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候補者の本音を引き出す最後の質問

候補者の本音を引き出す最後の質問

終わり良ければすべて良し

面接で本音が出やすいのはいつかというと、それは、面接の最後。具体的には「最後に何かお伝えしたいことやご質問はありますか?」の回答時によく起きます。

何故起きるのか。それは、緊張していた志望理由や自己PRから解放された安心感と、面接官自体も肩の力を抜き「なんでも言ってくださいね」と雑談の雰囲気になるから。しかもバッチリ対策してきた候補者は全て計画通りに言えた、合格間違いなしという自信も出て、あとは何を言っても大丈夫だろうという雰囲気さえ出てきます。そうなると「実は・・・・」とか「できれば・・・・」とかの要望から本音を聞くことができます。その人の本当の仕事に対する価値観がわかる、よくある具体的な発言と想定される本音をご紹介します。

よくある具体的な発言から想定される候補者の本音

発言例1:子供がいるので毎日定時で帰りたいのですが。
ワーキングマザーの面接をしているとよく聞く発言。子供がいるから、定時で帰りたいと気持ちはわかります。しかしこの発言の本音として自分には子供がいるので、優先してほしい気持ちがある場合もあります。そうなると入社した後、子供がいない社員が定時で終わらない場合仕事を引き継ぐことが起き、軋轢が生まれてしまいます。
そうならないためにも、「定時で帰れますよ。大丈夫です」と良い面接官を演じるのではなく、なぜ毎日なのか具体的に聞きましょう。おすすめなのは、何かトラブルが起き、残業が発生した場合に残業が可能なのか、前の企業ではどのように対応していたか聞くことです。「夫や親にお願いする、もしくは延長保育を利用する」など具体的な解決策が出るかどうかでトラブルの時に、責任感を持って対応できる方なのかがわかります。

発言例2:退職金は何年後に発生しますか?ストックオプションはありますか?
この質問をする候補者は、退職前提での入社の可能性が高いです。そしてその発生するタイミングで辞める可能性もあります。また辞める前提で入ったために、困難な状況や乗り越えられない壁にぶつかった際にやる気をなくす、辞めるという方向に進む人を私自身見てきました。
しかし、中には興味本意で聞いている場合もあるため、なぜ気になるのか聞いてみると良いでしょう。その時に見るべきところは表情です。なぜ気になるのかと聞かれると想定していない人が多く、辞める前提なのがバレてしまった、という顔をする人がいます。安心しきったところで想定外の質問が来ると言葉よりも表情に出ます。
また参考までにですが、上場していない企業の面接で「ストックオプションはありますか」という発言は上場した瞬間やめる社員であることがわかるため、採用時点で一発OUTと決めている企業もあるそうです。

発言例3:研修や教育担当の方はいますか?
特に未経験職種の場合、不安があるのは面接官もわかっていますが、この発言には「教えてもらいたい」という本音が隠れています。研修や教育担当が時間をかけて教えることができる環境ならいいのですが、中途採用で人を採用する場合、人手が足りなく即戦力を求めていることが多いですよね。なので、教えてもらいたいスタンスの人が入社された場合、研修が終わって1ヶ月後には1人で自立してもらう必要があるとか、自立してもらうべき期間を伝えた方が良いでしょう。
そうしないと、面倒見のいい教育担当に期限なく教えてもらう受け身スタンスで働いてしまう場合があります。面接をした際に、中途入社で入ったが、教育体制が整っていると聞いたが教えてもらえなかった、研修がなかったため退職しましたという人と出会ったこともあります。事前にしっかりとお互い認識を合わせていくことも大事なので、面接で本音がわかったら、はっきりと自分の企業の状況を伝えることをお勧めします。

その他:面接後、エレベーターで向かうまでに感想を聞く
最後の質問よりもっと無防備になるタイミングです。ここで感想を聞く背景としては、謙虚さや志望度合いがわかるからです。具体的には「面接を終えてどうでしたか?」とあえて、広めに質問することがポイントです。面接時のやりとりと同じ雰囲気なのか、態度が一変するかをみてください。
特に態度が変わる瞬間、それは「エレベーターのドアが閉まっていく時の表情」。ドアが閉まり、相手の顔を見れないと言う安心感から素の表情が見えます。私自身、今まで満面の笑顔をされていた人が、この瞬間、凍りついた冷たい目に変わったのを目撃したこともありました。面接部屋だけではなく、相手の本音・本心を知るタイミングなので、是非実践してみてください。

いかがでしたでしょうか。本音を知りたいと言う場合は、最後の質問に加えて、会社のエレベーターのお見送りは実は本音を知れる機会です。と、同時に私たち面接官も同じようにエレベーター前での態度を見られているので、同じように審査されている気持ちで面接には挑みましょう。

Written by

AzusaMiura
CANTERA ACADEMY3期卒業。大学院卒業後、株式会社リクルートに就職。営業、商品企画、人事と計10年勤務。退職後、A.T Kearney株式会社に人事責任者として就職。その後独立し、フリーの人事コンサルタントとして活動。同時に株式会社TORCH COO就任。ベンチャー企業の経営陣採用や新卒、中途の採用設計から運用まで幅広く関わる。面接した人数は合計1万人以上にのぼる。2020年1月末に夫の海外赴任に帯同しブラジルへ。2020年11月世界中の駐在妻・元駐在妻・プレ駐在妻を応援し、共に成長するコミュニティ『駐妻キャリア net』の代表就任。転職ノウハウブログ『駐妻 本気の転職術』を執筆。話し方研究所プロフェッショナルインストラクター。慶應義塾大学大学院SDM研究科研究員。LinkedIn公認クリエイター
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