OKRが組織文化向上につながる理由

組織にアジャイルさが必要となり、個人と組織の目標の連動性は、成果をあげるうえで重要なものになった。ただし、連動性を高める手法の一つであるOKR(※)については、まだ完成度の高い運用が出来ている組織は少ないように感じる。
※OKR…Objectives and Key Resultsの略であり、目標(Objectives)と、主な結果(Key Results)を設定することで、プロセスを可視化し、実現しやすくする手法
「あなたが目標に向かって前進できないのは、やり方が間違っているからだ」
そう語るのは、OKRのバイブル的な書籍となった「Measure What Matters」の著者であるジョン・ドーア氏。目標を達成できない人材がいた場合、それは本人の成果に至るプロセスに問題があるのではなく、「正しい目標設定と運用ができていないから」ということである。確かにOKRとは、成果を計るものではなく、組織と個人のパフォーマンスを開発し、コーチングを通じて人材を育成するための目標管理手法と訳されている。
確かに、OKRのObjectiveをTeamで設定する際、ムーンショットのようにチャレンジングな目標を設定する会議では、皆で和気藹々(あいあい)と到達点について議論するのだが、いざ運用フェーズとなると一度高まった心拍数が嘘のように、ワクワクするような風景からは遠ざかることが散見される。それはまさに、目標設定と運用が間違っているために成果を出すことができない状態なのだ。
運用時こそ、組織の文化力を高めるポイント
Objectiveが決定した後、定量指標であるKey Resultsを設定する。そこからはKey Resultsの達成に向けて努力し始めると思うが、読者の中には、その後の経過確認を目的とした上司との1on1が楽しくない、辛いなどということはないだろうか? または、Key Resultsを達成するために二人三脚になって力を合わせるはずの上司が「なぜできていないのか」をまるで評価面談のように問い詰めてきてはいないだろうか?
OKRの運用はオープンにすることが不可欠であり、その進捗度に対して他者が手を差し伸べ、相手のOKRにコミットする文化を醸成するチャンスでもある。
例えば、週1回のチェックインでOKRの達成度を共有しあい、進捗が遅れている者に対して皆でサポートしたり、チーム進捗を互いに褒め合い感謝し合ったりすることで、チームとしてコミット力が高まる文化を醸成することが可能なのである。運用を経て、主語を個人からチームに置き換える機会にもつながるだろう。
非連続的な市場変化に適した個人の自主性と組織成長のバランス
市場変化の著しい今、変化対応力とスピードが何より重視されるため、個人の自主性は後回しにされやすい。事業としての結果を求める中、目標を短期的な売上や数字に設定するのを繰り返している企業も多いだろう。また、自主性を重んじようとしても、日々管理者が関与できず、チャンスを逸し、リスクを見逃す恐れだけでなく、個人もチームも目標達成できない状況を招いてしまう危険性が高くなる。
そのような背景がOKR導入に繋がっているのだと推測するが、私自身はOKRがチームとしての飛躍的な成長を遂げられる手法でもあると感じている。
個人の進捗を見える化し、チーム内の一人ひとりが他者のOKRにコミットする。それを事業部内や会社全体で運用できるのなら、きっと日常の会話の中でも互いにサポートし合えることはないかと自然に会話できるだろうし、新たなメンバーが入社した時のオンボーディングには、会社全体で取り組めるのではないだろうか。さらに、リモートワークでの孤立を抑制する効果もあるだろう。
手前味噌ではあるが、そんな想いの一部を込めさせていただいたプロダクトが完成した。CANTERAとして、サイバーエージェントグループのCAM社によるHR-TECHサービスにアドバイザーとして関わった「PINTER」である。
業績達成をさせながら、チーム力の向上や組織文化の底上げを目指したい企業は、ぜひページを覗いていただけると幸いです。
PINTER:https://pinter.jp/
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