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ワクチン接種で有給取得できる?制度や助成金申請まで徹底解説

ワクチン接種で有給取得できる?制度や助成金申請まで徹底解説

新型コロナウイルスのワクチン接種をスムーズに進めるため、従業員のワクチン接種日と副反応が出た場合に取得する休暇を、有給や特別休暇として認める企業が増えてきました。

今回はワクチン接種の有給取得や制度、助成金申請に関して解説します。

 

ワクチン接種で有給って取得できる?

おそらく従業員のなかには、ワクチン接種が理由で有給を取得できるかどうか気になる人もいることでしょう。

 

新型コロナウイルスの場合

新型コロナウイルスのワクチン接種は、基本的に2回(※後述の「接種できる期間とは?」に詳細を記載)にわたって実施します。

厚生労働省が2021年6月11日に更新した「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」の「ワクチン接種による特別休暇制度」に対する問いでは、下記のように回答しています。

職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。

厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」より引用

あくまで「望ましい」との回答で強要するものではありませんが、多くの企業が導入を進めていることもあり、企業としては前向きに検討したいところです。

 

それ以外のウイルスの場合

ワクチン接種といっても新型コロナウイルスワクチンだけではありません。インフルエンザワクチンや、海外赴任で必要となる破傷風やA型肝炎などのワクチンもあります。企業によって対応は異なり、有給扱いとしている場合もあります。

新型コロナワクチン接種の有給制度と期間

新型コロナウイルスワクチン接種の有給制度を設ける場合に気を付けることや望ましい期間について解説します。

 

ワクチン接種の有給制度について

企業によってガイドラインは異なるものの、従業員がスムーズかつ安心して新型コロナウイルスワクチンが接種できるよう、「ワクチン接種の休暇制度」を設けている企業が増えています。

「ワクチン接種の休暇制度」とは、1年間に一定の日数が与えられる「年次有給休暇」とは別に扱われる「特別有給休暇」の位置づけです。したがって新型コロナウイルスワクチン接種で平日休暇を取得する場合、年次有給休暇としてカウントされないので、年次有給休暇が減る不安を拭えます。

ワクチン接種では、仕事の都合で平日の日中に接種できない人が多い場合、平日の仕事帰りや土日の接種に人が集中するケースも想定されます。接種会場が混雑すると、予約が取れなかったり接種までに時間がかかったりして、全体的な接種率が上がらないデメリットも。ワクチン接種の休暇制度を活用すれば、有給を取得して平日の日中に接種を受ける層も増えるだけでなく、接種会場が「密」にならずストレスフリーに接種できるようになります。

また、新型コロナウイルスのワクチン接種は、接種した当日や翌日などに副反応として熱や痛みが出て、体調を崩す場合も。企業によってはこのような副反応が出たときには欠勤として扱わず、従業員が安心して休みを取れるようにした実例もあります。

 

接種できる期間とは?

厚生労働省のホームページによると、新型コロナウイルスワクチンを接種できる期間は、2021年2月17日から2022年2月末の予定です(※2021年6月17日時点)。基本的な接種回数は2回としており、1回目から2回目までの接種する間隔については、ワクチンの種類によって異なります。なお、国内で薬事承認されているワクチン2種の接種間隔については次のとおりです。

ファイザーのワクチン:1回目の接種から3週間後(3週間後の同じ曜日)に、2回目を接種

例/2020年7月1日の水曜日に1回目の接種をした場合、3週間後の7月22日の水曜日に2回目を接種

モデルナのワクチン:1回目の接種から4週間後(4週間後の同じ曜日)に、2回目を接種

例/2020年7月1日の水曜日に1回目の接種をした場合、4週間後の7月29日の水曜日に2回目を接種

2回目の接種の都合が合わず、3週間(ファイザー)または4週間(モデルナ)を超える場合は、なるべく早く接種を受けるよう促しています。

また、新型コロナウイルスワクチン接種は、1回目がファイザーなら2回目も同じファイザーとなるため、1回目も2回目も同じ製薬会社のワクチンで接種するのが原則となっています。

新型コロナワクチン接種の有給に対する助成金

新型コロナウイルスワクチン接種後に発熱などの副反応が生じ、仕事を休まざる得ない場合があることから、ワクチン接種の有給を取る際に助成金を設けているケースもあります。

山梨県では、「新型コロナウイルスワクチン副反応休業助成金」を設け、副反応が出た方の収入がなるべく減らないよう配慮しています。助成の金額は、1日あたり4,000円。日数は、接種を受けた翌日と翌々日の最大2日間と定めています。詳細についてはこちらのページをご覧ください。

 

新型コロナワクチン接種の導入企業例

従業員やその家族を対象とした、企業単位の新型コロナウイルスワクチン接種の導入が始まっています(職域接種)。ワクチン接種の休暇制度以外にも、企業が行っている事例について紹介します。

 

SMBC日興証券

SMBC日興証券株式会社は、従業員およびその家族が新型コロナウイルスワクチンを接種しやすい環境を整えるため、ワクチン接種支援制度を導入しました。

従業員本人が新型コロナウイルスワクチンを接種した際に、接種当日および副反応が生じた翌日を「特別有給休暇」とし、原則最大4日間の取得ができるようにしています。なお、社員本人が業務時間内にワクチンを接種する場合でも、その時間を欠務として扱いません。

また、付き添いが必要な家族が新型コロナウイルスワクチンを接種する場合、社員が業務時間中に家族の付き添いをするケースに関しては、欠務として含みません。

大日本印刷株式会社(DNP)

大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、グループ全体で感染拡大を防止目的とした「中央新型コロナウイルス対策本部」を設置し、DNPの東京近郊に在籍する従業員または主要拠点の従業員(希望制)に職域接種の実施ができるよう動いています。また、従業員が社外の場所(自治体の公共施設など)でのワクチン接種を希望した場合、2日間の接種日を有給扱いとする「ワクチン休暇」の取得を認めています。

ワクチンを接種し、2日以内に副反応(発熱や倦怠感など)の症状があった場合と、ワクチン接種による副反応が疑われる場合、直近2年間で失効した有給休暇の取得ができるようになっています。

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)

株式会社ディー・エヌ・エーでは、従業員が勤務時間内に新型コロナウイルスワクチンの接種ができるようにし、副反応が生じた場合には1回の接種あたり特別休暇1日の取得ができるようにしています(最大2回まで)。ほかにも従業員の家族がワクチンを接種する場合でも、付き添いや副反応があったときの看病を積立休暇取得として認める方針です。

従業員が望むワクチン接種の環境を用意しよう

平日でもワクチン接種が受けられ、かつ特別有給として扱われるなど、多くの企業が従業員のワクチン接種が推進する環境を整えています。

新型コロナウイルスワクチン接種の有給取得の取り組みや内容は企業によって異なるので、ネットのニュースやプレスリリースなどで情報をチェックしてみても良いでしょう。ぜひ自社のワクチン接種の方針づくりにお役立てください。

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