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離職率防止策の要は要因分析

離職率防止策の要は要因分析

そもそも社員は本当の離職理由を語っているか

風の噂では、人間関係・給与の不満・評価昇格制度の不満などが届く。おそらくはこれが本音だろう。さらに正確に言うと、人間関係や評価などでの不満が続き「これ以上は会社に言ってもムダ」と思い、転職活動をした結果、他にやりがいを見出したのだろう。
ここでのポイントは「これ以上、会社に言ってもムダ」という諦めのプロセスだ。もちろんこれは、「上司に言っても」「人事に言っても」という言葉に置き換えられる。
 
人事担当として、社員とのコミュニケーションと信頼関係に自信がある方もいらっしゃるだろう。例えば社員の人数が100人満たないフェーズの組織など、そうかもしれない。ただいくら社員が本音を語ってくれたとしても、それに対して応えられない場面が続いたら「人事に言ってもムダだ」と思われるのは同じであることはご理解頂きたい。つまりは、社員の期待に応える姿勢・対話が大事なのだと思う。

よくある離職防止策

離職防止策は、体裁を整えるだけならある程度はできる。それこそ、よくある離職理由と、その防止策を列挙してみよう。
 
①会社の文化・風土に合わない:そもそも採用段階でカルチャーマッチ、ビジョンマッチを厳密に見る。能力がいくらマッチングしてても、入社した後にカルチャーの不一致を合わせるのは難しい。ビジョナリーカンパニー2でも言っている。「誰をバスに乗せるか選ぶ」と。

②人間関係の問題:GEPPOなどのツールで状態の見える化。1on1による相談の場づくり。メンター制度の導入

③社員の士気の低下:モチベーションクラウド・wevoxなどのサーベイによる定点観測により、組織診断を行いうち手を打つ
 
いかがだろう?よくある離職理由に対する対応策は、少し調べてば対策を立てられる。どれもそれなりに、最近の風潮をとらえた施策であると思う。ただ、個人的には何も考えず絆創膏のような対処療法として、これらの手段だけでやった気になるのはおススメしない。手段ありきになってしまい、社員と「対話」ができていないからだ。

基本は衛生要因と動機付け要因

では、離職防止策を考えるうえでの基本は何だろう?私は、「衛生要因・動機付け要因のどこに社員の不満や諦めがあるのか理解すること」をまずは行う。
いまさらだが、衛生要因とは給与・福利厚生(休日、職場環境、就業時間)・評価昇格制度など満たさないと不満足につながる要素。
動機付け要因とは、やりがいのある仕事・権限移譲・承認など満足につながる要素である。
 
基本ではあるが、衛生要因だけをいくら満たしても動機付け要因が満たされないと社員の満足には繋がらない。一方で、動機付け要因を満たしても衛生要因が満たされなければ、いずれは不満足に繋がる。例えば、いかにやりがいのあるスタートアップだったとしても、永遠に給与や福利厚生の要素が満たされないと、いずれ社員はドロップアウトする。
だからこそ、スタートアップはストックオプション制度を導入している。現状で満たせない衛生要因を、将来の約束として担保するのだ。

多様な人材が、活躍できる環境を準備する

次のステップは多様な人材の活躍できる土壌を整備することだと思う。「多様な人材」というとダイバーシティの一環で女性、シニア、障がい者などを想像するかもしれないが、私の場合は組織の「2・6・2」で考える。
2・6・2の法則はみなさんご存じだろう。組織は、トップの2割・中間の6割・下層の2割で構成されるという考え方だ。
「2・6・2」なんて、多様とは言えないと思う方もいるかもしれないが、なかなかどうして。ハイパフォーマーとミドルパフォーマーと伸び悩み社員を同じ制度で満足させるのは難しい。
ミドルに合せた人事制度をハイパフォーマーにも当てはめると、制度が足かせとなる。またハイパフォーマーと同じ成果を出せないと処遇されないとしたら、会社を支える中間層の脱落を招く。
なので、1つの制度で網羅しようと思わないことが大切だ。例えば、処遇や評価昇格制度を策定する際に、上位のハイパフォーマーは思い切った抜擢人事や処遇制度を導入。中間層には、ある程度の期待に応えればある程度の処遇は得られる仕組みとする。また下位の伸び悩み人材に対しては、降格ルールを明確にすることで、上位層への示しをつける。処遇や評価昇格制度だけでも、これだけ見方を変えることができる。

離職防止のために、「2・6・2」それぞれのうち手を考えるのは他にも可能だ。
例えば私は前職で、ハイパフォーマー限定でFA制度を導入した。一番離職されると痛いハイパフォーマーには、社外へ転職されるくらいなら社内転職を促すことを意図した。そしてハイパフォーマーには、それなりの権利を付与したという訳である。
次に中間層向けであれば、上位・下位の2割と比べて安定したパフォーマンスを出して当たり前と思われがちな彼らに報いるために、「感謝・承認する仕組み」としてUniposの導入検討を行った。
ハイパフォーマーと比較し、貢献以上の評価・抜擢するのは違うが(ハイパフォーマーと同じ扱いをすると、ハイパフォーマー側のモチベーションが下がってしまう)、彼らの貢献は当たり前ではない。そこにスポットライトを充てる施策だ。
離職防止策を「2・6・2」という切り口で考えるのは、私見ではあるがそれなりに有効だと思っている。大事なのは、各社に応じた切り口は何かを人事担当者が適切に見極めることだろう。

ヒヤリングだけではなく「対話」すること

私は冒頭で「社員との対話が大事」と書いた。対話とは、単なるヒヤリングではなく双方向のコミュニケーションであることを意識したい。大事なのは単にヒヤリングすることではなく「社員の要望は何かをっ確認する」「社員の要望に応えられないなら、その理由について対話すること」だと思う。

「なぜ現状がこうなのか、なぜその求めには応じられないのか」説明責任を果たすことも重要なので、双方向の意味合いを持つ「対話」という単語を用いた。対話のできる土壌があれば、例えばアルムナイ制度も機能するのだろう。

Written by

AkikoKitamura
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