横浜の中小企業というネック

当社は従業員数20名程の会社です。私はそこで一人人事をしています。採用費の予算を取ることができず、求人媒体は無料のものを利用しています。現在は求人募集を停止していますが、積極的に採用活動をしていたのは、新型コロナウイルス感染症が流行りだす前の売り手市場の時でした。有料媒体を使用しても“求人に対する応募者0名”ということも多々ありました。学生インターンの募集に関しても一人の応募もなく、ため息が出る毎日を過ごしていました。なかなか応募が来ない状況に現場からは「早く人が欲しい。まだ？」と言われている状況でした。

「都内の会社じゃないから」「採用費が取れないから」「有名企業じゃないから・・・」そんな言い訳ばかりが頭の中をぐるぐるしていました。
とはいえ、このまま応募ゼロのまま待ち続けるわけにもいきません。どうしたら応募が来るだろうかと考えました。最初に考えたのはホームページに求人ページを設けること。現在の当社ホームページには求人案内のページがありません。ここを作りこめば自社のアピールができるので、興味を持ってくれる人も増えるのではないかと考えました。
しかし、採用ページの設置にはそれなりの費用と時間がかかるとの回答。また費用・・・。費用対効果が測れないのにそんな金額の稟議は上げられない。本当にそれで応募は増えるの？設置しても知ってもらえなければ無駄になってしまう。自社のことを知ってもらう方法は他にはないの？だったらその費用を求人媒体費に回す？いやいや、有料媒体でも記事が埋もれてしまって応募が来なかった過去がある。毎日毎日考えていました。

息抜きから得たヒント

悩んでいた時に息抜きで見ていたTwitter上に、とある企業の採用担当者が自社の紹介と、新しく入ったインターン生の紹介をしている投稿が目に入りました。
これだ！と思い、すぐに社長に「このアカウントみたいなことを、私も社名と実名を出してやりたい。」と伝えて承認をもらいました。「炎上には気をつけますから」と言ったところ、「多少炎上してもいいよ。やってみたら。」と言ってくれたことにとても感謝しています。
　
すぐにほったらかしていたアカウント名を変更し、毎日社内の様子や社員の様子をつぶやきました。意識してみると、アピールポイントってたくさんあるんですよね。
調理器具を扱う会社なので、皆で新商品のキッチングッズを試して、その試作品を皆で食べるだとか、知的財産権の勉強の一環として、年末に知的財産を活用した新商品を考えて発表する会があるだとか、当社独自の「強み」や「らしさ」だなと感じています。
それ以外にもウィークポイントだと感じているところについても発信しました。きれいなところばかり見せて、ギャップを感じてほしくないと思ったから。ありのままを見てほしい。決してオフィスはキレイではないし、駅直結ではないので雨の日はずぶ濡れになる。それも全部発信しました。それも全部“ののじ”だから。

全員が動き出す

人事が積極的に動き出すと、経営者も社員もアルバイトも・・・ののじメンバー全員が手伝ってくれました。福利厚生を見直してみたり、オフィスレイアウトを再検討したり。
つぶやくために「写真撮っていいですか？」と社員に言うと喜んで協力してくれました。なにか“ののじらしい”出来事があると「美樹さんこれ！つぶやけるんじゃない？！」と声掛けてくれたり。
採用に困っていることを皆が理解してくれて協力してくれました。SNSで発信してくれたり、仕事を探している知り合いに声を掛けてくれたり。
「小さい会社だから」「都内の会社じゃないから」とネガティブに考えていたけれど、“ののじらしさ”はたくさんあることに気が付きました。今まで私は何を見ていたのだろうと思うくらいに。私自身も自社の魅力を再認識して、もっと知ってほしいと思うようになりました。きっとののじメンバーみんながそうじゃないかな、と感じています。「それ、“ののじらい”ね。“ののじらしく”ないね。」なんて会話が聞こえてくるようになったから。
“ののじらしさ”の発信を始めて4ヶ月ほどたってから。「Twitterを見て御社の選考を受けたい」というDMをいただきました。結果が形に現れてとても嬉しかった。
大手のようにはできないけれど、大手ができないことができると思っています。
「入社したい」と思ってもらえるように、私はこれからも“ののじらしさ”を発信していきたいと思います。もちろんののじメンバーみんなと一緒に。