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人材エージェントから人事に転身して感じた共通項とギャップ

人材エージェントから人事に転身して感じた共通項とギャップ

私はもともと人材エージェントをしていましたが、いい組織つくりを行いたいと人事へ転身しました。ちょうど人事に転身して5年。今、私が感じる人材エージェントから人事に転身したことで感じた共通項とギャップを書いてみます。

 

人材エージェントと人事の仕事の共通項

私は人材業界の中でも、人材エージェントにいたので、メインは企業の採用を支援する仕事でした。採用計画に沿って入社後活躍できる人材をいかに採用実現させるか、ということが共通項です。採用の流れをまとめてみました。

<採用フロー>
▽採用計画立案(予算も含め)
▽採用ニーズの社内ヒアリング
▽採用ターゲットの明確化
▽採用手法検討(媒体・エージェントなど)
▽各採用サービス会社への依頼、調整、情報収集
▼求人記事作成
▼応募者対応(日程調整、面接)
▼内定フォロー
▽入社手続き、インフラ準備
▽入社日フォロー
▽オンボーディング(社内調整、面談設定)
※案件の有無にかかわらず、会社の採用ブランディングのため採用広報として、コンテンツ作成なども。

このうち、人材エージェントとしてかかわったのは、以下3つのステップです。
▼求人記事作成
▼応募者対応(日程調整、面接)
▼内定フォロー
(+候補者がキャリアアドバイザー経由で担当企業に興味をもってもらうために、キャリアアドバイザー向け広報活動によるエージェント内での認知度向上活動)

ただ、エージェントとしては、どうにかして担当企業の採用を成功させようと、3つのステップに対してとにかく採用成功の戦略を立ててPDCAを愚直にやる、という動きがメインです。そして、複数の企業を担当していたので、他企業の成功事例やナレッジを担当企業へ情報提供していました。

採用において、人材エージェントと人事の共通項は「自社の成長のために入社後活躍する人財をいかに採用するために行動するか」ということだと感じています。

 

人材エージェントと人事の仕事のギャップ

正直、人材エージェント=採用のプロだ、と感じていました。エージェントとしても実績も積み上げていたので、人事に転身して採用スタッフから実績を積み上げていけたらいいな、と思っていました。

しかし、実際に人事に転身してみると、思った以上に人材エージェントとのギャップがあったのです。

 

ギャップ1:人事の仕事は採用だけではない

人事の仕事は会社の規模や立ち位置にもよりますが、かなり多岐にわたります。

採用だけでなく、育成・教育、人事企画、規程整備、制度企画、労務管理・衛生など、人事領域の仕事は幅広いです。人事の仕事の種類の多さに私は面喰いました。

 

ギャップ2:人事の仕事は法律や保険、税金制度などをしっかり学ぶ必要がある

人事は、社会保険や所得税計算など役所にかかわる仕事が多いとも感じました。また、法律の知識も働き方改革法案など新しく加わるものも多く、常にキャッチアップする必要があります。

 

ギャップ3:人事は経営に直結する

経営の資源は、人・モノ・カネ・情報と言われますが、まさに人事は経営に直結するものだと実感しました。人材エージェント時に事業企画なども経験していたので知った気になっていたのですが、事業を伸ばすためには仕組みだけではなく人による成長が欠かせないと改めて感じました。

 

ギャップを埋めるために実践したこと

人材エージェントから人事に転身して私が不足していると感じたギャップとスキルに対して、どうやってそれを補っているのかをまとめてみました。

 

1:人事が関わる領域全般への理解

まずは、キャリアコンサルタントの資格を取得しました。しかし、まだまだ不足感があると悩んでいたときに出会ったのはCANTERAです。戦略人事を学び、人事の仕事の幅広さと奥深さを知り、その後いろいろ本も読み始めました。

人事の勉強会やネットワークにも顔を出すようにし、困ったときは臆せず質問し、誰かが困っているようであれば話せる範囲でお話するようにしています。

 

2:経営目線

人事戦略は経営戦略に紐づくため、経営や事業を理解することが重要だと考え、マネジメントスクールに参加しました。ドラッカーの論文や課題図書を拝読し、おすすめの書籍などは購入しインプットを増加させました。

仲間とディスカッションなどアウトプットをすることで、さらに学びになり、とても刺激的で勉強になっています。まだまだ継続しています。

 

3:法律の知識

労働三法だけでなく、最新情報のキャッチアップが重要なので、社労士やハローワーク、労働局などで積極的に話をうかがっています。各省庁やHRtech、Legal techの会社が配信しているメルマガに必ず目を通すようにもしています。

 

4:Webマーケティングの知識(採用ブランディングや広報など)

Webマーケティングの知識は、採用ブランディングや広報などで欠かせません。ネット上の情報だけに頼らず、Webマーケの仕組みを理解するための講座に申し込んで勉強しました。

また、Wantedlyなどを活用して実践し、うまくいかない際は詳しい(と思われる)方へ、とにかく相談しています。試行錯誤している途中ですが、少しずつ形にはなってきています。

 

5:戦略立案力

経営者の話や社員の状態や声をヒアリングし、どのように経営戦略を実現するのか人事戦略を立案する力も人事として身につけなければならないと痛感しました。ここもマネージメントスクールでの学習が活かされています。

また、社内のとにかく代表含めて幹部の話だけでなく、社員とも面談で話を聞くようにし、現状把握を誤らないように意識しています。現状把握、目的・ゴールを明確にし、戦略を立案する、という基本的な思考と行動を繰り返しています。

 

人材業界で経験していてよかったこと

人材エージェントから人事への転身はハードルが高いと思われたかもしれませんが、人材エージェントで経験していて無駄だと思ったことはなく、活かせる点も多いです。

人材エージェントでは多くの企業を担当させていただいていたので、いろんな業界や企業について知ることができました。また、私はクライアント企業の役員の方含めてお話しすることが多かったので、いろいろな方とのコミュニケーション対応能力はついたのではないかな、と思っています。

また数十社、数百の進捗を1人で対応していたので、迷う時間なく即座に対応を判断する必要がありました。判断のための材料集めと即座の判断はエージェント業務で鍛えていただいたな、と思います。

人材エージェントから人事へと転身するとき、人事全般や戦略から関わりたい場合は、共通のことよりはギャップがあるところが多いというのが私の感覚です。そのため、意外と大変だなと思うことがありましたが、その分とても勉強になります。そして、学ぶたびに新しい気づきを得ることができるのです。

人事の仕事には正解がありません。ただ、ずっと学び続けることができ、その学びをいい組織づくりに還元できる人事という仕事は、本当にやりがいある仕事だと改めて感じています。

あくまで私が感じたことを書きましたが、ほんの少しでも、人材エージェントから人事へと転身したいと希望されている方などの参考になっていれば嬉しいです。

Written by

IzumiHiraoka
CANTERA ACADEMY2期卒業。 大学卒業後、大手食品会社にて総合職として入社し、法人営業をメインに担当。 その後、人材ベンチャーの東京オフィス立ち上げのなんでも屋として勤務。 2006年から現リクルートにてリクルーティングアドバイザー、企画スタッフ、キャリアアドバイザーを経験。受賞複数。その間2度の産休育休を取得し共に復帰。リクルート卒業後は、国の事業に関わったり、ベンチャー企業で人事として採用企画、規程改訂、制度、労務など人事全般と、総務、秘書など色々経験しています。現在は株式会社クラウディオにて人事ディレクターとして人事全般を行っています。
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