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キャリアチェンジ転職で見えた、人事としての会社の選び方

キャリアチェンジ転職で見えた、人事としての会社の選び方

突然だが、あなたは今働いている会社をどうやって選び、入社しただろうか。

私は、新卒で入社した会社で営業と事業企画を経験した後に転職。人事として働くのは今の会社が初めてである。人事の仕事選びの経験はたったの1回だけだったが、正しい選択だったと思っている。

今日は人事として新たなキャリアにチャレンジしようとしている人に、私がどのような観点で人事の仕事、特に「ひとりめ人事」を選んだかをご紹介したい。

 

人事としてのキャリアをスタートするまで

私は新卒で入社した人材会社で、人材紹介事業部の営業担当として配属され、Web業界を専門に3年間担当していた。

延べ300社のスタートアップ〜メガベンチャー企業を担当したが、人材紹介という仕事に深くたずさわるほど、必要な人材を必要な会社に届けるための「集客」に課題を感じるようになった。そこで集客力のあるコンテンツを持っていた新規事業の部署に異動して、1年半、事業企画のアシスタントのようなことを経験した。

転職前に人事という仕事に就いたことはなかったものの、顧客である人事の仕事は常に見る機会に恵まれていたのだ。今になって振り返ると、この期間はずっと「人事として働くために良い場所」を見極める力を養う期間だったのだろう。仕事を通じてたくさんの経営者に会えたのも非常に大きいと思う。

 

人事の仕事選びで確認しておきたいポイント

ここからは、私自身の経験をもとに、人事としてのキャリアをスタートさせたいと考えている人のために、人事の仕事選びで確認しておいてほしいポイントを紹介する。

■「人事」という言葉が示す仕事内容は会社によって異なる

「人事」と一口に言っても仕事内容は千差万別だ。スタートアップであればまず重視されるのは採用の業務だろう。しかし、実際は採用だけでなく、教育研修、制度設計、労務、場合によっては総務や衛生管理など、人事は業務領域が幅広い。

ただし、どんな領域を期待されているかは会社による。入社時点での会社規模やその時の人員構成、今後の会社の経営方針などにもよるだろう。

実際のところ、私が人事として入社したときは、採用活動をしながら社員の給与の見直しなどを行うことから仕事をスタートした。その一方で、当初は全く想像していなかった衛生管理者(二種)や防火管理者の資格を取得もしていた。

人事という仕事に対して自身が求めていることがズレてしまうと、描いているキャリアから遠のいてしまうこともあるかもしれない。その点はよく確認したほうがいいだろう。

■会社が「人」というものの優先度をどう捉えているのかが分岐点

経営資源と呼ばれるリソースの一つである「人」に対する考え方は、特に経営陣の意図が色濃く出るものだと感じている。

前述の人事の仕事内容の差も、この経営陣の考え方によって分岐するものだと考えている。創業のきっかけや会社の歴史、事業の特性にもよるが、突き詰めると経営者本人の原体験などが、「人」に対する考え方を左右する要因ではなかろうか。

特に「金(事業)」と「人」のどちらが先に来るか、その比重の置き方で人事の仕事は大きく変わる。ここに気づかず人事という仕事を引き受けてしまうと、ミスマッチの要因になるだろう。

この考え方が合わない場合は、例えば「想い重視の人事施策」と「その施策のコストパフォーマンス」という対立構造ができてしまう場面もあるかもしれない。仕事を進める上で想いをすり合わせるのに逐一時間がかかるはずだ。

■事業に対して「人」がどう関わるのかを考える

「人」か「金(事業)」か。正解のない問いではあるが、これは事業特性に起因する部分も大いにある。

例えば、単価が高く販売の難易度は高いが、利益率の高いソリューションを持った会社であれば、営業が何人いるかで事業の見通しが立てられる。この場合は、「金(事業)」を先に作り上げてから「人」の課題に着手する経営者が多くても納得だ。

しかし、私がいるWeb業界ではどうだろうか。そのソリューションをつくるのも、売れる仕組みをつくるのも、全て「人」に起因する。このような事業の会社の場合は、比較的「人」という経営資源に重きを置いた経営者が多いと感じる。

その会社の事業に対して「人」がどう関わっているのかについては、ぜひ面接時に確認してほしい。その会社で人事として働きたいのであれば、ぜひ入社前におさえてほしいポイントだ。

 

自分に合う会社との出会いは滅多にない

「やりたい仕事」「業界」「職場環境」などの要因と比較して「経営者との価値観の一致」を目指すことは確率として難しい。私自身も2つの会社を経験したが、自分にとってマッチしていると感じる理想の会社との出会いは滅多にないと思っている。

人事という仕事柄、入社後に「ミスマッチだ」と感じてしまうことは、自己責任であるとも言える。なぜなら人事は「ミスマッチだ」と感じてしまう会社のつくり手のひとりだからだ。自分にマッチした会社にできない自分自身にも少なくとも責任があることになってしまう。

とにかく人事という仕事を選ぶのは難しい。もしあなたが今「自分に合う会社」と思える企業に出会っているのなら、それは滅多にない出会い。転職の好機ではないだろうか。

Written by

大学を卒業後、大手人材会社で営業、新規事業の事業企画を経験したのち、いわゆる「ぼっち人事」としてIT企業へ入社。人事経験ゼロの中、採用、広報、制度企画、教育などを広く経験。最近は我流で身につけた知識に不安を感じ、CANTERA Academyで勉強中。
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