リーダーシップを「共有する」ことの重要性
リーダーシップのシェアとは
変革型リーダーシップやカリスマ的リーダーシップといった理論的な研究がありますが、「共有型リーダーシップ」という概念をご存知でしょうか?
リーダーシップをシェアするということはどういうことなのか?事例を見てましょう。
株式会社Kaizen Platformの須藤さんも著書「ハック思考」で言っておられましたが、まず「歴史」を振り返ってみたいと思います。
時代を作ってきた名だたる企業では、本記事の主題である「共有型リーダーシップ」を見ることができます。
SONYの井深大と盛田昭夫、Panasonic(旧:松下電器産業)では、創業時の松下幸之助と井植歳男、そしてその後の松下幸之助と高橋荒太郎など日本を代表する総合電機メーカーには、パートナーとなるもう一人の経営者がそれぞれいました。さらに、HONDAには、本田宗一郎と藤沢武夫という二人の創業者の存在がありました。
そして、日本だけではなく、世界に目を向けてみれば、Googleのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、Appleのスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、ヒューレット・パッカード社のウィリアム・ヒューレットとデビット・パッカード、Microsoft社のビル・ゲイツとポール・アレンも同様でした。
改めて整理すると、共通点としては「複数で事業を立ち上げ、リーダーシップを共有し企業経営を行っていた」ということです。
シェアド・リーダーシップについて
シェアド・リーダーシップの定義を確認してみましょう。
Carson, Tesluk, and Marrone (2007)は、シェアド・リーダーシップを「チーム・メンバー間でリーダーシップの影響力が配分されているチーム状態」と定義しています。
つまり、このシェアド・リーダーシップが高いチームは、リーダーを含むチームのメンバーそれぞれが、チーム目標達成に向けて必要なリーダーシップを双方的に発揮している状態と言えます。反対に低いチームとは、1人のリーダーが、一方向的に他のチーム・メンバーに対してリーダーシップを発揮している状態です。
ティール組織、ホラクラシー型組織といった組織論が提唱されてくる中での、いかにリーダーからのトップダウンによるマネジメントから脱却するかが大切となってきます。
権力や権威で先導するリーダーではなく、リーダーシップとフォロワーシップを理解し、先導していけるリーダーがこれからの時代に必要なのではないでしょうか。
私自身も、マネジメントをする中では社員・インターンのようなフィルターを撤廃しています。当たり前のことですが、メンバーからの提言は基本的に否定しません。むしろメンバーから主体的な意見が上がってくるチーム、共有型リーダーシップが機能している状態と言えるので、健全です。
メンバーのフォロワーシップを発揮できるように、マネジャーとして先導することでより自発的にメンバーが動いてくれるようになり、部署の生産性と共にパフォーマンスも上がりました。
メンバーからの意見は、まず肯定し、チームで議論を行い実行することでリーダーシップとフォロワーシップが相互に作用し大きな化学変化が起こります。
時代を築いてきた企業に複数のリーダーが存在し、事業を成長させていった事実を理解し、会社・組織内でのリーダーシップを「共有」してみてはどうでしょうか。
歴史から見るこれからのキャリアとリーダーシップ
SONYやPanasonic、Google、Appleといった時代を作ってきた企業にあった、複数リーダーによる起業という共通点。
COVID-19が全世界で拡大していた中で、キャリアについて考える人も増えたのではないでしょうか。
・どんなキャリアが自分に合っているのか?
・組織内でどのように行動すればいいのだろうか?
かく言う私も、大手企業に在籍していたり、ベンチャーでリーダーをしている経験から今後求められる人材は?求められるリーダーシップは?と考える機会が多いです。
大企業に就職する人が安定で、大企業はつぶれないという時代はもう終わりを迎えています。今後の日本でのキャリアとして、起業する人材も増えていくでしょう。その創業(起業)というフェーズで、単独での企業家行動ではなく、複数での企業家行動、つまりパートナーとなる人材と会社を創業し、事業を発展させていく時代が今後より一層深みを増して、到来すると私は考えています。
起業というキャリアだけではなく、新卒での就職や転職、副業といった様々な選択肢がある現代において、組織内でのリーダーシップやフォロワーシップについて考えるきっかけとなれば幸いです。