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信頼関係とは何か。そのメカニズムや定義を話し合ってみよう

信頼関係とは何か。そのメカニズムや定義を話し合ってみよう

皆さん、こんにちは。カンテラアカデミー8期生の澄川寛です。

最近、カンテラの勉強会や学友との会話で何度かテーマになったのが、組織内の「信頼関係」です。私自身、お客様の組織について“信頼関係をいかに向上させるか”を常に考えて経営者に提案している立場でしたので、今回記事に取り上げました。

簡単なワークを盛り込んでいますので、「試す価値あり!」と思っていただける方がいらっしゃれば幸いです。また、すでに上手に対応されている方はご笑納ください。

 

信頼関係について、同僚に説明できますか?

「仕事では信頼関係が重要だ」という言葉をよく耳にします。実際、多くの方はうなずかれるのではないでしょうか。

「信頼関係がある間柄」であれば、情緒面のメリット以外にも、コミュニケーションの内容が向上したり、相手が肯定的に話を聞いてくれたりしますし、ミスや盲点の指摘を寛容に受け入れてくれることもありますね。チーム全体に信頼関係があれば、仕事の連携や効率が良くストレスも少ない職場になることで、退職も少なくなるかもしれません。

このようにさまざまなメリットがある「信頼関係のある組織」は、実に素晴らしいものだと思います。

さて、あなたにとって「信頼関係の定義」とはどのようなものでしょうか?
その定義は、自分なりの言葉で、他のメンバーに説明・共有できる状態でしょうか?

ぜひ社内で、「信頼関係の定義」について話し合っていただけましたら幸いです。

 

信頼関係のメカニズムについて考えた

これまでに、複数の方と「『信頼関係が成立する』ってどういうことなのでしょうか」とお話をしてきました。すると、主に5つの要素が語られました。

【1】業務遂行の確実性
「あの人は」+「このタスク/役割を」+「完遂できる」+「一定水準以上の確実性で」

【2】利益貢献の期待性
「あの人は」+「自分に対して」+「プラスの支援や影響を与えてくれる」+「高い期待値で」

【3】味方/害を与えないという安全性
「あの人は」+「自分に対して」+「害になるようなことはしない」+「安全安心の感覚を持てる」

【4】つながりを感じる情緒性
「あの人は」+「私は」+「お互いに」+「好ましい感情を持っている」+「実感する機会があった」

【5】相手に対する期待×シミュレーションと、相手の行動の一致
「あの人は」+「私が頼みごとをしたら」+「こういうふうに行動するだろう」+「シミュレーション通りの結果」+「積み重ね」

きれいにまとめるのはなかなか難しいですが、「信頼関係」にもいろいろな要素があり、人によって「信頼関係」という言葉に対するとらえ方や、求める要素がバラバラであることは非常によくわかりました。

このことは、職場改善の機会に「信頼関係がある職場にしよう!」とスローガンから入ることの曖昧さや不十分さを強く示すものだと考えています。

 

自分にとっての信頼関係を定義するワークをしてみよう

前項で、信頼関係を構築する要素、もしくは測る要素として、5つの項目が出てきた旨をお話ししました。

まずはそれぞれの項目について、自分なりに掘り下げるワークをしてみましょう。

ぜひ、5項目に照らして、ご自身が考える「信頼関係」を明確にしてみてください。

また、その際には自己の内面だけでなく、「信頼関係を向上させたい相手は誰なのか?その相手との現在の関係はどのようなものか?」もあわせて考えていただくとよいでしょう。

 

信頼関係を定義するワークで周囲と交流しよう

ご自身の「信頼関係の定義」が定まったら、前項のワークを周囲の人にも勧めてみましょう。特に組織活性化に課題を感じている人に、協力を仰ぐ形で巻き込んでいくのがおすすめです。

「●●さんが作りたい組織や信頼関係って、言語化したらどんなものになりますか?教えてください!後で私のワークも見せますから」と言いながら、話し合いの機会を作っていきましょう。

部門長にいきなり話すことが難しければ、まずはベイビーステップで、話しやすい相手からワークを行って、その人から伝播してもらうのもよいですね。

そうやって、部門内で信頼関係を積み上げることへの合意を広めていきましょう。

人は言語化することで思考を組み立てます。ですから、「なんとなく」「ふんわりと」「信頼関係がある組織になりたいですよね~」と言っているだけでは、なかなか前に進むことは難しいでしょう。

信頼関係についての定義を言語化して明確にする
 ↓
他メンバーも言語化して明確化する
 ↓
定期的に発表の場を持つ(難しければ、まずは立場が上の人から発信し続けるだけでもOK)
 ↓
お互いの定義を共有して、言葉のつかい方や感覚の違いを明確にする
 ↓
考え方の違いを受け入れたうえで、前向きに協力していく合意を取り付ける
 ↓
合意に基づく行動ができているか、定期的にチェックしあう

といった流れができると、上長やメンバー間の交流が増えます。交流が増えれば、意見交換などの意思疎通改善はもちろん、相互理解が深まり、より相手に配慮した行動をとることができるようになるでしょう。

また、信頼関係について話し合うことができる組織になっていけば、そのまま「心理的安全性の高い組織」にも近づいていきます。

実際に、私の仕事先でもこのような取り組みを実行したことで、お互いに信頼関係を積み上げることを合意し、メンバーそれぞれが前向きな活動に踏み出しやすくなりましたので、ぜひおすすめしたいです。

 

まとめ

職場でうまくいかないことが起こったときに、「相手と話し合いができる関係性にあるかどうか?」が非常に重要です。そうすると、「信頼関係について話し合った」というプロセスの有無によって「物事の進む効率そのものも変わってくる」ということになります。

「信頼関係」という概念は非常にあいまいで、個々の主観的な感覚によって判断されがちです。ただ、一方で、メンバー同士で定義をきちんと話し合ってポイントをおさえていけば、倫理観や価値基準の共有に非常に適した概念として活用することが可能になります。

ぜひ、前向きな組織づくりのためにも、組織内で信頼関係について話し合う機会を設けていただければと思います。

「経営者と従業員が笑いあって働ける職場づくり」に少しでも貢献できましたら幸いです。

Written by

Hiroshi_Sumikawa
CANTERA ACADEMY8期卒業。 EC系ベンチャー立ち上げ参画→リクルートキャリア→電子カルテベンダー営業所責任者等を経て、株式会社リソーシズを創業。医療業界で経営コンサルタントとして活動し、事務長として複数の医療機関で経営支援を行っている。 人事コンサルティングでは、主に人間関係トラブルやマネジメント問題に対応。性格類型分析のエニアグラム心理学をベースに経営層/メンバー間の認識ギャップや意思疎通の改善を行い、その後は中長期で組織が活性化するよう、人員体制見直しや管理・教育制度の支援を行っている。
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