【採用マーケティングの基本その1】欲しい人を採用するために、まずは全体像を把握しよう!

最終更新日:2021/03/11

Writing by:酒匂光晴

積極的な採用活動をしているにもかかわらず、「良い人がなかなか応募してくれない」「そもそも応募がこない」と考えている経営者、採用担当者の方は多いのではないでしょうか。

採用活動の中でも「自社にとって採用すべき人」が応募してこないのはいくつかの原因が考えられます。しかし、もしも現段階で「採用要件」が漠然としていて明確化されていなかったり、採用要件から考えられる「採用ターゲット」を複数の軸でセグメントしてターゲティングしていなかったり、採用ターゲットから導かれる「ペルソナ」が「自社に応募してくれる動機」を想定・設計できていないようであれば、採用マーケティングの基本を見つめ直し、マーケティングプロセスを丁寧に設計することで、採用成功に向けた大幅な改善が見込めるはずです。

そもそも「採用マーケティング」とは何か?

採用活動がうまくいっていないときこそ、立ち返っていただきたいのが「採用マーケティング」です。

「採用マーケティング」とは、自社のビジョンや事業戦略、採用上のポジショニングから導き出された採用目的・目標を達成するために、

①人材要件の明確化
②採用ターゲティング
③自社らしさの明確化
④ペルソナの設定
⑤採用メッセージの言語化
⑥採用チャネルの設計
⑦採用メッセージの表現・発信

という7つのステップを踏んで、自社と採用ターゲットを結び付けるための活動プロセスのことを言います。

「良い人がなかなか応募してくれない」「そもそも応募がない」という状況の多くは、この採用マーケティングのステップを丁寧に踏んでいないことで発生することが多いのです。

「採用チャネル」ばかり考えるのはNG!

経験がある方も多いとは思いますが、「良い人がなかなか応募してくれない」「そもそも応募がない」という状況になると、どうしても「採用チャネル」をどうするかということばかり考えがちになってはいないでしょうか?

魅力的な母集団が獲得できない状況が続くと、「なぜ自社に合った人が来ないのか?」という問いを立てる前に、「とにかく応募を増やそう」とより多くの求職者にリーチするために、求人広告の掲載媒体数を増やしたり、より多くの紹介会社とつながったり、Twitterやnoteなどの手法を研究したり、リファラル採用を強化しようと全社を挙げての紹介キャンペーンを始めたりするなど、採用チャネルを増やそうとすることがあると思います。

しかし、採用チャネルを増やすという活動はあくまでも「手段」。そもそも前提となる、

・誰に(どのような求める人物像(ペルソナ)に)
・何を(ペルソナにとっての自社の魅力(採用メッセージ)を)
・どう伝えるか(採用チャネルの工夫+採用メッセージの表現の工夫)

という基本が丁寧に設計されていなければ、どんなに大量の露出をしても全く求職者に届きません。それどころか、自社とは合わない人の応募が増える=ミスマッチ採用の確率が上がる、ということが起きかねないのです。

重要なのは「求める人物像の明確化」!

「良い人がなかなか応募してくれない」「そもそも応募が来ない」という苦しい状況から脱却するには、この採用マーケティングの前半のステップである、

①採用要件の明確化
②採用ターゲティング
③自社らしさの明確化
④ペルソナの設定

までの「求める人物像の明確化」の4つのステップを丁寧に設計することで改善が期待できます。

求める人物像の設定でありがちなのは、社長や担当役員などの上層部が語る「明るい子がいいな!」「コミュニケーション力がある人!」「○○な経験や○○なスキルがある人!」など、「○○な人がいいな」をそのまま採用ターゲットにしてしまっているパターンです。求める人物像を明確にする前に上層部の要望を全て受け入れてしまうことで、「この世に存在しない人」もしくは「自社では絶対に採用できない人」が採用ターゲットになってしまうなんて笑えない笑い話も実際に良く起こります。

残念ながら、求める人物像を明確にしないことで、採用ターゲットの抽象度が高くなったり、解像度がぼやけたりしてしまい、自社にとって本当に必要なターゲットに魅力的な採用メッセージが打ち出せないということが本当に良く起きているのです。

「求める人物像の明確化」ができているかどうかチェックしてみよう!

さて、それでは自社が「求める人物像の明確化」ができているかどうか、簡易チェック表を使ってチェックしてみましょう。

①採用要件の明確化
 □採用要件を「スペック(またはスキル)」「タイプ(または社風適正)」で明確にしている
 □洗い出した「スペック」「タイプ」をさらに「MUST」「WANT」で整理している

②採用ターゲティング
 □採用要件を満たす人材がマーケットのどこに存在しているのか「同業種」「異業種」×「同職種」「異職種」などのマトリクスでセグメントしている
 □セグメントごとのターゲットが「どこにいるどんな人なのか」を具体的なキャラクターとして複数想定できている

③自社らしさの明確化
 □自社の魅力や特徴を「企業の4つの魅力要因」や「働く動機12アングル」なども活用し、網羅的に洗い出せている
 □競合や他社と比較することで、自社の魅力はもちろん、事業特性や社風・文化における独自性などの「らしさ」も抽出できている

④ペルソナの設定
 □採用ターゲティングで洗い出した「採用ターゲット」と、自社らしさの明確化で洗い出した「自社らしさ」とが、それぞれどんな魅力誘因になり惹かれるかを複数想定できている
 □採用ターゲットと自社がどんな接点を持つのか、接点を持つまでのストーリーの主人公のドラマを具体的なペルソナとして設定できているか

簡易セルフチェックいかがでしたか。もしひとつでもチェックがつかなかった方は、次回以降の記事でできる限り詳しく解説しますのでお楽しみに!

次回は「【採用マーケティングの基本その2】採用要件は「明確」にしなきゃ意味がない!」です。採用シーンごとの「スペック」「タイプ」の切り分け方、それをいかに「MUST」「WANT」に分けるのか、ということについて解説します。

採用について学びたい方はこちらもご覧ください。

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執筆者

酒匂光晴

CANTERA ACADEMY9期卒業

カエテク株式会社 代表取締役

リクルートグループの人材領域事業にて営業、営業企画、商品企画、代理店統括などに携わり、営業マネジメント、事業マネジメントを経験。その後独立し、人事・営業専門のコンサルタントとして活動しながら、数社のベンチャーの立ち上げ、営業責任者、役員を歴任。

2019年3月、「幸せを実感できる社会を創る」をミッションにカエテク株式会社を創業、代表取締役に就任。企業の存在意義をクライアントとともに捉え直し、本質的な人材採用、組織づくり、人材育成を展開。コンサルタント、講師、ファシリテーター、講演家。おもてなしNPO運営。旅行・食べ歩き・飲み会・楽しいことが好き。

基本的にアホで自由人。

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