CANTERA NOTE

オンボーディングのウェット必要論

オンボーディングのウェット必要論

オンボーディングの目的と目標設定

オンボーディング施策を考えるうえで、最近いろんな記事や書籍をみるのですが、結構ふわっとした表現だな、と思っていたので、まずは自社では何を目的とし、人事としては何を目標に置くのか考えました。

(1)目的:新卒、中途問わず新規入社者が早期に会社風土に慣れ、当社での活躍人財になること

(2)目標:入社後半年後までに、新規入社者が会社文化や風土を理解し馴染み、早期離職せず、業務に前向きに取り組めていること。半年以内離職0名を目標とする。

目的については、もともとのオンボーディングの意味合いから外れてはいないと思いますが、目標設定はなかなか聞かないと思います。プロセスだけでなく人事として施策の成果を測るためにも必要だと思って策定しました。

入社後の時系列分析

他社の人事とも何度かディスカッションをしたことがあるのですが、各社とも入退社情報を分析したところ、早期離職の場合は入社から6か月以内であり、6か月経過後は、複数年勤務する傾向にある、ということでした。もちろん個別の事情があるので絶対的なものではないのですが、人事の勘を含めて6か月をそれぞれ期間ごとにどんな時期か分析しました。

入社日~1か月:会社のルール、人の名前、仕事の進め方など覚えることが多い。会社に毎日通勤することに慣れる時期。あっという間に過ぎてしまう感覚。
1~3か月の間:少し会社になれてきて配属部門など少し客観的にみえるようになる時期。徐々に仕事も任されることが多くなってきて、忙しくなってくる時期。
3~6か月の間:一通り会社のことが見え、前職とのギャップを含めて、マイナス要素が気になりだす時期。

この時期においての施策は、入社から1・3・6か月タイミングごとでの人事面談を行うことにしました。

オンボーディングに大事なことと施策

オンボーディングで必要なことは、以下の7つが挙げられます。これまでやっていることと個人的な意見を含めて記載しております。

1.インフラの準備と説明
2.企業文化や事業への理解
3.社保など手続きの説明
4.社内ネットワーク構築
5.社内で必要なスキル
6.ウェルカム感やほっとかれてない感を醸成すること
7.自分の今後のキャリアを考える機会

  1. インフラの準備と説明化や事業への理解
    PC、デスク、セキュリティカード、名刺、フォルダアクセス権限の準備 などは事前に行っておきます。入社日に用意ができてないと、入社者のモチベーションにも影響するので、ここは必須です。ただ、まれに最終面接から数日で入社するケースもあり、準備が間に合わないときもあるので、その際は入社者に丁寧に説明し、いつごろまでに準備ができるのか伝えます。
  1. 企業文化や事業への理解
    入社時研修で、会社のオフィス全体を案内し、各部門の紹介。また各部署の大まかな説明を人事からは実施し、プラスで各部門の部門長から現状などを話してもらう時間を設けます。ここで各部門長との顔合わせもできます。毎月複数名入社するわけではない場合は、頻度をQに1回で複数名が参加など調整できます。
    また、制度やルールに関しては、毎回同じ説明をすることになるので、制度や座席表など社内イントラに“新入社員向けページ”を作成し、会社の組織図、座席表、申請用紙、制度、暗黙ルール等記載しておくのはおすすめです。入社日に全部説明しても覚えきれないので、こういった困ったときに見ることができるお役立ちページがあることは安心感につながります。
  1. 社保など手続きの説明
    人事面談で、入社前に提出いただいているものもあるかもしれませんが、入社日には社保加入や税のお話と手続き書類に関して改めて説明しています。毎度同じ説明になるので、説明文書を作ってそれを渡すでもいいとは思います。事後にヒアリングした際に、社保等加入の説明があったことで、ちゃんとしている会社だという安心感があったといわれました。
  1. 社内ネットワークの構築
    まずは配属部署のメンバーの顔と名前を一致できるように、入社日にはウェルカムランチを実施。②で各部門長から直接話を聞くことで顔と名前はお互いに覚えることもできます。希望者には他部門留学として他部門のMTGに参加することもできるようにしています。その後のネットワークの一助になればなと思って行っています。
    また、部活の紹介と勧誘を行います。社内では部門を超えた部活動もあり、各部の紹介と興味がある部への見学も可能とお伝えし、ご希望を聞いたうえで各部部長と調整します。
  1. 社内で必要なスキル
    新入社員、中途入社者に問わず、自社の技術に明るいわけではないので、スキル面のサポートが必要です。汎用性があるものであれば外部研修やオンライン学習などを取り入れてみるのもありかと思います(個人的には、オンライン学習は本人のペースで学べるので、おすすめです)が、自社独自の場合は、なかなか外部で習得する機会が難しいです。
    入社者がいる度に現場の方に話してもらうのも気が引けるので、過去のウェビナー動画を入社者には観てもらうようにしています。また、過去に展示会に出展した際の製品パンフなどを見せるのもいいかもしれません。
    あとは、「○○に困ったら、だれだれに聞くといいよ」というマップを作成しておくのもいいと思います。当社ではまだ俗人化してしまっているのですが、まとめておこうとしています。意外とこれが社内スキルになってきたりしますので。
  1. “ウェルカム感”や“ほっとかれてない感”を醸成すること
    ・入社者の席にウェルカムカードを置いておく。飴なども一緒にあるとベター。入社初日はとにかく緊張でつかれているはずなので、自席についたときに飴があるとほっとするようです。ちょっとした工夫ですが、効果的です。(甘いものが苦手な方には、おかき等甘くないものがいいかもしれません)。
    ・自己紹介の場。全社会議などを定期的に行っている場合は、その場で自己紹介の時間を作ることもできるかと思いますが、そういった場がなかったり時期的に少し先になる場合は、入社日に人事が入社者と一緒にすべての部署を周り、紹介して周ります。
    私の例だと、「今日から○○部にご入社いただきました、○○さんです!よろしくお願いします」と言い、全員に笑顔で拍手をしてもらうようにしています(笑顔で拍手のジェスチャーを促していることもありますが。何度もやっていると自然と皆さんされるようになりました)。
    ・メンター
    特に新卒新入社員は、学生から社会人になった大きな変化だったりもするので、メンターを設定することはおすすめです。メンターは、業務での相談だけでなく、生活含めていい相談者であるので、できるだけ接点を多くしたいと思い、1回あたりの会話は短いかもしれませんが、頻度高くコミュニケーションするようしています。当社では、先日一人暮らしノウハウをメンターとメンティで話していたようです。接点の頻度は、以前ベテラン人事の方にお聞きしたのですが、1回あたり長時間やるよりも頻度が高い方が“ほっとかれてない感”は醸成されるようです。

    メンターとの接点(例)
    ・デイリーでメンターとの振り返り(約10分) ※短くてもいいので毎日会話する時間
    ・月1回メンターと人事と三者面談(約20分) ※振返り、成長を一緒に考える時間
  1. 自分の今後のキャリアを考える機会
    定期的な上長との1on1と人事面談を行います。組織へのつながりは、上長との縦つながり、同僚との横つながりだけでなく隣部署のマネージャーなどの斜めつながりがあります。

    上長とはやはり業務の話が多くなってしまうので、横ぐしで人事も介入するようにしています。入社後の時系列分析で記載したタイミングで人事面談を行います。

人事面談のタイミング

1か月後
3か月後 
6か月後 ※入社時期が近い人と座談会も別途で実施

それぞれ、面談時に話している内容は、健康面・業務面(量、質ともに適正か)・人間関係・組織上で感じている課題・何を当社で実現したいか という5点です。特に最後の5点目を自らの口で話してもらうことを大事にしています。自分の口で言うことでふわっとしていた想いが急に現実味をおびてくることもあるので、話してもらっています。

6ヶ月目は、部署を超えて、入社時期が比較的近い方を集めた座談会も行います。“ほぼ同期”つながりができ、ネットワークが広がります。この座談会ですが、入社時に行うことも考えましたが、入社時早々はまずは会社に慣れることに必死でなかなかつながりまでいかないことがあるため、会社に慣れてきて少し周囲が見えるようになってきた6ヶ月目にすることにしました。

いかがでしたでしょうか。もちろんここに書いたことがすべてではないと思うのですが、オンボーディングで一番大事なのは、「できるだけウェットに」ということだと思います。なれ合いではなく、タテヨコナナメの人とのつながりを作り、“ここにいていい感”を醸成し続けられることで、組織を好きになり、長期に組織へ貢献するエネルギーになるのではないかと考えています。

Written by

IzumiHiraoka
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