CANTERA NOTE

企業規模に頼らない自社独自の価値を採用力につなげる

企業規模に頼らない自社独自の価値を採用力につなげる

採用とブランディング

経営者にとって馴染み深い採用、執行、資金調達、といったキーワードに、CHROをはじめとして最近は横文字がよく付いています。コンセプト、デザイン、ファイナンス、マーケティング、CEO、CFO、CMO、COOなどなど。なぜCXOというワードが使われるのでしょうか?スタイリッシュでかっこ良いワードだからでしょうか。CHROを例に取れば現代の採用業務 において不可欠であるからこそ、このようなワードが定着したと考えます。今回は採用に関する注目要素、「採用ブランディング」をテーマにかかげたいと思います。

採用ブランディングとは?

採用ブランディングはその名の通り、新しい人材を雇用する採用という機能に価値を高めるブランディングという概念がMIXされた造語です。様々な定義が存在しますが、私の考える採用ブランディングは、

「企業成長を目標に、自社に必要な人材の採用を通して企業価値を高める事」

と定義しています。採用はゴールを想起させるものではなく、企業成長や事業拡大という目標のスタートラインを想起させるものと考えます。
自社のビジネス領域において、必要人材の獲得に結びつくことが採用の目的なので、応募数や面接数などの母集団形成にはKPIを置きません。
もちろん、経営者や人事の方々によって異なる定義があっても良いと考えます。

自社独自の採用手法を取る必然性

知名度の高い大手企業は採用ブランディングを実践しなくても、世の中に浸透している自社に対する人々の文脈がありますので、自社が求める人材が集まりやすい傾向はあります。

しかし、知名度や資本力が大手企業に及ばない場合はどうでしょうか?高くはない知名度、大手企業と比較するとどうしても見劣りしてしまう給与体系や福利厚生など、求職者側で定量測定出来る待遇面で採用力を競った場合、不利な状況を招きます。なかなか自然に自社へ必要な人材が集まるような都合の良いことは起こり得ません。
少子高齢化、人口減が加速する中、ますます欲しい人材を採用しにくくなります。だからこそ欲しい人材を獲得し企業価値を高める為には、採用ブランディングを実践し、求職者に選ばれる必要があります。

採用ブランディングの目的

1.ビジョン共感型採用を実現するために
企業規模の大小問わず、求職者と企業がビジョンの共感により結びつくことが大切だと考えます。ビジョン共感型採用が必要のない企業においては、ゴールは採用になります。
「ビジョンに共感した人材の採用」を実現するのは、企業価値を高める事がゴールになります。また共感型採用は採用のミスマッチを防ぎ、事業や戦略、環境の変化の中でも従業員ロイヤルティの形成や維持につながる重要な要素です。採用ブランディングはまさにこのビジョン共感型採用の考えをベースにおき、自社にとって最も必要な人材の採用につながる有効的なアクションとなります。

2.変化する採用環境に対応するため
採用環境は日々進化しています。昨日の常識が今日には通用しないことなど頻繁にあり、人事部は常に改善改良をしていかねばなりません。2020年、世界的な新型コロナウィルスの感染拡大により採用はもちろん、ビジネスの進め方も大きな変更を余儀無くされました。
オンライン採用導入や採用側もテレワークに重点を置いた採用プロセス構築などを、急遽求められた採用担当者もたくさんいたはずです。日々進化する採用環境を正確に捉え、必要な軌道修正を実行できる体制が、ニューノーマル時代の人事には必要となります。
採用チャネルの新規構築は採用ブランディングの機能面の一部ではありますが、継続的に変化する市場に対応することは企業価値を高めることにつながります。

3.費用対効果、生産性の高い採用を実現するために
企業により異なりますが、採用にかける予算を余るほど潤沢に用意されているケースはほとんどないでしょう。広告費用、エージェントへの紹介手数料も無限に湧き出るものではなく、限られた予算の中での採用成功が求められます。
採用においてかかる費用は一般的に上記のような広告費や紹介手数料などが挙げられますが、人事にとっては「採用にかける工数」も指標のひとつに掲げられます。大手企業でない限り採用だけに専念できる人事担当者は少ないはずです。教育や労務も兼任している方が多いのではないでしょうか?
採用ブランディングにおいては、重要な指標は母集団でもなく、面接数でもなく、必要な人材をベストタイミングで効率良く採用することです。極論ですが、応募数=面接数=内定数=内定承諾数が全て一致する事が理想の採用と考えます。効率的な選考を進めるにあたり、採用ブランディングを実践し続けることで、常に自社にとって必要な人材を集められる環境構築が大切です。

採用ブランディングに必要な要素

では、最後に採用ブランディングを実際に進めて行く上で、大事なポイントをいくつか考えてみましょう。3C分析、マーケットミックスなどはもちろん大切ですが、採用の現場レベルに落とし込んだ施策としては、さらに以下のようなプロセスをお勧めしたいと考えます。

1.可視化しましょう。透明化を実現しましょう。変化して行きましょう。
採用でもオンライン化が加速しています。求職者が訪問せずとも、応募先の企業の理念やビジョン、経営者やメンバー、オフィス環境などが具体的で可視化されている企業はニューノーマルの採用環境において有利な要素を得ていることになると思います。良い面だけを取り上げるのではなく、企業としての現状の課題や改善ポイントなど包み隠さず、表に出すことが大切です。入社後ではなく選考フローの中で課題を求職者に共感をしてもらう事が大切です。そして採用担当者は経営者の視点も意識して採用と環境改善に取り組むべきでしょう。
繰り返しとなりますが採用ブランディングは企業価値を高め、継続性のあるアクションです。

2.全社で取り組みましょう。
今や採用業務は人事担当や役員、経営者だけの仕事ではありません。採用ブランディングに強い会社は、全社一丸となり採用業務に取り組んでいます。リファラル採用のように全社員が採用担当と同じ目線やレベルの教育を受け、採用活動に移すことも可能です。全社一丸となった採用活動を通して、社員自身の成長にもつながり、結果として意欲の高い求職者を採用することでオンボーディングの成功への近道ともなり、早期の戦力化も期待できます。 

採用ブランディングを通して、企業価値を高め成長を実現する。そして社会や経済に多大なるインパクトを与える。人事、CHROが採用ブランディングに取り組み、採用から日本を元気にしましょう!

Written by

Kenkichi_Nagata
CANTERA ACADEMY6期卒業。新卒でペットフード・用品のメーカーに就職。5年間、営業・事務関連の総合職として従事。2008年、株式会社ルーチェに2期目よりジョインし、現在取締役営業本部長として事業全般から人事、労務を管理する。中小、ベンチャー企業の採用を長年サポートし企業の採用力向上を支援する。
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