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2〜3年後に必要な人材育成のためには学びが不可欠

2〜3年後に必要な人材育成のためには学びが不可欠

2〜3年後の事業目標を設定している会社は少なくないでしょう。その実現のため、2〜3 年後に必要なのはどんな人材かと聞かれたら、答えられるでしょうか?
そのころにはコロナ禍の状況は落ち着いているかもしれません。しかし、現在行われているリモートワークが、完全に元の形に戻ることはないでしょう。リモートワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッド型」のワークスタイルが、今後多く取り入れられていくと言われています。

ただ「ハイブリッド型」という言葉は、働く場所や時間のあり方にしかフォーカスされていません。そのワークスタイルに最適なワークフロー、そして人や組織のデザインについては考えられておらず、近視眼的な思考にとどまっていると言えます。

2〜3年後の事業目標を定めたら、2〜3年後にどんな人材が必要となるかを考えるべきです。 そして、そうした人材を育成するために、今どんな学びが必要なのか。 こうした考えのない会社からは、人が離れていくでしょう。

 

生活環境の変化に伴う、事業・ワークフロー・キャリアのデザイン

リモートワークにおいて、SlackやZoomを使い始めたとか、就業時間中はZoomをつなぎ続けているとか、リモートでの会議の仕方を設計するというようなことは、働き方改革の本質ではなく枝葉の部分です。リモート化が進み、生活環境が変化する中で、どう事業を進めていくか。重要なのは、事業の根幹をDX化することです。例えば、事業モデルのドメインのテック化、SaaS化が挙げられます。

そうした中で、ワークフローも変化します。もしかすると、より高度なデータ活用が必要となり、今までExcel初級しか求められなかった人が、2〜3年後にはExcel上級を求められるようになるかもしれません。また、大きく職種を変えることになる人も出てくるでしょう。 生き残るには、そのときに必要なポジションの人材にならなければなりません。

これから2〜3 年間、どんな風にキャリアをつくればいいのか。それを会社も個人も考えてほしいのです。 今、社員に行っている教育についても、そうした視点で設計されていなければ、2〜3年後に「全然使えない」「会社にとって重要なポジションの業務に必要な内容ではない」と判明することが起こりかねません。

また、2〜3年後に急成長する可能性のある会社でも、そのとき必要な人材や組織のポストなどを設計せず、教育をしないままだと、今いる社員が離れ、機会損失になる可能性があります。

また、リモートワーク化に伴って、人事評価制度も変わっているでしょうか。わかりやすいところで言えば、評価面談シートは変わったでしょうか。人事の方々は、リモートワークへの対応などにおいて努力されていますが、そうした目の前のことに追われて、リモート化における人材の活躍の仕方の本質を考えていない部分があると思います。成果の把握の仕方をどう変え、生産性をどう認めて、本人のさらなる成長につなげるか、というところまでメスを入れている会社はまだ少ないようです。

 

人材の個性・志向に合わせた組織のデザイン

それでは、学びによって成長する人を、どのように集めていけばいいのでしょうか。

これから人口減少が進むと、優秀な人材の取り合いになります。例えば、働く場所は東京でなくても、リモートワークやワーケーションなどで、地方にいても素晴らしい企業で働けます。また、優秀な女性の活用についても、もっと真剣に向き合うべきです。 育児中の方は分刻みでいろいろなことをされています。本人は学んで成長したい、仕事で成果を発揮したいと考えていても、一律に長時間の研修を受けるのは難しい。生活スタイルに合った人事支援ができれば、そういう方々が長きにわたって活躍することにもつながります。

そうした中で重要なのは、ワークフローをしっかりとデザインして、それを細かく切ること。 そして「この部分はこの人材に」と、それぞれの強みを生かしながら設計することで、多様 な人材を扱えるプロジェクトにすることです。

そのためには、それぞれの個性、志向に本質的に合わせたマネジメントが必要です。それが できている会社とできていない会社では、離職率も生産性も変わってきます。 今、2〜3年後に必要な人材育成のための学びのサポートをしていれば、2〜3年後に人材を探そうとしたとき、「こういう人にきてほしい」とすぐに要件がうかぶはずです。また、Zoomの画面上では、社長も新人も均等な大きさで表示されます。きてほしい人が、平等性や透明性、 公平性の中で活躍してくれることが、業務のDX化につながるのではないでしょうか。

一方、リモートワークの一番の弊害は、周りの空気感の中で何となく接することができていた人とのやりとりが、隔たりのために変化することだと思います。心理的安全性がどんどん損なわれるのです。例えばSlack上でのやりとりがあったとしても、上司が全員いるところでコミュニケーショ ンをしないと、「一緒にやっている」という意識がなかなか醸成されません。そこまで意識 が及んでこそ「共有」と言えるのです。ダイレクトメールだけが増えていくと、組織として風通しが悪くなってしまいます。

リモート化しても声が大きい人が強いとか、アピール上手な人が生き残るという状況も続いています。そのままでは、本当に優秀な人を失う可能性もあるのです。

Written by

horio
CANTERA責任者 兼 講師 (株)All Personal代表取締役CEO 1973年北海道生まれ。1994年(株)リクルート入社。2004年ソフトバンクBB(株)入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー(株)入社。国内の人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。2014年より東京東信用金庫に入庫し地域活性化に従事。2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。
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