コロナ禍で激変した労働市場。求職者から選ばれる企業になるために大切なこと
コロナ禍で個人の生き方や考え方に変化が
withコロナの時代に突入し、個人の生き方や考え方の志向性に大きな変化が生まれました。誰もが予想しなかった急激な環境変化によって、「自分って一体何がやりたいのか」といった疑問や「やりがいを持って働きたい」といった志向を持つ人が増え、「このままでいいのか」と自分に問いかける人が続出しました。
エン・ジャパンが実施した「転職のきっかけ」実態調査(2020年8月)によると、転職を検討している層に「転職を考え始めたきっかけ」として最も多かった回答が「やりがい・達成感を感じない(40%)」だったそうです。
私も求職者との面談・面接を数多く行っていますが、コロナ禍に入ってからこの志向は明らかに上がっていると感じます。逆に言うと、「今の仕事を楽しめていない」という方がかなり多くいらっしゃるということです。私自身、強い危機感として認識しています。
流動的な労働市場で選ばれる企業になるのは難しい
そんな中で、企業が労働市場で選ばれる難易度が上がっています。それは、労働市場の流動性が高まっているからです。
今や転職活動は誰でもできる手段です。また価値観が多様化しているため、働き手は少しでも違和感があると違う職場への転職を検討し始めてしまいます。
トヨタの豊田章男社長が2019年の年頭挨拶でこんなスピーチをされていました。
日本を代表する大企業の社長でもこのようなスピーチをするのです。企業として成長し続けるためには、労働市場で選ばれなければなりませんが、その競争は激化の一途をたどっています。企業は、常に選ばれる努力をしなければならないのです。
選ばれる企業になるには「理念の策定と文化浸透」が大切
コロナ禍で激変した労働市場で企業として選ばれるために、一番大切なことは何でしょうか。私は「経営者や経営陣が心底納得感のある理念を策定すること」と「それを文化として社内浸透させること」が重要だと考えます。
理念は企業の存在意義です。何のためにこの会社は存在し、その組織は何を目指し、どんな価値を提供しているのかを示すものです。
軸のある人生を歩みたいと考える求職者は、自身の価値観(夢ややりたいこと)に合った理念を掲げている企業に入社したいと思っています。そういった会社に出会い、入社できた時は高いパフォーマンスを発揮するでしょう。個人の自己実現と会社が結びつくと、事業の成長にもつながるのです。
私自身も自社において理念を策定した経験がありますが、経営陣がこの理念に対して強く納得できているかどうかも大事なポイントだと思います。納得感を持って経営を行うことが、会社の文化にもつながるからです。
会社の文化とは“上司が見ていないところでの社員の行動”とも言えるでしょう。社員は経営陣をよく見ています。経営陣や上司の基準が行動になり文化になるのです。理念を軸に経営を行うと社員の行動がそれに伴い、目指す未来によりスピーディに近づくことができると私は思っています。
企業も個人も理念という“軸”を持つべき
企業は軸のある人生を歩む方を採用したいと考えています。軸がある人はブレないからです。
軸がある人は「過去の原体験が未来のあるべき姿の理由になっている人」とも言えるでしょう。こういう人なら、困難に対してあきらめることなく自分がした決断(入社する会社)を正解にすることができるのです。こういった人生が歩める人はとても成長も早いし、永久に成長し続けることができると断言できます。
一方、求職者も軸のあるブレない会社に入りたいと考えているのです。その軸とは、理念であり、その理念を軸に経営を徹底し、その文化が会社全体に浸透しているかどうかということ。どんな困難な時代でも求職者から選ばれ続ける会社になるために“軸を持つこと”を重視しましょう。