーダーとなることを目指し、学び続けているところです。
それでは最後に私が非常に感銘を受けたもう一つの書籍ダイヤモンド社の「1兆ドルコーチ」から、伝説のリーダー、ビルキャンベルの教えをいくつか挙げて締めたいと思います。
・自分は大事にされていると部下に実感させろ。耳を傾け、注意を払え。それが最高のマネージャーのすることだ。
・相手の能力を相手が自分で思っているよりも深く信頼せよ。そしてもっと勇敢になるよう発破をかけろ!
・勝利を目指せ。だが献身、チームワーク、誠実さを持って正しく勝利せよ。
・思いやりを職場に持ち込め!家族について質問し、彼らの名前を覚え、さらに質問し、気にかけるんだ。
・部下と彼らの成功を派手に応援せよ。
・1on1は部下が実力を発揮し、成長できるよう手助けできる最良の手段だ。そこで話し合うことはじっくり考え。時間をかけて準備せよ。
大変なことも多いと思いますが、会社の発展と社員の幸せを願い、一緒に頑張っていきましょう。