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人材育成にエニアグラム②性格タイプごとの傾向や成長ポイントを知ろう

人材育成にエニアグラム②性格タイプごとの傾向や成長ポイントを知ろう

相手の心の鍵穴に合う鍵を持っているか?無理やりこじ開けるか?

相手の成長を促すためにどのようにアプローチし、どれだけ成長させられるか

これは、人事担当でも現場マネージャーでも同様に求められる要素です。そこで今回は、エニアグラム性格類型分類における9つの基本タイプそれぞれが、どのような人物タイプであるのかを、簡単にご紹介します。

なお、エニアグラムでは、各性格タイプが繋がっていて、精神状態によって繋がっている先の他タイプの特徴が現れます。また、同じタイプでも表面的な性格が異なる場合も非常に多いです。ですから、ここでご紹介するのは、この9タイプそれぞれで比較的よく見られる、一般的な特徴や傾向ということでご理解ください。

タイプ1〜9それぞれの特徴

タイプ1 改革する人/完全でありたい人

非常に真面目で一生懸命。嘘が嫌いで正義感が人一倍強い。常に公正と正義を心掛けている一方、「自分も他人も正しく行動すべき」という感覚に縛られている。自分の感覚による正しさを相手に押し付けがち。他人にも自分にも厳しい。自分の正しさに相手がそぐわない時に、内面で強い怒りが発生する。「怒りを悟られるのはみっともない。自分は自制しなければならない」と考えていながらも、眉間にシワが寄るなど、不機嫌さを隠せない人も多い。自分の正しさと相手の正しさが異なる場合が存在することを受容し、合意と協力を目指せるようになれば、礼儀正しく信頼できる人物に成長する。

タイプ2  人を助ける人/人の助けになりたい人

誰かを助け愛情を与えることで喜びを感じる。心が通じることが大好き。やさしくて笑顔、お世話好き。疲れ果てるまで相手のために尽くす。相手に愛情を注ぎ役立ち感謝されることで、自分の存在価値を確認したい人。しかしお礼を言われないと不機嫌になり怒りだす側面もある。無理して愛情を発揮しなくても「そのままの自分で十分に愛される」という体験を通して成長する。より自分の内面を大事にすることで、世界の見え方が変わり、広く深く物事の良さに目が行くようになる。

タイプ3  動機付ける人/成功を求める人/達成する人

達成する人。「成功している自分」であろうとし、美意識が高く、成功するために努力を惜しまない。組織においては積極的に手を挙げ、リーダーシップを発揮する。表では努力している様子を決して見せずに、苦しい思いも感じさせず華やかで有能な人物であろうとする。一方で、自分が努力している分、他者が努力していないと見るや手厳しく見てしまい、態度に出る場合もある。相手の感情に寄り添うことが苦手な傾向がある。長々とした会話を好まず、端的でテンポの良い会話を好む。相手の感情への配慮や気遣いで成長すると、組織全体に配慮して元気づけを行うような非常に魅力的なリーダーとして成長する。

タイプ4  芸術家/特別な存在であろうとする人/個性的な人

個性的な人、特別であろうとする人。平凡さを避け、ユニークなもの、創造的な分野などで、自分ならではの価値を表現したい。感受性・美意識・倫理観が非常に強い。落ち着いていて寡黙、無表情な人も多いが、自分の内面世界でじっくりと思考する。「私は周囲から理解されにくい人間だ」という思い込みがあり、他人との距離を積極的に詰めようとはしない人が多い。「空気を盛り上げる」ことや「愛想笑い」など「自分の心が認めないこと」には価値を感じず否定的な態度をとる場合が多い。自分のユニークさを生かしながら平凡さを受け入れることで成長し、人間関係を向上していくことができる。

タイプ 5  考える人/知識を得て観察する人/調べる人

研究者タイプ。知識欲に富み、真理を把握することに情熱を燃やす。調べることや読書、分析、一人の時間が大好き。データを収集し、丁寧に分析し、慎重に正しい判断をできる自分であることを求める。情報や技能、データによる裏付けを持つことで、有能な自分を構築することに非常に貪欲。対人関係でエネルギーを消費することを好まず「愛想を振りまく」「とりあえず動く」「ノリで動く」といった活動を「理解できない」などといって拒絶しがちな傾向がある。物静かで無口だが、得意分野の話題になると饒舌になる。意識的に他者と関わり、自分の強みを生かして全体に貢献することが重要。その信頼性や問題把握力の高さから頼られる存在として成長する。

タイプ 6  忠実な人/安全を求め慎重に行動する人

自分の居場所(社会的・対人関係)を万全にしたい欲求が非常に強い。不安症の人が多く、とにかく安心したい。真面目で責任感が強く頼りになるが、本人は失敗しないようにかなり頑張っていたりする。組織の中で、自分の居場所・ポジションが危ぶまれるようなマイナス要素を非常に恐れ、リスクヘッジで頭がいっぱいになることもある。真面目で責任をもって業務を遂行するのも、自分が失敗して居場所が損なわれることの恐れが非常に大きいため、ということもある。とにかく不安症から何でもかんでも確認や質問を行うことで、鬱陶しがられるケースが多い。一方、関わる人が困っているときは、自分が損をしても助ける傾向がある。「場」をよく見ており、「場全体としてうまく行くように随所で立ち回る」ことで、トラブルを未然に防ぐ役割を果たすことが多い。「心配していることは、ほとんど起こらない」ということを受け入れ、おおらかさを身に着けることで成長する。

タイプ 7  万能選手/楽しさを求め計画する人

熱中する人。常に笑顔で明るく積極的。たくさんの経験を得なければ時間が勿体ない。人生は楽しいものでなければならない。常に予定でいっぱいでなければ不安になってしまう。「止まったら死ぬ!」という感じで生き急いでいるようにさえ見えることがある。また、苦しみを避ける傾向があり問題が起きるとすぐに別のことに目をそらしてしまうことも多いため、無責任と見なされるケースもある。基本的に笑顔で過ごす。家の中ではマイペース。しかし様々なチャレンジを同時にこなしてしまうにあたり、他人の目が届かない場所で猛勉強・猛努力したりする。責任感や持久力、包容力などを身に付けて成長することで、生来の明るく楽観的な性格がさらに輝く。

タイプ  8 統率者/強さを求め自己を主張する人

いわゆる親分タイプ、もしくは姉御タイプ。どっしりとした存在感がある人が多い。自分が属する組織において「こうあるべき」という組織の姿をイメージし、その実現に向かってリーダーシップを発揮する。面倒見がよい一方で、意思疎通をするうえでは、気が短くて駆け引きが苦手な人が多い。問題が起きると早い段階で「対決姿勢」になりがちな傾向がある。強い言葉を発してしまうことが多く迫力があるが、自分ではそこまで強い言葉を使っていることを自覚していない場合も多い。長々と話を聞くのが苦手で「結論から言って!」といった端的なコミュニケーションを好む傾向が強い。相手の実力を認めると態度を改めて距離が近づく人が多い。ケンカすることで相手の実力を見定めて仲良くなることもある。余裕をもって相手に寄り添い、助けになるよう関わることを意識すると、愛情深い関与ができるようになり、より頼られ慕われる存在として成長する。

タイプ 9  調停者/調和と平和を願う人

平和をもたらす人。ふんわりとやわらかい空気と安定したおだやかな人柄。軋轢を避け、気遣いの言葉をかける。まわりが不協和音でざわつくのが大嫌い。とにかく平和を愛する。誰かが怒っていると「そうですねえ~、まあまあ。仕方なのではないでしょうか~」とやんわりと上手に聞き役となり、なだめる役を担うことが多い。普段はとにかく怒らないが、中長期で過剰なストレスを受け続けると、大噴火する。その迫力は、溜め込んだためか、他のタイプよりも大きい。決して怒らせてはいけないので、ストレスが溜まる前に適度にガス抜きをしてあげるのが大事。視野を広げ自分から積極的に行動を起こすようにすると、応援してくれる人が多く素晴らしいリーダーシップを発揮するようになる。

まとめ

このように、エニアグラムによる分類では、性格タイプによって、行動の傾向や求める要素、行動する理由となる動機や欲求が異なります。この違いにより、

・どんなアプローチが受け入れられやすいか

・納得しやすい理由はどこを押さえるべきか

・動機付けされるポイントとは何か

・本人に適した成長方向とは何か

などが異なってきます。相手の心をスムーズに開ける鍵を手にしたいものですね。

人事担当として、人材育成に携わるのであれば、「制度至上主義」に陥らず、「個々の活躍と成長」にも目を配っていかなければならないと思います。他者の考えというものは往々にして解りにくいものですが、人事担当としては、ぜひ「人の心の動き」を踏まえたマネジメントを身に付けていくべきではないでしょうか。私自身、まだまだ学びの入り口ですので、今後も人が幸せになるマネジメントに貢献すべく、学びを深めて行きたいと思います。

長文にお付き合いくださりありがとうございました。

ご興味があれば、こちらのサイトにWEB診断がありますので、ぜひご自分のタイプ診断をしてみてください。

日本エニアグラム学会 90問回答式チェックhttps://www.enneagram.ne.jp/about/diagnosis/dns01

エニアグラム導入の注意点

エニアグラムを導入する際には、経営者・人事担当・部門長/マネージャーに注意が必要です。下記の内容について、エニアグラムの専門家に相談したうえで導入をされることをお勧めします。

①「タイプは本人が納得するまで決めつけない」・・・エニアグラムで最も重要なのは自己のタイプ認識ですが、このタイプを当初に誤認(ごにん)してしまうケースが非常に多いです。ワークショップに何十時間も参加していた人でも、気づいてタイプの認識を修正する場合が多々あります。ですから、最初に判定したタイプでも、本人が納得していなければタイプの要素を押し付けてしまわないように注意が必要です。「自分の内面の目を背けてきた部分」に目を向ける学びですので、慎重に対応する必要があります。

②「安心・安全の場を担保する」・・・エニアグラムのワークを行う場合、その中で話される内容はその場限りの情報として扱いましょう。ワークの中で過去に苦しんだ辛かった体験を話すのは、ワークの場のみにしてください。ワークの場を終了した後、業務中などにネタとして話すことは、研修としても職場としても、心理的安全性を破壊する行為になります。マネージャーのマネジメント能力向上にも、メンバーのパフォーマンス向上にも、百害あって一利なしですので、事前に参加者にしっかりと念を押すアナウンスをしておくことをご注意ください。

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Written by

Hiroshi_Sumikawa
CANTERA ACADEMY8期卒業。 EC系ベンチャー立ち上げ参画→リクルートキャリア→電子カルテベンダー営業所責任者等を経て、株式会社リソーシズを創業。医療業界で経営コンサルタントとして活動し、事務長として複数の医療機関で経営支援を行っている。 人事コンサルティングでは、主に人間関係トラブルやマネジメント問題に対応。性格類型分析のエニアグラム心理学をベースに経営層/メンバー間の認識ギャップや意思疎通の改善を行い、その後は中長期で組織が活性化するよう、人員体制見直しや管理・教育制度の支援を行っている。
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