改めて考えたい「採用面接の役割」。面接のオーソドックスな進め方も考えてみた
人事にとっては、面接の役割なんて当たり前すぎて普段深く考えることは少ないのではないでしょうか?
人事のみならず現場の方も巻き込んで行うことが多い「採用面接」。今回は、採用面接とはそもそも何か、そして、オーソドックスな面接の進め方を考えていきましょう。
面接の役割とは?
『ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則』(著作:ジェームズ・C・コリンズ)にもある通り、誰をバス(会社)に乗せるかが人事の最重要事項。つまり、面接の役割は自社で活躍する人材を見極めるものです。
一方、応募者は、面接官は会社を代表する人であると見ています。そのため、面接官の対応いかんで、会社の評判ひいてはサービスの評判につながる可能性があるのです。
つまり、人事が面接を担当するときに限らず、現場の社員に面接を依頼する際も同様の意識を持っていただく必要があります。現場の社員の方には、人事から依頼された仕事ではなく、「会社を代表していること」そして「会社の今後の成長につながる重要な事項であること」を理解いただく場作りが重要なのです。
なかには、現場の社員へ面接を依頼する会議などで社長にも同席いただく企業もあるそうです。会社の重要事項であるということを、現場の方に理解いただく雰囲気作りのひとつと言えるでしょう。
面接の標準的なタイムスケジュールと内容
面接のサイクルは1時間であることが多いでしょう。10分は評定記入に充てることを考えると、実質的な面接時間は50分。その場合のタイムスケジュールは以下のようになります。
挨拶・説明(2分):応募いただいたことへのお礼を伝える。面接担当者の自己紹介・面接の進め方を説明する。
アイスブレーク(1分):気軽な質問を投げかけ、本音が出やすい環境を作る。
質疑応答(40分):質問を投げかけ、求める人材要件に合致するか見極める。
質疑応答(5分):質疑応答の機会を持ち、候補者の満足度を高める。質問内容から必要であれば志望度を確認する。
挨拶・確認(2分):他社の選考状況について確認する。結果連絡の方法や今後の選考などについて説明する。
評定記入を複数の面接が終了した後にまとめて行う面接官がいますが、候補者が複数いると忘れてしまうことが多いため、おすすめできません。ジャッジ内容や候補者情報を的確に残す観点から、面接が終わったら評定記入はすぐに行うことは重要です。少しでもコメントを残しておけば、後から追記できるので、現場の方に面接を依頼する際にも、この点は徹底しておきたいですね。
志望理由よりも過去のエピソードを掘り下げた質問を
面接の中で、当たり前のように志望理由を聞いている人は多いでしょう。実は志望理由は面接の見極めという観点からは、おすすめできない質問項目。なぜなら、志望理由は応募者の考えや思いであり、これらはいくらでも盛ることができるからです(もちろん、論理的思考や言語能力は測ることはできますが)。
面接時で大事なのは、過去のエピソードとその事実から応募者の能力を推し量ること。そのためには、過去のエピソードを掘り下げていくことに意識を向けるとよいでしょう。
過去のエピソードといってもいろいろありますが、特に本人が苦労した話にご本人らしさが出てくることが多いです。そして、10年以上も前の話ではなく、直近から古くても5年ぐらい前の話がよいでしょう。中途採用であれば、現職や前職の会社での出来事、新卒採用であれば大学生または高校時代を対象に語ってもらうのもよいです。
特に新卒採用においては、大学時代の話ばかり聞く面接官が多いですし、学生側も大学時代の話をしないといけないと思っている学生が多いため、サークルやアルバイトの話が中心になります。しかし、苦労した話を大学や高校時代含めて教えてほしい、と話を振ると、実は高校時代を語る学生が多い。大学時代よりも高校時代にその人らしさが垣間見えることが多いケースがありますので、ぜひ面接では高校時代のエピソードも含めて聞いてほしいです。