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CHRO育成アカデミーCANTERAの堀尾司氏が答える「コロナ危機における人事課題」の実情【第1回目】(前半)

CHRO育成アカデミーCANTERAの堀尾司氏が答える「コロナ危機における人事課題」の実情【第1回目】(前半)

新型コロナウイルスにより、緊急事態宣言をはじめ各地でさまざまな問題が発生しています。これまでにない悩みや臨時の対応が頻発するなか、類似の課題を抱える人事担当者が、この状況への適切な対応を共有する場がない現状がありました。
そこで今回は、企業の人事部門の所属する方を対象として参加費無料のライブ配信セミナーを開催。1時間にわたり、参加者の質疑応答を中心に行われた詳細内容をご紹介いたします。

登壇者プロフィール

堀尾 司 様
株式会社All Personal 代表取締役

(株)All Personal代表取締役CEO
1973年北海道生まれ。1994年(株)リクルート入社。2004年ソフトバンクBB(株)入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー(株)入社。国内の人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。2014年より東京東信用金庫に入庫し地域活性化に従事。2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。CHRO育成アカデミーCANTERA責任者。 Twitter: @horio_jp

清水 邑
株式会社ZENKIGEN コミュニティプロデューサー

新卒でマーケティング系のベンチャー企業に入社。 同社が上場までの4年間、BtoBセールス・マーケティングコンサル業務に従事し組織の急成長を牽引。上場後は、経営企画室にて新規事業企画やM&Aを担当しながら採用業務をサポート。2018年株式会社ZENKIGEN入社。HRtech領域のカンファレンス「NEXT HR カンファレンス」を立ち上げ。

初開催のライブ配信の人事相談所

東京都知事の不要不急の外出自粛を求める記者会見があり、急遽開催を決定した「人事課題の相談所」は、当社初のライブ配信セミナーとなる。コロナ禍の有事において、企業の垣根を超え、人事・人材関係者が一丸となって力をあわせることで、逆境を乗り越えていくことを目的に、類似する人事課題を共有、対策の糸口を探っていきたい。
当ライブ配信の事前アンケートでは、採用とマネジメントに関する人事課題の票数が多く、労務関連、テレワーク導入、文化風土、研修、定着と続いた。前半は票数の多いテーマから取り上げ、後半は参加者の喫緊の課題や悩みを募り、フリートークの時間とした。また、Q&Aボタンから匿名にてリアルタイムの相談を受け付けながら進行し、参加者とのライブ感を大切にする場づくりを目指した。

採用活動の停滞と、転職・求職者の増加

最多票数の「採用」の現状として、求職者・転職応募者が急増しており、本来の通勤・ランチ休憩の時間帯に、オンライン面談を希望する傾向がある。
人事は、面接という点に加え、採用ページ、ブランディングなど、包括的な情報の更新が求められる。自社の魅力だけでなく「安心・安全」の情報が重要になる。そして、既存社員のコンディションの確認と、社内向けへの情報提供が大切である。 

新卒採用では、入社日は変更せずとも、一時自宅待機させて就業させず、給与保証するケースが多い。実態は、マネジメントの準備が整っていない。中途採用では、選考工程のスピードを落とす、止める、という企業が出てきている。

テレワークのマネジメントは、家庭環境を想定した配慮が不可欠

テレワークが急速に普及するなか、人事マネジメントでは、具体的にどう気をつけると良いのか。
テレワークが続くと、精神的な疲労が蔓延し、メンタルの不調者がでてくるが、発見が難しい。特に、急遽、テレワークを導入した企業では、運用がうまくいかず疲弊するという相談を受けている。多くの企業が困難にぶつかっている印象だ。テレワークは「仕事をしている」という状況が見えにくく、残念ながら「部下が仕事をしているか、疑心暗鬼になっている」状況がある。まずは、コミュニケーションの頻度を増やし、仕事内容をいつもより丁寧に構造分解して分担することが大切。こまめなフィードバックと、承認と褒めるマネジメントを心がけたい。

メンタル不調に抑止力をかけるために、家庭環境が異なることを理解しないといけない。つまり、既婚率の高い上司の世代に対し、新入社員や若手社員は、一人暮らしであり、終日誰とも会話しない日常を過ごしている可能性がある。動画でのコミュニケーションにより、相手の顔をみて、表情からコンディションを確かめることは、必ず実践してほしい。

また、時間のメリハリにも注意が必要だ。たとえば、ツイッターの利用頻度が多い場合は、ルールを設け、業務時間以外はチャットツールの使用を制限するなど、テレワークの働きやすい環境整備が欠かせない。生産性が向上している自負のある企業では、昼の休憩を1時間から2時間に延ばすケースもあるようだ。

労務関連では、休業にまつわる手当支給の認識不足が散見

リモートワークに切り替える上で、労働条件・雇用契約の条件がリモートの労働環境に適しているか、残業代の扱いはどうなるか、交通費はなしになるのか、就業規則自体の変更の必要性が生じている。リモートワークの労働環境の整備に、お金がかかる社員も多いため、手当を拡充してあげることを対応できているか。できるだけ、GW前迄には社員の悩みを全て解決することをお勧めする。

休業にまつわる手当の支給については、認識不足の人事が散見される。休業手当の算出基準は、実は残業時間も含めた金額・月給に対する算出なので、安易に判断せず、プロ専門家の社労士や労務関連の方などに相談し、社員に告知してあげてほしい。社員からすれば、生活にまつわる重要な問題であるため、対処のミスは不信感や不安な気持ちにつながってしまう。

メンタルの不調者を早期把握において留意すべきは、本人が自覚していないケースである。人事の立場からは、コロナ感染の事象か、メンタルの事象か、早期には非常に棲み分けがしづらいと思う。チェックプログラムやサポートプログラムは数多くあるため、自社にあう方法を調査してほしい。

次回の記事後半では、フリートークの様子を掲載する。

本記事は株式会社ZENKIGEN主催の「コロナ危機における人事課題の相談所」ライブ配信
「CHRO育成アカデミーCANTERAの堀尾 司氏が答える「コロナ危機における人事課題」の実情【第1回目】(前半)」
https://harutaka.jp/column/chro-academy-seminar-1st
からの転載となっております。

Written by

horio
CANTERA責任者 兼 講師 (株)All Personal代表取締役CEO 1973年北海道生まれ。1994年(株)リクルート入社。2004年ソフトバンクBB(株)入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー(株)入社。国内の人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。2014年より東京東信用金庫に入庫し地域活性化に従事。2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。
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