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新入社員向け研修を企画するときに考えていること

新入社員向け研修を企画するときに考えていること

当社は、ITエンジニアとして新入社員を、毎年数名採用しています。

ITエンジニアに採用された新入社員は、趣味でプロ並みにプログラミングをしてきた方、プログラミングは全くの未経験、という方など、入社時のスキルはバラバラです。

一律の新入社員研修を実施すると、研修内容を簡単と感じる方がいる一方で、難しくてついていけないと感じる方も出てきてしまいます。

私は、意欲をもって入社された方が、現場配属前に少しでも仕事を楽しみに感じられるようにしたいと考えました。そのため、入社時の研修では新入社員の様子を見て、研修内容を毎年見直しています。

 

新入社員研修の目的とゴール

当社は、エンジニアの採用をメインにしているなか、私は新入社員研修の目的を3つ置いています。

  1. 部門配属までに必要なビジネススキルの基礎を知る
  2. 必要最低限の技術スキルを押さえる
  3. どんどんチャレンジする意識をもってもらう

そして、ゴールは新入社員が早く会社に慣れ、安心してスキル習得に向かいつづけること、としてきました。

補足ですが、新入社員研修だけでなく、社員の育成を含めて組織開発を考えるとき、私はコンフォートゾーン・ラーニングゾーンのラーニングゾーンをどうすると広げていけるか?ということを意識しています。

※補足※
コンフォートゾーン、ラーニングゾーンとは?

・コンフォートゾーンとは、快適な空間のこと。上記の図の最も内側にある。状況や環境に不安を感じない心地良い空間と言われ、意識をしない普段の行動は、コンフォートゾーンの中にいる状態。

・ラーニングゾーンとは、学びの空間のこと。コンフォートゾーンの外側にある。自分の能力を超える仕事やスキル、未知の体験をするときに不安がある状態。
 無意識に行動できる慣れ親しんだ状態から一歩踏み出しているので、ラーニングゾーンは心地の悪い状況。これを心地の良い状況に変えようと意識的に努力することで、人は成長すると言われています。これは最近、企業でも導入が進む「越境学習」と同じようなものです。越境学習では異なる業界や業種、地域や環境に身を置くことで人材育成を図ります。

・パニックゾーンとは、危険な空間のこと。ラーニングゾーンの外側にある。自分の能力をはるかに超える水準を求められるため、精神的にも肉体的にも追い込まれた状態。

 

研修の内容を検討

上記の目的に応じて、新入社員研修では、以下のように整理し、私はコンテンツを設計しています。

<ビジネススキル>
・ビジネスマナー
・Officeスキル
・ビジネス文書
・コミュニケーション
・ロジカルシンキング
など

<テクニカルスキル>
・IT基礎スキル(リテラシー、ネットワーク、OS、サーバーなど)
・プロジェクトマネジメント
・技術基礎(知識・実践)
・自社製品の技術
など

<会社独自の知識>
・会社のVision,Valueなどを知る
・社内組織を知る
・自社のビジネスを知る
・社内にどんな人がいるのか知る
など

 

研修の組み立て

次に、コンテンツを研修で取り上げていく順番を決めます。このとき、新入社員ができるだけストーリー性を持たせられるように順番を組み立てます。全体の流れがあった方が、新入社員が研修内容を習得しやすいと考えているからです。

併せて、それぞれの研修の所要時間を計算し、担当講師を検討します。

講師は社内だけでなく、社外の研修会社が運営しているコンテンツからも探します。

また当社は、過去に国や自治体の人材育成支援プランを、研修に取り入れたこともありました。そのプランを活用すれば研修会社に依頼するよりも費用を抑えられるので、おすすめです。

コンテンツの研修に必要な日数に関しては、たとえば、Office、ビジネスマナーだとそれぞれ1日程度、ロジカルシンキングは2日程度です。

研修会社が出している公開講座なども、参考にしました。インプットメインのものに関しては、動画コンテンツからも検索し、研修にフィットしそうなものを検討しました。

参考に、本年度の当社の新入社員へのコンテンツは、以下の流れで設計しました。

4月
▼入社式
▼会社について:ビジョン、各部門組織について 等(社内)
▼コミュニケーション研修:入社者同士で相互理解をしてもらう(社内)
▼ビジネスマナー:動画でインプット+実践(社内)
▼IT基礎研修(外部講師)
▼他部門留学:他部門の仕事を体験する
▼IT研修:サーバーやデータベースなど

上記にプラスして、メンターとのデイリーの振り返りと、月に1回、人事を交えて振り返りをするという、アウトプットのサイクルを設定しています。

新入社員にとって、身近なメンターを通して、気になったことを日々クリアにできることは、入社時からオンライン勤務が多く、知っている先輩が少ないなか、かなり助かっていると聞きます。

また、月に1回の振り返りでは、入社時から繰り返していると、新入社員たちが、徐々に自分自身で振り返りをすることや、全体を見据えた視点から課題を持てることができてくるように感じています。

 

いかがでしたでしょうか。

社会人の最初の一歩として当社を選択した新入社員が、早く会社に慣れ、コンフォートゾーンからラーニングゾーンへ入ってビジネススキルや、技術スキルをどんどん習得して活躍してほしいと思っています。

そのためには、新入社員の入社時研修の難易度を、高過ぎず、低過ぎず、適度な内容に設定していくことが大事です。

現在から未来の組織や、新入社員の特性、社会の動きから、研修内容を決定したり、柔軟に変化したりすることも大切だと思っています。

あくまで一例としてご覧いただき、少しでも参考になればうれしいです。

Written by

IzumiHiraoka
CANTERA ACADEMY2期卒業。 大学卒業後、大手食品会社にて総合職として入社し、法人営業をメインに担当。 その後、人材ベンチャーの東京オフィス立ち上げのなんでも屋として勤務。 2006年から現リクルートにてリクルーティングアドバイザー、企画スタッフ、キャリアアドバイザーを経験。受賞複数。その間2度の産休育休を取得し共に復帰。リクルート卒業後は、国の事業に関わったり、ベンチャー企業で人事として採用企画、規程改訂、制度、労務など人事全般と、総務、秘書など色々経験しています。現在は株式会社クラウディオにて人事ディレクターとして人事全般を行っています。
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