明日から実践!「採用CX」を意識するためにおさえるべき2つのポイント

採用CXとは

採用CXとは、候補者が自社のことを認知してから応募、面接、入社するまでの一連のプロセスを”体験”として捉えたものです。
実際に入社するか否かに関わらず、「選考活動において出会うすべての候補者に対して良い体験を届けよう」というのがCXの概念。私は採用CXが向上することで、会社そのもののファンを増やすことも採用活動をするうえで非常に重要だと考えます。
ただ、採用CXの向上をテーマにすると、その手法は求人票や採用サイトの見直しから、自社SNSの活用など多岐に渡ります。採用という分野に留まらず、広報・PRの観点も取り入れながら進めていく必要があるため、いち採用担当者が取り組むには大きすぎるテーマかもしれません。
今回は、CX向上のために新たなツールを活用するという話ではなく、「目先の採用案件をより前に進めるために、現状にCX視点を取り入れた採用を行う」ということを中心にお伝えします。
採用CXを意識するための2つのポイント

1.候補者の「転職動機」は一つとして同じものはない
当たり前の話ですが、候補者すべてに「転職を検討している理由」が存在します。
「給与を上げたい」「残業が多い」「スキルアップが見込めない」「上司と合わない」など、転職理由は人によって異なります。つまり、「現状抱えている想いに対して、組織や仕事を変えることで解決したい」というのが、候補者が転職を考える理由なのです。転職”先”を決定する理由もまたさまざま。現状抱えている不満を解消してくれる会社を求めています。
また、転職に至るまでのストーリーも人それぞれです。そのストーリーを深掘りすることで、自社の求める人物像にマッチするかを見極められると考えています。
例えば、下記のような候補者がいたとしましょう。
(例)
とある候補者は学生時代の経験から得たものをもとに新卒の会社を決め、置かれた環境下で〇△のスキルを得て自分なりに創意工夫しながら結果を出してきた。
そこから新たに知見が広がり、〇△に加え✕というさらに自分自身でコミットする領域を広げていきたい。
しかし、今の会社ではそれが実現できない理由がある。
ここがクリアになることで、より成長して自分の将来的なビジョンに近づけるのではないかと考えている。
このストーリーを理解すると、候補者が抱える課題感に対して自社が何を提供できるか、自ずと語りたくなってきませんか?
つまり、転職動機につながるストーリーをもとに、現実的に自社が提供できる要素と照らし合わせ、「実現可能な転職体験」を決定するのです。そのうえで、候補者の考え方や価値観が自社のフィロソフィーと合うかまで深掘りしていくとよりよいでしょう。
2.採用基準を言語化しよう

候補者の転職動機時の課題を解決できる環境が自社にあるとしても、無視できないのは「採用基準」です。
たとえば、「25歳~35歳以下の優秀でコミュニケーション能力の高い方」というペルソナ条件を設定したとしましょう。これでは「優秀=営業成績がいい」なのか「優秀=高学歴でいい会社に勤めてきた」なのか、「コミュニケーション能力が高い」=「理路整然と自分の話をできる人、あるいは会話のテンポやテンションを相手に合わせるのがうまい」なのか、自社の採用にかかわる人それぞれで解釈に差が生まれてしまいます。
こういった解釈の差が生まれないように、採用基準を明確に言語化し、そのうえでどんな人でも具体的に判断できる基準にまで落とし込む必要があります。
たとえば、当社では、一定の結果を出している人がなぜその成果を出してきたのかに着目し、それが「自分の力で考え抜いて動いた結果」であるかどうかを重要視しています。その過程において定めた採用基準を超えているかどうかを見ることで、採用現場間でのミスマッチも起こりにくくなりました。
採用CXを意識した採用で、自社の事業成長につなげよう
転職は、間違いなく人生を左右する決断の一つです。候補者の人生にとって自社への転職がハッピーな結果につながるかどうかを考えれば、自ずとその候補者の転職体験をイメージすることが重要であるということにも気づくのではないでしょうか。
採用の場は、“イイ”候補者の能力を見極めて判断する時間ではなく、自社にマッチするかどうかの“すり合わせ”をする時間です。企業と個人がベストマッチングできれば、自社の事業成長という目的も果たせるに違いないと思っています。
Written by
