1on1ミーティングを徹底解説!大企業がこぞって導入する理由とは
昨今耳にすることが多くなった「1on1(ワンオンワン)ミーティング」という言葉。上司と部下が一対一で話すミーティングを指しますが、従来のミーティングとは何が違うのでしょうか。1on1ミーティングのメリットや1on1ミーティングで話したい内容について紹介します。
1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングとは「上司と部下の信頼関係を築くこと」を目的に行う、上司と部下による一対一のミーティングのこと。良好な関係を築いた上でマネージメントを行い、部下の成長を促進する狙いがあります。アメリカのシリコンバレーで根付いているカルチャーで、日本でも昨今多くの企業が導入を始めています。
同じ「上司と部下の一対一で行う」形式のミーティングに、人事査定の結果を伝えたり、部下の今後の目標値を設定したりする評価面談があります。また、「すぐに解決したい仕事上の案件相談」や「トラブル報告」、「部下への叱責」、「上司への苦言」などの人目があるとしづらい話も、一対一のミーティングを設定して行いますが、それらと1on1ミーティングが異なるのは次の点です。
- ・短いスパンで何度も行うこと
- ・一方的なコミュニケーションの場ではないこと
- ・相手への評価、叱責を伝える場ではないこと
- ・直近の仕事の相談ではなく、中長期的な話ができる場であること
- ・プライベートを含む部下の悩みに寄り添いながら、仕事での成長を促すこと
- ・1回のミーティングで何かを解決したりすぐさま成長を促したりするものではないこと
大前提はあくまで「信頼関係を築くためのミーティング」。そのため、毎週1回30分で設定している企業もあり、頻度の高さが特徴です。
1on1ミーティングのメリット
上司と部下との間に信頼関係を作る1on1ミーティング。信頼関係ができることで、以下のようなメリットが生まれます。
- ・部下の意欲が高まり生産性が向上する
- ・部下の離職防止につながる
- ・上司のマネジメントの質が向上する
- ・社内の風通しが良くなり、働きやすくなる
- ・相談しやすい環境になり、トラブルを未然に防ぎやすくなる
信頼関係は、互いの心のうちを話し合える相手に芽生えます。また、「どんな話でも受け止めてくれる」「自分に興味を持ってくれている」と感じられる相手であれば、より一層信頼できるもの。信頼関係を構築できればさまざまなメリットが生まれますが、その信頼関係を作る上で、1on1ミーティングはとても有効的な手段なのです。
1on1ミーティングの実施5STEP
1on1ミーティングはどのように実施すれば良いのでしょうか。実施に向けた5STEPを紹介します。
STEP1 アナウンスする
まずは1on1ミーティングの実施をアナウンスします。
部下の中には「1on1ミーティング」という言葉にまだ耳馴染みがない人もいるでしょう。また、上司と一対一であることに身構えてしまう社員もいるはずです。そのため、アナウンスする際は「1on1ミーティングを実施する」と伝えるだけでなく、「成長のためのミーティングであること」「堅くならず、話したいことを話して良い場であること」を伝えます。
STEP2 設定する
アナウンスが済んだら会議を設定しましょう。
短いスパンでの定期的な実施が望ましい1on1ミーティングでは、ミーティング時間を固定するのがおすすめです。「毎週水曜の○時から」「毎月第○営業日の○時から」などと固定すれば、次回の設定の手間も省ける上、慣習化しやすいでしょう。
STEP3 アジェンダを用意する
1on1ミーティングを設定したら、ミーティング当日に向けて話したいアジェンダを作成しておきましょう。
社員ごとに抱えている問題やステージが違うため、アジェンダを作成する場合は異なる内容で作成します。作成した後は、「この質問だと答えづらくないか」の視点でチェックすることも忘れずに。
STEP4 1on1ミーティングを実施する
作成したアジェンダをもとに1on1ミーティングを実施します。
1on1ミーティングは信頼関係を構築するための場であることを忘れず、威圧的にならないように気をつけましょう。カジュアルな雰囲気作りにつとめ、相手が本音を話やすい環境を整えます。
話す割合は、部下が7割以上であることが理想です。上司は傾聴に努め、部下が話しやすいように相槌を打ったり共感を示したりするなどして、「部下が自ら話し、考え、結論を出す」手助けをします。
STEP5 記録する
1on1ミーティングを行ったのち、話したことを忘れないように記録しておきましょう。次回の1on1ミーティングで「前回○○について話したよね」と話すきっかけになり、相手からも「忘れずに覚えていてくれた」と思ってもらえるはず。些細なことであっても、それが信用につながります。
逆に、話した内容を上司が忘れてしまうと「1on1ミーティングをやる意味はあるのか」などと信用を失ってしまう可能性も。1on1ミーティングは、1回あたりの時間は短時間であっても、短いスパンで何度も繰り返し行うため、思った以上に拘束を感じてしまうもの。「部下も忙しい業務の合間をぬって参加している」という認識を持ち、有意義な時間にできるよう努めましょう。
1on1ミーティングで話すべきアジェンダ
先述の通り、1on1ミーティングのアジェンダは、部下ごとに違う内容を用意します。理由は、部下によって抱えている問題や解決したいと思っていること、現在のステージが違うため。それぞれのステージに合わせた内容で話すと、相手も話しやすいはずです。
■ステージ1
まだ部下との間に信頼関係を構築できていない場合は、ステージ1からスタートします。まずは仕事をする上で基礎となる心身の健康や困りごとの有無について確認、趣味などをざっくばらんに話し、相手への理解を深めましょう。
- ・心体の健康について
- ・残業や仕事の持ち帰りについて
- ・最近の困りごとについて
- ・最近ハマっていること、趣味など
- ・感想、どんなところが面白いかなどの質問
- ・苦手なこと、苦手な相手のタイプ
- ・得意なこと、気が合うタイプ
■ステージ2
幾度かの1on1ミーティングを経て信頼関係が築けたら、一段階進んだ1on1ミーティングを。現在の部下の仕事について話を聞き、モチベーション向上につなげます
気をつけたいのが、直近の仕事の進捗相談にすり替わってしまう場合があること。その場合は上司がハンドリングし、話の軌道修正を行いましょう。
- ・業務に課題ややりづらさを感じる瞬間について
- ・周囲へお願いしたいこと、頼りたいと思っていること
- ・チームや車内の人間関係で悩んでいること
■ステージ3
信頼関係を築き、部下の仕事ぶりについて理解が深まったら、今後の展望について話しをしましょう。より一層のモチベーション向上につながるだけでなく、部下の今後のキャリア支援にもきっと生きてくるでしょう。
- ・仕事に面白みを感じるのはどんな瞬間か
- ・今後やりたい仕事や業務について
- ・思い描いているキャリアプランについて
- ・プライベートのライフプランで、会社が協力できることはあるか
1on1ミーティングで話すことに困ったら
部下のタイプによっては、話が弾まずに困る場合もあるでしょう。そんな場合は、以下の方法も有効です。
- ・上司自らの話をする(趣味や失敗談、部下の年齢の頃に抱えていた悩みなど)
- ・沈黙を恐れず、答えられるようになるまで待つ
- ・オープンクエスチョンで質問する(はい/いいえ、で答えられない、「趣味は何?」「どういうところが面白いの?」のような質問)
1on1ミーティングを取り入れて、より良い社内環境を作ろう
まだ日本では導入が始まりつつある段階の1on1ミーティング。しかし、上手に使いこなせられれば、部下との関係性を良好にし、向上心をあげられるはずです。ぜひ取り入れてみてください。