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ひとり人事の初チャレンジ!テレワーク規程、完成までの道のり

ひとり人事の初チャレンジ!テレワーク規程、完成までの道のり

新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、私の会社もテレワークをすることになり、急きょ規程作成を任されました。

これからお伝えする内容は、ひとり人事の私が規程作りに初めて挑んだお話です。規程が完成するまでのプロセスを、人事担当としての心の機微、意識の変化とともにお届けします。

 

コロナは待ってくれない。急げ!規程・運用ルール作り

2020年、新型コロナウイルスがこんなにも流行するとは誰もが予想していませんでした。私が勤める会社も急きょ在宅勤務を3月からスタート。規程もルールもないままの見切り発車でした。

まずスタートしたのは運用ルール作り。当社は外資系企業の日本法人なので、グローバル本社の人事部に相談。本社のコロナ対策チームが作成した運用ルールを日本語に翻訳し、「当面このルールで運用します」と日本の社員に説明しました。

しかし、4月になっても状況は改善せず、在宅勤務を継続する必要があるため、テレワーク規程を作成することになりました。とはいえ、人事経験5年でひとり人事の私が規程を0から作ったことがあるはずがありません。「どうしよう、大変なことになったなぁ」。感染拡大はますます広がり、1日も早く規程を作らなければなりません。規程を作ったことがない、ひとり人事の私の挑戦が始まりました。

 

事業継続継続(BCP)対策としてのテレワーク勤務導入例を参考にドラフト作成

まず、思い浮かんだのが社労士の先生にテレワーク規程を作ってもらうこと。一番確実な方法と思いましたが、当時先生がお忙しく、すぐに対応していただけない状況でした。「5月頃でよければリーガルチェックできる」と言われたので、なんとか自分の力でドラフトを作ることにしたのです。

ドラフト作りで参考にしたのは規程モデルです。当時はコロナ対策を目的としたテレワーク規程のモデルはありませんでした。「コロナ テレワーク規程」と検索しても、他社の事例は出てこない。そこで思いついたのが、BCP対策としてのテレワークです。コロナが流行するまではBCP対策は主に自然災害対策として考えられていましたが、インフルエンザやノロウイルス等の感染症対策をBCPに定めている会社もあることを知りました。

「コロナ対策としてのテレワークもBCP対策だ」。そう気づいた私は関連記事をくまなく調べ、ドラフトに使うことができそうな表現や条文を全て抜き出し、つなげて、整える作業を繰り返したのです。他にも、育児や介護など柔軟な働き方を目的とした規程モデルも参考にしました。

 

社労士の先生から指摘された意外なポイント

上司との話し合いと推敲を繰り返し、5月にようやくドラフトが完成。社労士の先生に見ていただくことになりました。

先生は規程作成のプロフェッショナル。連絡体制や情報セキュリティといった実務上から、労働時間や労災といった労働基準法上のポイントまで、きめ細かいアドバイスいただきました。

最も勉強になったのが、1日の中でオフィス勤務と在宅勤務が混在する場合の移動時間です。オフィスも自宅も事業所として扱われるため、その移動時間も労働時間とみなされるとのこと。近くから通勤している社員もいれば、通勤に1時間以上かかっている社員がいるため、これは認めないこととしました。条文も添削いただき、言い回しや表現も学ぶことができました。

 

ネックになった「通勤手当」。社員に納得してもらえるよう妥協策をつくった

ついにテレワーク規程が完成し、社員に説明する時がやってきました。不安な気持ちで一通り説明したところ、大部分は理解してもらうことができたのですが、通勤手当について反対意見があがったのです。

これまでは定期券代を支給していましたが、実費精算することに対し、反対の声が上がりました。通勤手当の支給は労働基準法で義務づけられておらず、会社の裁量に任されていることを説明しましたが、正論を説明したとしても、なかなか快く受け入れてくれません。

そこで、妥協策として、通勤手当の規程変更の運用に移行期間を設けることにしたのです。定期代払戻の期間を考慮して、運用開始を3カ月先からとすることにしました。また、在宅勤務で発生する費用については、在宅勤務手当を支給することで、社員に納得してもらいました。

 

未曾有の事態に、人事に求められるのはまず「アクション」

ひとり人事の私がゼロから規程を作成し、完成させたことは、大きな一歩。大きな自信となりました。

新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の事態の中、人事に求められていることは、まず「アクション」。従業員の健康と安全を守るために行動することが最優先であると気づかされました。

この経験から学んだこと、気づきを大切に、これからも人事としてのキャリアを積んでいきたいです。

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