企業文化づくりは冒険?模索しながら取り組んだこの10か月
企業風土と企業文化とは?
そもそも、企業風土と企業文化は何が違うのか。私はもともと国語が苦手でもあり、言葉があいまいだったので考えてみました。
風土…人間の文化の形成などに影響を及ぼす精神的な環境。
文化…複数名により構成される社会の中で共有される考え方や価値基準の体系のことである。簡単にいうと、ある集団が持つ固有の様式ことである。
<Weblioより抜粋>
上記を踏まえて、企業風土と企業文化を以下と考えました。
企業風土…働く社員の人間関係など精神的なものをベースに自然に生まれる環境。
企業文化…企業と社員との間で考え方や価値観などをベースに共有・形成される独自の価値基準やルール。
風土はそこにいる人からうまれてくるもので、文化はビジョンや理念によって作っていけるもの、と考えました。
なぜ企業文化をつくるのが必要なのか?
では、なぜ企業文化をつくらないといけないのか、という疑問が出てきます。
正直創業したばかりのフェーズでは、目標も浸透し全員がその目標に対して必死に事業推進をしていることも多いでしょう。
全員の価値観や状況なども互いに理解できていて、改めて企業文化をつくるということはあまり考えなくても良いかもしれません。
ただ、徐々に人が増えてきたり、創業から少し時間が経つことで、メンバー間でも少しずつ変化が生じたりして、理念への想いの強度にムラがでてくると、何を目指すのかという理念と、どのようにビジネスへ向かっていくのかという行動指針、それを実現するための企業文化が必要になってくるかと思います。
ちなみに、「企業文化」と検索してみると、意思決定の迅速化、チームワーク強化、生産性向上、事業成長、などなど必要性と効果が挙げられていたりします。
私は中でも一番大事なのは“一緒に事業成長をするためのベクトル合わせ”をするための“環境作り”だと思っています。
人はそれぞれ異なるので、全員同じものにすることは難しいのですが、同じ方向をみることで、仲間としての一体感も生まれ、また個々人の強い当事者意識も生まれると考えています。そのため共通関心や共感できる環境が大事ではないかと考えています。
どうやって企業文化をつくるのか?
企業文化の重要性は何となくわかったけど、じゃあどうしたらいいの?
という問いが発生しますが、基本的には以下ステップを踏むと良いと考えています。
Step1 企業の目指す方向(理念、事業戦略、指針)を決める
Step2 現状把握をする
Step3 現状と目指す方向とのギャップを埋める施策のPDCAを繰り返す
以下詳細を見ていきます。
Step1 企業の目指す方向(理念、事業戦略、指針)を決める
これは、企業としてどこを目指しているのか、仲間とどこを目指すのか羅針盤のようなイメージです。この理念や目指す方向は、現状の組織にも未来の組織にも影響を与えてしまうので、しっかり考えて決めた方がいいと思います。
可能であれば、全社員参加で一緒にディスカッションして決めると、皆納得感を持てるだろうと思います。
もし全社員で決めるのは難しければボードメンバーをはじめ、幹部でディスカッション、もしくは社員代表でプロジェクトを組んでもいいかもしれません。
目指す方向を示す羅針盤なので、なぜその方向に冒険にいくのか、指針を決める全員が本気でその指針を信じて周囲にストーリーを語れることが重要です。
結構ここは時間がかかると思いますし、考えた人だけでなく全社員が自分事として同じ思いをもてるようになるのは、継続が大事だと思います。
Step2 現状把握をする
今の組織の状態を確認します。ジャングルを手探りで進んでいる感覚です。
色々やり方はあると思いますが、サーベイをとったり、全社員と面談したり、できるだけリアルに、そして多面的に情報を得て把握する方がと良いと思います。
Step3 現状と目指す方向とのギャップを埋める施策のPDCAを繰り返す
Step1と2でみえてきたギャップを整理し、どうやったら目指す方向に進めるか施策を考えます。ジャングルを抜けるために縄やいかだを作るイメージです。
施策で大事にしたのは、“みんながワクワク楽しみながら取り組み続けられるか?”ということ。誰でも面白くないことを強制されても続けられないし、苦痛になってしまい組織疲弊をうむこともありますので、ワクワクが結構大事かな、と思っています。
それでは私がここ10ヶ月で行ったことを挙げてみます。
当社では、Visionは幹部間で決めていました。
しかし、各社員に会社のビジョンや行動指針が浸透しているか、という点についいては「100%」とは言い難い状況でした。
個々が成長を感じながら、相互に活発な意見がでてInnovativeな文化をつくっていきたいと考え、施策としては以下を継続して実践しています。
◆現状把握:
1.従業員満足度調査(サーベイ)の導入
はじめ私はどんなサーベイをとればいいの?と質問項目の設定で結構悩みました。いろいろ参考にもしましたが、他社のものをそのまま取り入れても白けることもありますし、年齢も職種も幅広い人材が社内には所属しているので、誰が受検しても回答できること、ストレスチェック等法定の内容と重複しないこと、最後まで一気に回答できる問題数は……などなど結構考えてサーベイを作成しました。
また、サーベイをとったあとに集団分析をして、現実として結果を見てもらうために全体にシェアもしたかったので、事前にサーベイの目的や運用方法などを全体に説明を行いました。これは遷移をみるため半期に1度行っています。
2.人事面談
合わせて、サーベイだけではみえないアナログな話も聞きたいと思い、人事面談を全メンバーと実施しています。安心安全の場として話をしてもらうことに注力して、大きく3つ(健康面、業務面、組織面)は必ずきくように決めて面談を実施していきました。
面談の場ででてきた個別の質問に関しては、個人に必ずフィードバックし、組織問題だととらえられたものは情報を集約していきました。面談は言葉だけでなくノンバーバルからのメッセージも情報をとらえたいと、かなり集中して行っています。
余談ですが、私は面談終了後に疲労度が結構高く、スケジュールを詰めて行わないようにした方がいいと思いました。。。
上記でみえてきた課題は、大きく以下2点でした。
・部門内でも部署を超えてでも、コミュニケーションをとりたいと思っているが、なかなか取れていない(用がないと話しかけていいのかな?と思ってしまう)
・こうあったらいいのに、と思うことがあっても、ライトに自分の考えを言い出せない(評価されてしまうのでは?や、相手に迷惑をかけてしまうのではないかと懸念してしまう)
課題がみえたところで、まずは個々に成長を感じてもらいつつ互いに意見を出し合える環境づくりからやってみようかと考えました。
◆取り組んだ施策:
1.次世代型キャリア開発システムを導入
個人の価値観や強みの見える化や、1on1等ができ、相互に働く価値観や強みを知ったうえでコミュニケーションができる環境を整備しました。導入時にはワークショップも開催しています。
2.部活動支援
部署を超えた関心でつながり、コミュニケーションをとりながら活動。定期的に各部の活動内容と盛り上がり感を全社へシェアし、ワクワク感を伝播させています。
3.教育支援制度
自らの学びに会社が支援するもの。上司への申請は不要です。
4.社内ベンチャー制度
誰でも起案できる制度。合わせて月1回アイディアをワイワイ出し合える場をつくります。
5.1on1で対話の時間を作る
リーダーと個人とで対話。1on1の話のネタ一覧もいれた資料を作成し配布、また1on1実施者向けの研修も複数回行っています。
まずは、やるべきとか指示ではなく、まずは社員一人一人が互いに価値観などを理解して、考えを言い合える環境をつくり、活発なコミュニケーションがとれるようにと取り組みました。
取り組み始めてまだ1年未満ですが、徐々に盛り上がってきており、コミュニケーションは活発になってきている感じはあります。
部署をまたいだプロジェクトも以前よりは円滑に進められているようだな、とか、新規事業起案にアイディアが出てきている、という成果が徐々に出てきています。
まだまだやり始めたばかりですので、じわじわっと活性化している感じです。文化として浸透していくまで、愚直にとりくんでいこうと思っています。
最後に、企業文化つくりの施策で私が大事にしているのは「ワクワク」「楽しい」を感じながら実行を継続できるようにするにはどうしたらいいか、と考えることです。
それを考えている私が一番ワクワクしているかもです。
今回の内容は、あくまで私がどう感じて、どうしたらいいか考えて行っているものです。しかもまだ始まったばかりの状態です。もちろん当社で行ったことが他の会社で当てはまるかはわかりません。
しかも、私も模索しながら取り組んでいるので、数年後には失敗だった……と変更しているかもしれません。今のところは楽しく継続できているので、しばらくは進化させながら継続していこうと思っています。
少しでも参考になりましたら嬉しいです。
さいごに〜平岡さんにとっての2020年を総括すると?〜
平岡さん:
2020年を表す言葉としては”挑戦と出会い”ですね。
今年はManagement Schoolで新しい学びを始め、またCANTERAでの執筆を行なったり講師をさせていただいたりと、私にとっては挑戦の連続でした。
そして新たな素敵な方々との出会いがたくさんあり、充実した2020年を過ごせたと思っています。
平岡さんありがとうございました!