CANTERA NOTE

採用戦略の設計(中途採用)

採用戦略の設計(中途採用)

初めて取り組んだ中途採用実務での気づき

これまで当社では部門単位で必要な人材(退職でのリプレイス)の採用のみを行っており、全社の経営・事業戦略に基づいた採用は行っておりませんでした。
そのため、どういう人物を採用するかの設定から、採用手法・ツールの検討まで、試行錯誤しながら取り組んできましたが、直近2年間で、20名前後の採用を行い、社員50名規模の組織になってきました。その中で感じた難しさや気づきをまとめています。

「採用の目的=経営戦略の実現」を加速させる

経営陣と議論する中で、採用に関するミッションとしては、下記を設定いたしました。 

・事業戦略に基づき、未来の組織を実現させる(今ないポジションを担う)人物を採用すること
・自らや現メンバーより優秀な人物(今できないことができる人物)を採用すること
・部分最適(部門が求める人)と全体最適(全社として必要な人)を両立させること

当時はサービス構築→事業拡大のフェーズへ移る事業戦略の転換期にあり、その中での採用テーマは「セールス・マーケティング組織の構築」でした。
それまでの当社のセールススタイルはインバウンド中心(SEOによるWEB問合せ、パートナーからの紹介)だったため、セールスを担うメンバーは2名でかつその他の業務も兼任で行ってきました。PMFが確認できたこと、市場拡大が確実なことから、「顧客拡大・トップラインを伸ばす」ことが最重要テーマになっていました。
明確なセールス組織を持ってこなかったために自社内にセールス・マーケティングのノウハウが溜まっておらず、現メンバーだけでは難しいと判断。そこを担う仲間を外部から探してくる必要がありました。

こうした議論をする中で「何のために必要なのか」を常に意識していました。組織は立案した戦略・戦術を実行するために必要であり、その戦略・戦術はそもそも当社として実現したい世界観を目指して立案されているものです。
求める人物像の定義や人数などディテールに落とし込んでいく際に「そもそも」からズレてしまうと採用自体が意味をなさなくなってしまいます。
私の場合は、事業戦略を立案する段階から議論に入っていたので状況を把握できる環境でしたが、特に意識していたのが「現場での戦略・戦術実行上の課題」でした。
そして事業責任者へのインタビューはもちろん、実際のKGI・KPIを見に行ったり、事業部会議に参加して生の情報を取りに行きながら、どこが課題なのかを探るようにしています。自社のやりたいことができていないのはなぜか。スキル不足なのか、工数不足なのか。
採用で「やりたいけどできていないことをできるようにする」ために、これらの情報をもとにして、求める人物像や採用計画に落とし込んでいます。

求職者には会社の未来と課題をOPENにする

実際の採用実務の中で意識していることは、「求職者には会社の未来と課題をOPENにする」です。
「組織には共通の目的・意志が存在する」とCANTERAで学びました。本来、会社・組織と人は対等であり、同じ目的を追いかけるために集まっているのが会社であり組織であると捉えています。採用はこの同じ目的を共に目指せる「仲間集め」だと捉えているので、求職者にもそれを判断できる情報を求人票・面接を通じて、提供する必要があると思っています。
RJP(Realistic Job Preview)と言われつつも、えてして会社・組織の良い面を伝えがちですが、組織課題も含めて「ありのままを知ってもらう」ことが重要です。リアルな対話の中で「この組織で一緒にやっていこう」と思える理由が求職者に芽生えることが一緒に働く意味になると思っています。
 
こうしたプロセスを、求職者が求人票を見てから面接を重ねる中で体感していけるかが、採用成功のカギだと思っています。
特に下記の点は面接の場で意識的に伝えて、求職者に「一緒にやりたいか」を問いかけ、すり合わせるようにしています。

【会社】組織として実現したいこと → 【求職者】個人として実現したいことに方向性があうか
【会社】大切にしている価値観   → 【求職者】自身の価値観にあうか、そういう場に身をおきたいか
【会社】組織として抱えている課題 → 【求職者】その課題を一緒に解決したいと思うか
【会社】提供できる機会      → 【求職者】その機会は自身のなりたい未来へ近づく経験になるか

「面接は見極めの場」という役割はもちろんありますが、私が意識しているのは「すり合わせの場」としての役割です。上記の内容は基本的に変えることができないことですので、ここでズレてしまうと入社後に解消することができなくなり、その状態では一緒に同じ目的を目指すことは短期的にできても長期的にはできなくなると思っています。
そもそもどの組織で働くかは「合う合わない」の問題で「いい悪い」の問題ではないので、その前提を求職者とも共有し、本音での対話を行うように心がけています。これらの前提がすり合ったうえで、ようやくスキル・経験や処遇の話ができると思っています。

採用手法:求める人が集まる場所にいかなければ、そもそも出会えない

最後に、採用媒体・手法を検討する際に意識・気をつけたことになります。
大手採用媒体、エージェント、ダイレクトリクルーティング、indeedなど、私自身が何がうまくいくかは当初見えていなかったので、多くの手法を試して失敗もしました。当たり前ですが大事なのは「自社が求める人が集まっている場所かどうか」。そこを見極めるのが重要だと思います。
自社にフィットした手法・媒体を判断する際に「どういう方法で求職者を集めているか」を必ず確認するようにしていました。集め方で概ねどういう人がそこにあつまっているかが想像できます。TVCMなのか、FB広告なのか、イベント協賛なのかでリーチできる人は変わってきますので。その情報をもとに自社のペルソナとすり合わせて、求職者の集まる場に行くかどうかを判断しています。
同じ意図で「今後、このサービスをどう成長させていきたいか」も確認しています。どういうポリシー・思想なのか、運営サイドの意志によって集めていく層は決まってくきますので。その辺りはセールスの人に突っ込んで話を聞いていました。逆にここに明確な回答がない場合は決定を見送るようにしています。
その上で、実際にその媒体に自らも登録し、ユーザー体験を確認するようにしています。どういう会社の求人が上がっているのか、どういう画面構成になっているのか、どう露出をさせると効果的かを実際に体感して「こういう作戦でいけば勝てそう!」というイメージがわくかどうかを最終判断にしています。

Written by

MasanobuNakagawa
CANTERA ACADEMY3期卒業。 新卒で現職ミナジンに新卒1期生として入社。労務管理サポート事業の立ち上げから参画し、ローンチされる新サービスのB2Bセールス・マーケティングに従事。その後、人事へのキャリアチャレンジでITベンチャーへ入社、採用・制度リニューアルを中心に取り組む。その後、組織拡大により人事機能をゼロから立ち上げるというミッションで現職へ復帰、「一人目人事」として採用、制度リニューアル、エンゲージメント向上施策など、「人・組織から事業を加速させる」取り組みに奮闘しています。
初心者でも安心。
現役人事が全面サポート

日本初のCHROアカデミー
「CANTERA(カンテラ)」
戦略人事を実現するための知識と
スキルを体系的に学べます。