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コロナ禍で新入社員の早期退職が急増。食い止めるために工夫すべきこととは

コロナ禍で新入社員の早期退職が急増。食い止めるために工夫すべきこととは

コロナ禍においてリモートワークが加速し、新入社員の置かれる環境にも、大きな変化が生じました。入社後の新人研修の多くがオンラインで行われるようになり、そのままリモートワークが開始することも珍しくないでしょう。このような環境の変化に、往来のオンボーディング・プログラムは、有効に機能するのでしょうか。

そもそも、オンボーディングの意味は「誰を船に乗せるか」、つまり「誰をそのプロジェクト・メンバーにするのか」という視点でした。本来、雇用前に使われる用語でしたが、今では「新人を定着させ活躍できる戦力に育てる」意味で、オンボーディングという言葉が使われるようになっています。

新人研修期間の対前年比として、早期離職率が増加していることからも、これまでのオンボーディング・プログラムが有効ではなくなっていることが推測されます。採用時点で、会社の理念に強く共感し入社したとしても、リモートワークという環境下で、今まで以上に人材の定着につながりにくい現状があるのです。

 

早期退職に陥る理由は「孤立感」

新入社員のリモートワークは、既存社員の在宅ワークとは異なりハードルが高いものです。なぜなら、人間関係の構築が無いままにオンラインでの業務を行うことになるため、孤立感が大きくなりがちだからです。ミッションやビジョンに共感して就職を決めた会社であっても、孤立感は所属意識を希薄なものにし、社内で働き続ける未来の自分を思い描きづらくさせます。その結果、早期退職に繋がってしまうのです。では、リモートワーク下でのオンボーディングは、どのような対策を取ればいいのでしょうか。

そもそも、職場での学びの内訳として、フォーマル・ラーニング(研修などの公式な学習) とインフォーマル・ラーニング(同僚との対話や職務経験などの非公式の学習)という2つの観点があります。インフォーマル・ラーニングの重要性はアメリカの調査機関ロミンガー社の調査結果から明かになった「70:20:10 の法則」でも指摘されています。成果に結びつく学びのうち、フォーマルラーニングは 10%を占めるにすぎず、残りの90%はインフォーマル・ラーニングによるものだとされているのです。また、インフォーマル・ラーニングの内容としては20%が「他者との関わり」によるものであり、70%は「仕事経験」です。

仕事の経験がまだ少ない新入社員が学ぶとき、インフォーマル・ラーニングの多くを他者との関わりが占めることになります。新入社員研修をフォーマル・ラーニングと捉えると、新入社員研修よりも他者との関わりの方が、オンボーディング・プログラムにおいて多くの割合を占め、重要だということが分かります。

つまり、リモートワーク下での新入社員のオンボーディングを考えるときは、いかに「他者との関わり」を仕組みとして作るかを意識しなければなりません。出勤することが当たり前だった時代には、通常8時間の業務時間の中で誰かの後ろ姿や会話を横目に見ながら仕事に従事していました。肌感覚でたくさんのことが学べる環境があったのです。今では一日30分のミーティングをオンライン上でやりとりするだけになっていることもあります。これでは就業中の9割近くが孤立した時間になってしまいます。社内教育の大きな機会損失と言えるでしょう。

職場環境を変えるために工夫する会社は多くなっているものの、新入社員の離職率増加を鑑みると、より一層手厚く対策を取る必要のある会社が多いと言えます。「リモートワーク下でもオンボーディングに効果的な教育環境の構築」には、対話などのコミュニケーションが発生する仕組みが必要なのです。

Zoomの常時接続を行ったり、個人のKPIを細分化して進捗を共有し合ったりするのもひとつの手。自然かつ自発的に、サポートし合うためのコミュニケーションが生まれる工夫を取り入れることが大事です。

 

孤独なeラーニングから インタラクティブな成長機会へ

これまでのeラーニングの主な役割はインプットでした。学びの確認としてテストが用意されていたとしても、暗記が出来ているかの確認作業にとどまり、成果が出せるスキルが体得ができていることを確認できるものではなかったのが実情です。皆さんもそんなラーニングの経験をひとつふたつ思い浮かべることができるのではないでしょうか。その上、あくまでも一人で学習する孤独なラーニングであり、自身の理解度や習熟度を周りに確認することも、リモートワーク下では簡単に行えません。横の人間関係が出来ていない新入社員にとってはなおさらハードルが高いものとなります。

この学習機会が双方向性の実現されたインタラクティブなものだったとしたらどうでしょう。孤独感が解消されるとともに、インフォーマル・ラーニングによる学びも加速します。 また、これまでの一律の学習環境では、欲しい情報をインプットするために無駄な時間が使われてきました。例えば、1時間の研修プログラムを受けたとして、本当に役に立つのはその中のよくて半分程度ではないでしょうか。そこにたどり着くまでに、研修への興味や集中が薄れてしまったり、今まさにやらなければならない仕事が頭に浮かんでしまいます。これに対し、必要なところだけが効率よく学習できるマイクローラーニングを取り入れることで最短で成果が出せる自分になることができるのです。 マイクロラーニングとインタラクティブなオンライン環境を掛け合わせることにより、より一層「成果につながるスキルの体得」が加速するのです。

試用期間の3カ月で「知識を身に着けながら経験し、成長する」過程を作らないと自走できる人材にはなれません。入社直後の大切な時期を、人との関わりを重視した効率よい学習機会とする。このオンボーディングプログラムにより成長実感や帰属意識が感じられるようになるために定着率が上がり、即戦力へと成長する可能性が高くなると言えるのです。

 

知識だけでなくコミュニケーションが加速するプログラム

スキルを身に着け、成果をだせる実感が生まれることで、自走できる社員へと成長する。この成長はパフォーマンスに直結します。会社にとって、研修の一番の目的は社員への知識教育かもしれません。しかし、新人オンボーディングにおいては、本人が「この会社で今後自分がどう成長できるか」というイメージをいかに作れるかが重要なのです。

Written by

horio
CANTERA責任者 兼 講師 (株)All Personal代表取締役CEO 1973年北海道生まれ。1994年(株)リクルート入社。2004年ソフトバンクBB(株)入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー(株)入社。国内の人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。2014年より東京東信用金庫に入庫し地域活性化に従事。2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。
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