串カツ田中HD人事部長と企業の成長の原動力となる組織作りや文化創りを探る【後編】

最終更新日:2021/02/21

Writing by:上川 宙士

2021年1月5日、串カツ田中HDの人事部長であり、CANTERA ACADEMY3期卒業の五十嵐さんを迎えて実施した、企業の成長力の原動となる組織作りや文化創りに関するウェビナー。

コロナ禍で逆風を受ける外食産業で、人事部はどのように企業の成長力に貢献していけるのか、五十嵐さんのお考えや施策について、CANTERA代表堀尾司がインタビューしました。

(本記事はインタビュー後編です)

前半はこちら。

登壇者プロフィール

五十嵐 祐幸
CANTERA ACADEMY3期卒業。
北海道の住宅メーカーにて13年セールスとして活躍後、組織・人事のコンサルタント企業へ転職、人事領域へ。その後スポーツメーカーにて人事責任者を担い、2020年12月串カツ田中ホールディングスの人事部長に就任。

堀尾 司
2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。
現在、HRプロダクト開発をメイン事業としながら(株)ベクトルグループ、(株) PR TIMES、SMBCコンサルティング(株)等の人事顧問を務める。過去約200社のスタートアップや成長企業の支援実績。CHRO育成アカデミーCANTERA責任者。Twitter: @horio_jp

深刻なコロナ禍でも、社長の前向きな発信が力に

堀尾:コロナの影響で、会社の雰囲気はどう変わりましたか?

五十嵐:会社の雰囲気は、暗くなってはいませんね。会社として過去にも苦境を乗り越えてきた経験が活きているのだと思います。深刻な状況ではありますが、社長が社員へ前向きなメッセージを出していることが、効果を出していますね。

堀尾:社長の姿勢やメッセージで、会社の雰囲気は大きく変わるでしょうね。

五十嵐:トップの前向きな発信はとても大事です!

一方で、人事部としては社員へメッセージを出せていないことが、新たな課題となりました。社員がどういうマインドで頑張っているかを念入りに調べ、皆の心に響くメッセージを出せるようにしていきたいです。

外食産業のイメージを変える施策とは?新たなキャリアパスも模索中

堀尾:外食産業にはネガティブなイメージを持つ人もいると思いますが、それを払拭するために実施している施策はありますか?

五十嵐:イメージを良くするのは、エンゲージメント強化だと考えています。そのため、今はエンゲージメント強化施策を実行中です。

人事部として、社員を採用して終わりではなく、入社した社員が抱く期待と相違なく、串カツ田中での将来を描けるようにしていきたいと考えています。そのためにも、冒頭お話したように人事部も現場を知り、新入社員の期待値のずれを解消し、早期離職防止に努めていきます。

堀尾:ワークシェアやジョブチェンジなど、社員の雇用を守るために検討している施策はありますか?

五十嵐:雇用を守る施策は、今のところはありません。しかし、外食産業で働く人の新たなキャリアパスを作りたいと考えています。

外食産業で働く人のキャリアパスは「スタッフ→店長→エリアマネージャー→本部勤務」といったスタイルが大半。しかし、キャリアとして本部に行くのが全てではないと思うんです。例えば、社員との関係を業務委託形態にしているタニタさんもその一例。このように、キャリアに新たな仕組みを入れられないかと考えています。

串カツ田中が人事施策として参考にしている企業・競合企業は?

堀尾:先ほどタニタさんのお話が出ましたが、人事施策として参考にしている企業はありますか?

五十嵐:APカンパニーさんの施策を参考にしています。期待を超えるサービスの積み重ねこそが感動を引き起こし、再来店につなげる。接客担当者が一定の予算内で自由にサービス(販促)を企画実行するという考えは、とても参考になります。

堀尾:新たな施策を実行する際には、外部の力を活用することもあるのでしょうか?

五十嵐:新規施策は、基本的に自社のマーケティング部門が担っています。

堀尾:ちなみに、競合企業はどこだと考えていますか?

五十嵐:特に、特定の企業を競合とは考えていません。ただし、ベンチマークとしては鳥貴族さんを参考にしていますね。社長同士も仲が良いので。

カルチャーを否定せずに、組織に変革を起こしていく

堀尾:カルチャーを大切にしつつ、今までの組織に変化を起こすには、どのようなことが大切だと思いますか?

五十嵐:今のカルチャーを否定しないこと。これまでのカルチャーを肯定的に受け止めて、より良くしていく姿勢が大事だと考えています。

堀尾:実際、今のカルチャーに関してはどんな印象をお持ちですか?

五十嵐:これまで、串カツ田中の文化は現取締役層が築き上げてきました。素晴らしい文化であると同時に課題もいくつかあるので、それは率直に伝えています。その意見をも肯定的に受け止めてくれる文化は素晴らしいと感じています。

一方で視点を現場に変えると、残念なことに、これまで実施してきたエンゲージメントサーベイの結果を受けた施策を打てていないという実情がありました。

そこで、サーベイの結果を人事総務部が引き取り、「今後はワークショップの実施やマネジメント層との面談を通じて諸々の改善を図る」というメッセージを全社に出しました。今後は、社員の期待感も増し、良い効果があらわれると思います。

施策を通すための工夫は?人事制度では仕組みの構築もカギに

堀尾:組織変革をおこなう上でも、事業や業種の理解は不可欠かと思います。キャッチアップをおこなう上で工夫されたことや、苦労されたことはありますか?

五十嵐:事業の理解については、至らない点が多いのが正直なところです。わからないので、わかる人に聞いてしまう。そうして聞きに行くことが、良いコミュニケーションにつながりますね。

また、今は組織開発の書籍や社員の業務委託に関する書籍、タレントマネジメントの書籍を読んでいます。そもそもの理解がなければ、施策を立案しても経営層に納得してもらえません。

堀尾:キーパーソンとの連携や、仕組みの構築などが運営の力を強めることもあるかと思いますが、そういった面では、今後どのような施策を考えていますか?

五十嵐:仕組みでいうと、ゼロベースからの構築が必要なこともあります。例えば、人事制度や教育制度がそれにあたります。

人事制度に関して言えば、先日、社内のマネジメント層向けに評価者研修を実施しました。テーマは「役職者とはなんぞや、目指すべき方向はどこか」といった内容です。

ありがたいことにマネジメント層が素直に受け止めてくれたので、行動変容にもつながる有意義なものになりました。また、本社にいるマネージャー同士でコミュニケーションをとる機会は少なかったようで、コミュニケーションの面でも意味のある場となりました。

「外食産業のマイナスイメージを払拭したい」コロナ禍における今後の展望

堀尾:コロナ禍において、変えていきたいことはありますか?

五十嵐:「外食で働きたい」と思う人が世の中に溢れるようにしたいですね。外食産業は離職率も高く、労働環境などマイナスのイメージが強いのが実情です。そのイメージを払拭していきたいです。

ゆくゆくは、串カツ田中HDが外食産業の人事コンサルタントとしての機能を果たしていきたいですね!

堀尾:今後の目標や展望についてお聞かせいただけますか?

五十嵐:早く自分のポジションを上げていきたいと考えています。

これは、単に出世することではありません。今私がいるポジションでないと、やりたいことができない社員がいるはずだからです。早く私のポジションを譲るためにも、私自身が上のポジションに移ることが必要なんです。

実はこの数年間、短期で転職を繰り返してきたこともあり、今の職場では深く人事の仕事に取り組みたいと考えています。「五十嵐に任せてよかったな」と皆に思ってもらえるようにしていきたいですね。

堀尾:これからの五十嵐さんの活躍も期待したいです。五十嵐さん、本日はありがとうございました!

風土作りやマネジメントについて学びを始めたい方はこちら。

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執筆者

上川 宙士

CANTERA ACADEMY6期卒業。

オートリース⇨人材紹介⇨イベント運営⇨人事周りへの商材を経験。
ある方に「人事の仕組みを知らずに働くのは、ルールを知らずにスポーツをするに等しい」という話を聞きCANTERAに参加。

CANTERANOTEの裏方として少しお手伝い。

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リファラル採用の活用による生産性の向上②

前回の記事ではリファラル採用のメリットについて述べてまいりました。
今回は対となるデメリットやリスクについて述べてまいります。
何のために採用をするのかという、そもそも論を意識せずに、ツールの機能のみに意識を奪われないよう注意する必要がありますね。

リファラル採用の活用による生産性の向上①

新型コロナウィルスの影響で、昨今企業の採用「枠」はかなり小さくなりました。その一方採用を積極的に行っている企業もまた存在します。
さて本テーマであるリファラル採用を適切に実行できる企業は、需給バランスが急激に変動した現在においても良いご縁を得る可能性が高いと考えられます。
なぜならリファラル採用を適切に実行できる企業には「嘘」がなく、「企業の課題」もオープンにされているので、認識齟齬による労働者と企業のご縁が悪くなる可能性がとても低いからです。
企業側にとっても経営が苦しい中、採用に関して外部機関に頼ることで発生するコストは極力抑えたいのではないでしょうか。せっかくコストをかけて採用した社員がすぐに離脱してしまうという事故も防ぎたいのではないでしょうか。
労働者と企業側双方にとって導入メリットが高いと考えられるリファラル採用は、今後抑えておく採用トレンドだと考えます。ちなみにリファラル採用はGoogle社でも強く推奨されています。