串カツ田中HD人事部長と企業の成長の原動力となる組織作りや文化創りを探る【前編】

最終更新日:2021/02/19

Writing by:上川 宙士

2021年1月5日、串カツ田中HDの人事部長であり、CANTERA ACADEMY3期卒業の五十嵐さんを迎えて、企業の成長力の原動となる組織作りや文化創りに関してのウェビナーを実施しました。


コロナ禍で逆風を浴びている外食産業で、どのように人事部が企業の成長に貢献できるのでしょうか。五十嵐さんのお考えや施策について、CANTERA代表堀尾司がインタビューしました。

登壇者プロフィール

五十嵐 祐幸
CANTERA ACADEMY3期卒業。
北海道の住宅メーカーにて13年セールスとして活躍後、組織・人事のコンサルタント企業へ転職、人事領域へ。その後スポーツメーカーにて人事責任者を担い、2020年12月串カツ田中ホールディングスの人事部長に就任。

堀尾 司
2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。
現在、HRプロダクト開発をメイン事業としながら(株)ベクトルグループ、(株) PR TIMES、SMBCコンサルティング(株)等の人事顧問を務める。過去約200社のスタートアップや成長企業の支援実績。CHRO育成アカデミーCANTERA責任者。Twitter: @horio_jp

コロナ禍で苦境に立つ外食産業へ転職した理由

堀尾:さっそくですが、五十嵐さんは2020年12月に、串カツ田中HDの人事部長として就任されていますよね。なぜ今、外食産業への転職を決断されたのですか?

五十嵐さん(以下、五十嵐):外食産業は誰かと誰かが語り合って貴重な時間を過ごす場を提供できる、とても素晴らしい業界と考えています。一方で、いろいろな課題があるのもまた事実。その課題を解決していきたいと思ったのが決断の理由です。

堀尾:今のコロナ禍において外食業界に転職するということは、相当な決断があってのことと思います。

五十嵐:コロナ禍によって飲食業界はとても大変な状況で、残念ながら閉店する飲食店も多いのが現実です。しかし、その一方で勝負できる機会が増えているのもまた事実。この機会を、私自身はチャンスと捉えています。

そもそも転職をしようと考えたのは、このコロナ禍で悔いのない人生にしたいと思ったことがきっかけなんです。

堀尾:そうだったんですね。

五十嵐:はい。今こうして人事のキャリアを歩むきっかけになったのは、学生時代にやっていた野球の経験と、「人の心に火をつける」という言葉に出会ったことでした。

私は学生時代に野球をしていて、キャプテンやチームをマネジメント、モチベートする立場を経験をさせてもらいました。そして人事もまた、社員をどうモチベートしていくか、どう心に火を付けるかを考えて実行し、成果を出すものだと考えています。



なかでも、飲食業界はまさに社員のモチベートが大事な産業だと思うんです。

そこで「この職場ではやれることがたくさんあるのではないか」「ここで
自身の培った経験を活用したい」と考え、ご縁をいただいた串カツ田中HDに入社することとなりました。

今、自身の人事のキャリアで初めて「コネクティング・ドッツ(スティーブ・ジョブズの名言)」の感覚を持てていますね。

入社してまず取り組んだ「組織改革」。“新参者”は現場に立つことも重要

堀尾:入社して、まず取り組んだことは何でしょう?

五十嵐:入社してまず取り組んだのは、組織に「人事総務部」を再構築することです。

そもそも
串カツ田中の規模は、現在社員300名、アルバイト2,000名で、270店舗。ゆくゆくは1,000店舗を達成できるよう、皆で頑張っています。


会社規模はここまで大きくなったものの、これまで「人事の機能」は営業部門の傘下に、「総務の機能」は経営戦略部門の傘下にありました。

しかし今後の成長を考えると、この組織構造を変える必要があると思ったんです。

堀尾:なるほど。組織構造そのものから変えていく必要があったと。

五十嵐:あと、入社して率直に感じたのは「社員教育の仕組みに課題があるな」ということ。部門毎に最適化させた教育の実施だけではなく、全社で統一した教育の仕組みを構築する必要があると考えました。

堀尾:そのほか、入社後に意識的に実践したことはありますか?

五十嵐:入社して最初に会社にお願いしたことがありました。それは、実店舗に立たせてもらうことです。

というのも、現場の実情を知らなければ、適切な人事施策は打てないと私は思うんです。それに加えて、現場のメンバーに「本部の人間が現場のことをわかっている」という意識を持ってもらうことも大事だと考えています。

また、早く組織に溶け込むために、新参者はコミュニケーションを積極的に取ることが大事です。円滑なコミュニケーションのためにも、現場での経験(ネタ)はとても役に立ちます!

堀尾:例えば、どういったネタがあるのでしょうか(笑)?

五十嵐:ネタの1つをご紹介しますね。下の写真は、私が店舗で実際に揚げた串です。右端はエビなのですが、本来、しっぽには衣をつけません。しかし誤って全部に衣をつけてしまったため、何の串だかわからない失敗作となってしまいました(笑)。この「やらかし」が、メンバーとコミュニケーションを取るきっかけになるんですよね。

MVVの策定で、社員の意識改革を目指す

堀尾:組織づくりのために取り組んでいることについて教えてください。

五十嵐:まず、人事総務部のMVVを作りました。現在、次のようなMission、Vision、Valueを掲げています。

◯Mission:世界中をKTHDファンに!!

◯Vision:会社のミッションに共感している社員が、世界一目を輝かせて働ける会社をつくる

◯Value:すべては1本の串カツから始まる/ONE TEAM/1.5歩先/高い視座・広い視野/More・More集団/Mote・Mote集団

MVVの浸透によって成し遂げたいことは、社員の意識改革。目指す社員像は、「社員が主体的に情報を取りに行く状態」です。

堀尾:MVVの策定には、どんな背景があったのでしょうか。

五十嵐:人事部門における採用は成功していても、採用・配属後に社員がバリューを出せるような支援はできていない状態だったんです。特に店舗配属された社員など、人事部門の管轄を離れた社員をケアするといった「部門を超えた行動」の意識は、まだまだ弱いと感じています。

そういう意味で、意識改革をする必要があると考えました。

人事部門での新たな取り組みとは?「振り返り」を習慣化する施策も

五十嵐:「コスト意識」を社員全員に浸透させるのも、人事として重要なことと考えています。どんな施策も、1本の串カツを提供するなかでのコストから実行できているという意識を忘れてはいけません。

また、「振り返り」というアクションを徹底してもらうことも始めました。これまでは「〜〜を実行しました」という報告で終わっていることが多く、効果検証が甘いと感じたんです。次のアクションにつなげたり、より良いアクションをしたり、ときに「やめる」という判断を下したりするにも、検証は必要です。そのため、振り返りの習慣は何としても組織に浸透させたいと考えています。

堀尾:「振り返り」の浸透のために、何か意識されていることはありますか?

五十嵐:「一行日報」という施策を取り入れました。これは、1日の振り返りや気づきを記入するというもの。こうして振り返りを習慣化することで、新たな気づきが発生しやすくなりました。私自身、振り返りによって日頃の経験をどう活かすかが大事だと考えています。

ほかにも、人事部門では新たな施策を始めています。

堀尾:新たな施策というと、どういったものですか?

五十嵐:「人事総務部会」として、定期的に部会を開催するようになりました。これは単純な報告会ではなく、参加メンバーがディスカッションできる会にすることを目指しています。

日頃、

自分の業務に没頭していると、どうしても視座が低く視野が狭く、近視眼的になりがちです
。しかし、自らの成長、組織の成長のためには、視座を高く、視野を広く、中長期的な視点を持つことが大事。この部会は、そのための気付きを生む時間にしたいと考えています。また、業務改善のアイデアについてメンバーに意見を求め、発散と収束の場としても活用しています。

あとは、「業務の見える化」を推進するようになりました。成果を上げるために効率化は必要なので、属人的な領域を含めて改善に取り組んでいます。

合わせて、メンバーに成長してもらうためにも、自分がやりたいことをやってもらうためにも、どんどん権限委譲することを意識しています。メンバーを味方にする意識も大事です。

堀尾:意識改革に向けて、さまざまな面からアプローチされていることがよくわかりました。

五十嵐:そのほか、「イガラシのつぶやき」として、私が感じたこと、考えたこと、紹介したい記事や本など、どんどん発信しています。私の経験談(特に失敗談)や考えが社員にとって何らかの気づきになってくれれば……という思いで始めました。

つぶやきを読むことを強制はしませんが、読んだら「いいね!」をお願いしています。内容について、感想や意見、質問等の双方向のやりとりも歓迎していて、社内でのコミュニケーションを高めるようにしています。

堀尾:「振り返り」の浸透のために、何か意識されていることはありますか?

五十嵐:「一行日報」という施策を取り入れました。これは、1日の振り返りや気づきを記入するというもの。こうして振り返りを習慣化することで、新たな気づきが発生しやすくなりました。私自身、振り返りによって日頃の経験をどう活かすかが大事だと考えています。

ほかにも、人事部門では新たな施策を始めています。

堀尾:新たな施策というと、どういったものですか?

五十嵐:「人事総務部会」として、定期的に部会を開催するようになりました。これは単純な報告会ではなく、参加メンバーがディスカッションできる会にすることを目指しています。

日頃、

自分の業務に没頭していると、どうしても視座が低く視野が狭く、近視眼的になりがちです
。しかし、自らの成長、組織の成長のためには、視座を高く、視野を広く、中長期的な視点を持つことが大事。この部会は、そのための気付きを生む時間にしたいと考えています。また、業務改善のアイデアについてメンバーに意見を求め、発散と収束の場としても活用しています。

あとは、「業務の見える化」を推進するようになりました。成果を上げるために効率化は必要なので、属人的な領域を含めて改善に取り組んでいます。

合わせて、メンバーに成長してもらうためにも、自分がやりたいことをやってもらうためにも、どんどん権限委譲することを意識しています。メンバーを味方にする意識も大事です。

堀尾:意識改革に向けて、さまざまな面からアプローチされていることがよくわかりました。

五十嵐:そのほか、「イガラシのつぶやき」として、私が感じたこと、考えたこと、紹介したい記事や本など、どんどん発信しています。私の経験談(特に失敗談)や考えが社員にとって何らかの気づきになってくれれば……という思いで始めました。

つぶやきを読むことを強制はしませんが、読んだら「いいね!」をお願いしています。内容について、感想や意見、質問等の双方向のやりとりも歓迎していて、社内でのコミュニケーションを高めるようにしています。

後半では、コロナの影響で会社に起こった変化や、新たに実践した施策について引き続き伺います。

風土作りやマネジメントについて学びを始めたい方はこちら。

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執筆者

上川 宙士

CANTERA ACADEMY6期卒業。

オートリース⇨人材紹介⇨イベント運営⇨人事周りへの商材を経験。
ある方に「人事の仕組みを知らずに働くのは、ルールを知らずにスポーツをするに等しい」という話を聞きCANTERAに参加。

CANTERANOTEの裏方として少しお手伝い。

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(本記事はインタビュー後編です)

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リファラル採用の活用による生産性の向上②

前回の記事ではリファラル採用のメリットについて述べてまいりました。
今回は対となるデメリットやリスクについて述べてまいります。
何のために採用をするのかという、そもそも論を意識せずに、ツールの機能のみに意識を奪われないよう注意する必要がありますね。

リファラル採用の活用による生産性の向上①

新型コロナウィルスの影響で、昨今企業の採用「枠」はかなり小さくなりました。その一方採用を積極的に行っている企業もまた存在します。
さて本テーマであるリファラル採用を適切に実行できる企業は、需給バランスが急激に変動した現在においても良いご縁を得る可能性が高いと考えられます。
なぜならリファラル採用を適切に実行できる企業には「嘘」がなく、「企業の課題」もオープンにされているので、認識齟齬による労働者と企業のご縁が悪くなる可能性がとても低いからです。
企業側にとっても経営が苦しい中、採用に関して外部機関に頼ることで発生するコストは極力抑えたいのではないでしょうか。せっかくコストをかけて採用した社員がすぐに離脱してしまうという事故も防ぎたいのではないでしょうか。
労働者と企業側双方にとって導入メリットが高いと考えられるリファラル採用は、今後抑えておく採用トレンドだと考えます。ちなみにリファラル採用はGoogle社でも強く推奨されています。