CANTERA NOTE

評価制度改定における10の検討論点

評価制度改定における10の検討論点

改定の大筋

まず評価制度検討の具体的な論点についてお話する前に、改定に向けた大筋に触れておきたいと思います。
あくまでも一例ですが、下記の流れが考えられます。

課題の把握(現状とゴールとギャップの把握) → 改定概要検討 → 改定詳細検討 → 導入・運用準備 → 導入

◼︎課題の把握:
組織(会社)としてありたいゴールに対して現状とのギャップを確認することです。このギャップが課題になります。
(問題と課題の違いは省略します。)

課題については視点の差異(経営層と担当者)に留意が必要です。
例えば、社員のモチベーション改善が課題(評価制度における納得度や上司への信頼が低いなど)で人事部としては評価の納得度を高めるための仕組みを改善しようと考えます。

一方で経営層は事業戦略上、既存主力・新規投資の事業で戦略や役割など意識浸透がうまくいっていないのでは?といった視点をもっているかもしれません。

課題の背景や要因を含む課題認識のずれは、打ち手に影響してくるため、最初からゴール・現状・課題について経営層と改定を担当する部門がすり合わせることが必要です。

◼︎改定概要検討~改定詳細検討:
具体的に改定内容を検討する上では、まず概要を検討した上で、詳細を検討します。

例えば評価制度の概要検討では、どのような目的で何を評価するのか、評価の反映先は何にするか、評価の回数はどうするか、などの論点を定めた上で、運用ができるように詳細を検討していきます。
(論点については、後述で触れます。)

◼︎導入・運用準備:
検討された制度を実際に運用できるよう、業務フロー、運用上のルール決定、担当割り当て、必要資料の作成、システム改修などを行います。

上記プロセスを経て改定した制度を導入します。

評価制度の検討論点

では実際に評価制度を改定するにあたり、どのようなことを検討すればよいのか。
概要検討と詳細検討に分けて、こちらも一例ですが共有します。

実際は、課題に対して影響のある論点について検討していくことになり、選択するオプションに応じて想定される効果を踏まえた判断を行うことになるかと思います。

今回は検討論点とその概要について少し広めに共有したいと思います。

■概要検討の論点

1.変更対象の検討
課題に応じて改定する対象(管理職、非管理職、専門職など)を定めます。

例えば、全社における事業戦略と社員のアクションとのずれを解消するという課題があれば、まずはアクション決定(業務計画決定、業務管理など)を行う管理職の制度から改定しようというイメージです。

2.評価要素の検討
会社が社員に求める状態や、状態を作り出す上でのアクション自体を評価要素として検討します。

評価要素はいくつかありますが、大きくは能力(発揮能力・コンピテンシー)・成果の2つに分かれます。
(個人特性を含めて、インプット・プロセス・アウトプットという考え方もあります。)

例えば、成果を上げるための行動の原動力となる成長実感をより得てもらう為に、仕事の成果だけでなく、その仕事に必要なスキルの習熟度(求められるスキルとのギャップ)を評価要素に含めるといったイメージです。

3.評価手法の検討
評価要素に対して評価する上での方法を検討します。

大きくは評価項目が固定されているパターン、自ら評価項目(目標)を設定するパターンに分かれると思います。

また、評価者の観点として、上司(いわゆる評価者)が評価するケース、部下・後輩・同僚含め周囲が評価するケース、会社として共通視点で評価するケース(数値指標に対する評価)なども考えられます。

例えば、自身で目標設定し評価者から評価を得る場合はMBO:Management by Objectives形式になり、会社が目標設定・評価者・同僚・部下が評価するということであれば多面評価になるというイメージです。

4.評価プロセスの検討
評価の実施事項(評価段階(一次・二次など)や評価の目線合わせを行う会の有無)、役割、順序について検討します。

例えば、事業の立ち位置やあるべきアクションの浸透に対して評価者間の目線が合っていないため一次・二次評価者を集めて評価者会議を行う、評価者の目線が揃っても被評価者の納得度が低いとアクションにつながらないため、評価時期以外に1on1を行いフィードバックの連続性を担保する機会を設けるといったイメージです。

5.評価反映先の検討
評価要素・手法により導き出した評価をどういう形で何に影響させるのかを検討します。

反映先は、主に給与(基本給やインセンティブなど)、賞与、昇降格があります。

反映する上での評価形式としては、評価要素ごとに評価結果があり、それぞれに反映先がある形式、複数の評価要素についてまとめて一つの評価結果(総合評価)を用いてそれぞれに反映させる形式などがあります。

6.評価サイクルの検討
評価の対象期間や回数を検討します。年間の賞与支給回数や昇給回数など報酬制度の考え方も踏まえて検討する必要があります。

例えば、半年から1年で商品開発~リリースまでを行う会社であれば成果をタイムリーに振り返り・反映させるために半年単位で評価する、能力の蓄積は短サイクルでは厳しいため評価は半年でも給与反映は1年単位とするといったイメージです。

以上が概要検討時に想定される論点になります。
続いて詳細検討時の論点に移ります。詳細検討は概要検討の内容をベースに検討します。

■詳細検討の論点

7.評価項目の検討
要素別の具体的な評価項目を検討します。

能力であれば職務上必要な能力(企画力、分析力など)、コンピテンシーであれば求められる成果を上げるに必要とされる行動(論理的思考・意思決定など)などがあります。

また、MBOについては項目(目標)を自ら考え設定しますが、設定してほしい方向性を示すためにテーマ(定量・定性、BSC:Balanced Scorecardなど)を用意するケースがあります。

8.評価時の記入情報の検討
定められた評価要素や評価プロセスに基づき、評価時(目標設定も含む)に本人や評価者が記入する情報を検討します。

主に目標達成基準(どの水準を達成とするか)、評価理由、評価結果、総合コメント(改善点の示唆)などがあります。

評価だけを切り取れば評価者情報が多いと認識合わせがしやすくなり納得感につながるといえますが、可視化されている分、評価者にスキルが求められます。

9.評価基準の検討
評語の段階数、基準の定義、表記(記号(1~5、S~Dなど)、Descriptors(MeetObjectives、Achievingなど)を検討します。

例えば評価段階を奇数(100%達成を設定)とするか偶数とするか、段階数を多くもたせるか(7~8段階)など、想定する評価傾向や報酬結果(原資影響)を考慮して設定するイメージです。

10.最終評価調整、評価母集団、原資配分
最終的に給与・賞与・昇降格などに反映させる評価について、原資影響を踏まえてどのように決定するかを検討します。

例えば、絶対評価・相対評価の適用、評価調整時の母集団(同等級、同部署)などを設定します。

Ex.その他(運用段階での設定でもよい)
他にも、評価スケジュール、評価対象外ルール、兼務時対応、期中入社者対応、目標変更などの論点も課題によっては発生します。

以上が詳細検討時に想定される論点になります。

また、論点としては挙げていませんが、運用で利用するシステムへの影響にも留意が必要です。

いざ導入しようとする際に、システムの抜本的な改修が必要、システムでは対応できず運用負荷が増大するといったケースも発生しうるため、概要・詳細検討と並行して検討されることをお勧めします。

ここまでいくつかの論点に触れてきましたが、実際の改定では複数人で協議・合意を取りながらプロジェクトとして進めていくケースが多いと思いますので、最後にプロジェクト管理の補助となるツールについて共有したいと思います。

WBSによる進捗管理

使用するツールは、プロジェクト管理において耳にすることが多いWBS(Work Breakdown Structure)ですが、ご紹介するのは、改定に向けたタスク管理にあたり、検討すべき(決めるべき)論点を管理項目に含めるという考え方です。

論点はいわば改定に向けて決定すべきことであり、必要な論点を決定すれば改定内容が出来上がるという前提に立ち、論点を項目としてスケジュール管理をしていきます。

例えば、改定の概要を決定するというタスクがあった場合、それに紐づく具体的な論点を項目として記載するというイメージです。

※論点を項目としたWBSのイメージ

作成・管理する上でのポイントは、できる限り想定される論点をWBSに記載し、スケジュールを設定しておくということです。
(日程については、初めのうちは仮でもよいと思います。)

制度改定を進めるにあたり注意したいのは、検討すべきことを見落として後から時間のない中で決めなければいけない、論点ごとの影響に気付かず一度決めたことを改めて決めなおす、といった事象です。

これは、検討を進めるにつれて論点が多くなり余裕がなくなるため見落としてしまう、論点間の影響に気付かず検討を進めてしまうといった要因が考えられます。

先述したポイントを実施すれば、論点の見落としの軽減、論点ごとの関係性や順序の整理が行えるため、これらの事象を回避することにつながります。

もちろん、従来のタスク管理や進捗管理にも活用できますので、よろしければご参考ください。

さいごに〜上田さんにとっての2020年を総括すると?〜

上田さん:
今年は壁にぶつかりつつも、いろんな方に助けて頂いた1年でした。

今年と言いつつ毎年ではありますが、未経験のテーマに対してこれまでの経験を組み合わせつつ、経験者の助言や書籍などでインプットしつつ、お客様の期待に応えられるようアウトプットしていくことの繰り返しなので、常に様々な方に助けて頂いて今日も仕事ができていると思っています。

一方で、個人的に新たな課題も見えてきているので(というか課題だらけ)、どこまでやる気と根気が続くか心配ですが、、、来年もこのCANTERA NOTEで気を引き締めさせてもらいつつ、よい1年にできればなぁと思っています!

そして、恐縮ですがこの場をお借りして、私のつたない記事にお付き合いいただき、お読みいただいた方々へ、心より感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

来年も不定期にはなりますが、記事を掲載していきたいと思いますので、お気づきの際はご覧頂けますと幸いです。

人事制度についてより深く学びたい方はこちら。

Written by

Akiyoshi_Ueda
CANTERA ACADEMY1期卒業。 大学卒業後、採用・組織コンサルティング会社にて、メーカー・サービス業・建設業・運輸業などの企業に対して新卒採用戦略立案・実行、社員向け教育研修を支援。その後、大手SIerにて人事制度企画、ソーシャルゲームパブリッシャーにて人事責任者として人事制度、労務、採用など、人事関連の各種プロジェクトマネジメントを実施。 現在は、総合系コンサルティングファームの組織人事コンサルタントとして、新会社設立・人事制度導入・人事機能設計・労務マネジメント施策などの制度・労務領域を中心にプロジェクトを推進。
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